早いもので、この仕事を始めてから15年が過ぎました。
今でこそ、会社再生や経営危機対応についての専門家も多くなりましたが、当時は本当に僅かしかおられませんでした。
建前など関係なく、本音でお客様と向かい合い、任意整理などにも具体的な対応をされる方が多い時代でありました。
お客さまも、専門知識などはお持ちでなく、返済猶予(リスケ)や経営改善の意味さえも詳しくご存じではありませんでした。
丁度、この業界、草創期の頃だったのでしょうが、我々コンサルタントにとっては楽しい時代でもありました。
それから15年、この業界の環境は随分と変わりました。
まず、ご相談に来られるお客様の、知識や情報量が違います。
現在のお客様を大学生と例えるならば、15年前のお客様は、小学校程度の知識しかお持ちではなかった様に思います。
今、返済猶予の意味をご存じないお客様などおられず、玄人はだしの知識をお持ちのお客様さえ珍しくはなく、我々専門家もうかうか出来なくなってしまいました。
当然、お客様の求められる対応も、随分とレベルが上がったといえるでしょう。
破産さえ回避できれば良いという、そんな謙虚な希望のお客様は珍しくなり、事業の維持や生活の安定的確保などは当たり前のように求められるようになりました。
同時に、中小零細事業者の政策的な環境は随分と整備され、様々な救済制度が用意されるようになりました。
行政は、中小零細事業者の資金繰り確保から経営改善や債務処理まで、この15年間において、至れり尽くせりの環境を用意したといえるでしょう。
まるで徳政令の様な救済制度なども存在し、事業継続を諦める必要など無いとさえ感じられるようです。
制度の活用をすれば、破産など必要のない環境になったといえるのかもしれません。
ところが、中小零細事業者の対応の可能性はほとんど改善していないというのが、現実なのかもしれません。
これだけの環境を構築したといっても、この用意された制度は機能不全を常態化させ、事業者は踊らされることになっています。
たしかに、充実した環境であり制度ではありますが、具体的に活用が可能な事業者は、そのまま放置していても勝手に再生する様な事業者しか対象にならないのです。
現実的に制度の活用を必要とし、真摯に求めている様な倒産の危機を抱えた事業者は、対象としての条件を満たさず撥ねつけられてしまいます。
選択肢が多くて窓口も広い様に見え、藁をも掴む思いで申し込んでみるのですが、対応できない様なハードルの高い前提条件があり、とても入口まで手が届かないという結果になるのです。
事業者は喜び勇んで、行政の用意した環境や制度を活用しようと取り組むのですが、再生できないと判断されたり、コンサルタントサイドの売り上げに繋がらないと判断され対象から撥ねつけられます。
漂流の先に、ようやく島を見つけて安堵したのに、周囲は大波が打ち付ける高い岩壁に囲まれ、近寄ることさえできずに力尽きるようなものかもしれません。
中途半端に取り組めば、打ち砕かれる(倒産)ことになるでしょう。
この仕事を始めた15年ほど前は、まずはお客様に返済猶予をご理解していただき、取り組んでいただくことから始めるというパターンが一般的でした。
しかし、今は、返済猶予などご説明することは、ほとんどありません。
多くのお客様は、最低限の知識は確保されており、甘い考え方など持たれずに先を見据えて、具体的な対応を求めておられるのです。
そして、最近の私どものお客様は、こんな撥ねつけられた事業者が多くなりました。
希望を遮断された経験をお持ちですから、最後のチャンスとして全力で取り組んでこられ、その意識は生半可なものではありません。
事業を維持することなど当たり前であり、倒産など視野に入れようとはされず、大きな欲をもって取り組まれます。
この意識と姿勢は、経営危機を打開するには極めて有効でしょう。
同時に、我々は、しっかりと対応が出来る様に、日々、自己研鑽を積まなければなりません。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
↓
↓ランキングです クリックして応援してください
人気ブログランキングへ
ランキングです クリックして応援してください
↓