時効,不当回収・・・


今朝の産経新聞の見出しに、時効債権『不当回収』横行・・・とありました。

これは、興味深い記事でので、食事の手を止めて、記事を注視して読み進めます。

消滅時効がすでに完成しているのに、債権回収を図る業者による取り立てが横行しているという内容なのですが、時効を都合良く勘違いして、債権者を悪者に仕立て上げた様な記事になっており驚きました。

 

産経新聞の記事は、消滅時効が期間的に完成している債権に対して、債権者が取立をしていることを取り上げて、『不当回収』と表現をしています。

期間的には完成していても、時効の援用もされていない、まだ請求権の残っている債権の取り立てを『不当回収』として追及しているのです。

たとえば、20年前に最後の時効の中断をした23万円について、債権者である業者から突然に利息分も含めて簡易裁判所に提訴をされたというものです。

訴状に驚き、業者に電話をすると、給料の差押の可能性を示唆されたのですが、裁判期日を都合で欠席したため、業者側の請求を認める判決が出されるという結果になりました。

他にも、時効期間が過ぎた80万円の債権について、債権者である業者が、突然に債務者の自宅に取立に来たという事例が紹介されています。

債務者は驚き、業者から言われるままに5000円を支払ったところ(承認による時効の中断)、業者は簡易裁判所に提訴したということです。

これらの債権は、時効の期間は完成していますが、この時点において時効の援用はされていません。

したがって、時効の期間は完成していても、請求できる権利は残っており、債権者はその権利を実行していたに過ぎないということになります。

ただ、業者が追及してきた段階で、債務者が時効の援用さえすれば、それ以上の追及はなされない債権でもあったということにもなります。

この様な、借主の無知に乗じたような悪質な債権回収の場合は、その悪質性を考慮して時効適用を認める司法判断もあるということですが、悪質という表現には違和感を持ってしまいます。

 

これらの事例は、法律に規定された『時効』を知らなかったために招いた悲劇になります。

時効の基本さえ理解していれば、この様な結果にはならなかったでしょう。

さらに、表現を変えると、今でも当たり前の様に世の中で発生していることで、別に珍しくもない事例だといえます。

産経新聞は、時効というテーマで記事にされていますから、さも、取り立てをしている業者が悪質であるという表現をされていますが、それは間違っていると思います。

たとえ、時効期間を完成している債権であろうとも、債権者は諦めずに取立をしてくるのが現実なのです。

公的な機関である信用保証協会などにおいても、時効期間が完成している債権について、時効の援用がなされていなければ、当たり前の様に債権回収を図ってきます。

それが債権者の権利であり、債権回収という当たり前の手続きだからです。

記事に紹介されている債権者の業者など、別に珍しくもありませんし、その行為も批判されるものではないでしょう。

 

我々の立場からいえば、債権回収は、債権者と債務者の命を掛けた戦いです。

債権者は、活用可能なあらゆる手段を講じて債権回収を仕掛けてきますし、債務者は、債権者の動きを予想して事業や資産や人生を守るために最善の対応をします。

そんな厳しい戦いの中でも、債務者は僅かな望みをもって、『時効』という可能性にチャレンジし、債務の消滅を目指すことになります。

しかし、債権者も、債権回収を保全するために、『時効』にも十分な配慮を持って対応してきますから、簡単に時効の援用などさせてはくれません。

したがって、時効期間が完成しているからといって、時効の援用もしていない債権の回収について、債権者が勝手に諦めてくれるはずもありません。

『不当回収』などと呼べるような、そんな甘いものではないのです。

 

債務の処理について、時効を活用する気があるのでしたら、まず時効について具体的な理解を図るべきだろうと思います。

そして、理解をしたうえで、債務を処理するために、時効の援用を目指すべきではないでしょうか。

借りた責任から、払うという意思をお持ちで、時効など考えないという債務者の場合においても、まずは時効の理屈を理解されては如何でしょうか。

理解しても、弁済を実行して債務者としての責任を果たすために、時効を活用しなければいいだけなのです。

そんな債務者であろうとも、遅延損害金や、債権者の回収姿勢といった現実が、時効の活用を検討させる可能性は低くありません。

 

 

 

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