裁判所の執行官が、突然に家財道具の差押えに来ました。
しかし、奥様が短時間の対応をされただけで、手ぶらで帰られたのです。
日頃の心掛けが、いかに大事かということなのでしょう。
事前に、ご夫婦でしっかりと打ち合わせをされ、奥様が万全の対応をされた成果だといえるでしょう。
映画やドラマでは、借金返済のために、家財道具が差押えされる場面をよく見かけます。
突然に裁判所の執行官が自宅を訪れ、生活に必要な家財道具などを差押えして、赤紙を貼ったり、持ち帰ったりするのです。
近所も大騒ぎになり、物見遊山の人だかりとなり、この家に住めなくなるほどの恥ずかしい思いをしなければなりません。
《 借金の返済が滞る = 家財道具の差押え 》 といった、直結するような図式が世の中で出来上がっており、これを恐れて、債務者は無理をしてでも返済しようとされるのかもしれません。
金融機関も、この図式を利用して、返済の遅れている債務者に対して『このままでは、大変なことになりますよ・・・』などといって脅してきます。
債権者にとっては、効率の良い、債権回収の図式といえるのですが、現実は少し違うようです。
この、家財道具の差押えというイメージは、債権者である金融機関などが、自らの債権回収を有効にするために作り上げたイメージだといえます。
実務の現場においては、債務者の家財道具への動産執行など、頻繁に実施されるものではありません。
しかも、様々な債権回収の手段が存在する中で、家財道具への差押えは、他の手段が残されていない状況で実施されることがほとんどです。
債権回収が始まって、すぐに実施される手続きではなく、最後の最後に実施される手段になりますから、家財道具の差押えである動産執行は、最後に残された究極の差押えだといえるでしょう。
債権者も、家財道具への差押えで、債権が回収できるなどと、本気で考えていないと思います。
それでも、実施する目的は、2つ考えられます。
1つは、債権回収への取組として、最終処理に向けての根拠とするもの。
もう1つは、債務者への『嫌がらせ』ということになります。
手続きとしての費用対効果は極めて低いと予想されますし、債権者として社会的批判を浴びる可能性さえもありますから、どんな債権者でもすることではありません。
一般的には、レベルの低い金融関係機関か、もしくは、債権回収の素人が結果も考えずに取り組むぐらいではないでしょうか。
メガバンクなどの金融機関が、直接に家財道具への差押えをしたという話など聞いたこともありません。
冒頭でご紹介した事例は、10年ほど前からご相談に乗り、5年ほど前に期限の利益の喪失をして任意整理をされた、私のお客様の話です。
お客様は、経営していた事業が破綻し、実質的に全ての資産を喪失し、奥様と離婚はされていませんが家庭内別居状況で、奥様の所有されている家に居候になっておられます。
複数の金融債権者があるのですが、その中で、元々はアメリカ系の信販会社である債権者がしつこいのです。
諦めることを知らず、早い段階で訴訟をおこし、様々な資産に対して差押えをしてきましたが、全てが空振りでした。
こんな状況ですから、いつかは家財道具への差押えがあるのではと思い、ご夫婦で対応について事前に話し合われていたのです。
家は奥様のもので、家財道具も全て奥様のものであり、お客様の所有物といえば粗末な衣服ぐらいしかありません。
この事実を、奥様から告げられた、差押えに来た裁判所の執行官は、そのまま帰るしかありませんでした。
これで、この債権者には、効果的な債権回収手段が失われたということになります。
もはや諦めるしかない状況になったといえるのですが、まだまだ油断はできません。
元々はアメリカ系の信販会社である債権者は、今は、メガバンク系のノンバンクとなっています。
そんなメガバンク系列が、家財道具への差押えをしてきたのですから驚くのです。
昔、都市銀行などの大手金融機関には、誇りというものが有ったように思います。
しかし、バブル崩壊やリーマンショックを経て、消費者金融会社を子会社に抱える様になって以降、その誇りも喪失してしまったのかもしれません。
メガバンク系列であろうとも、所詮は、何でもありの高利貸しということになりますから、いつまでも、油断はできないのかもしれません。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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