資金繰り対策で、随分と苦労をされている経営者から、妙に明るい声で電話をいただきました。
無理だろうと思っておられた日本政策金融公庫からの借入が、予想に反して実行されることになったとのことです。
これで直近の資金繰りは、まずは一安心ということになります。
しかし、この借入、その後の資金繰りを更に厳しくさせるという借入だったのです。
経営者の会社は、既に実質は債務超過状況であり、信用保証協会の保証付き融資さえも断られるという状況でした。
資金繰りはここ数年厳しい状況が続き、今年に入ってからは円安の影響で利益確保が難しくなり、資金繰りをさらに圧迫するようになりました。
そんな状況でも、経営者は踏ん張ります。
必ず改善すると信じ、返済猶予もせずに、約定通りの返済を続けてこられました。
金融機関との信頼関係を失うわけにはいかないと、自分の生活を切り詰めてでも弁済を優先して来られたのです。
しかし、その姿勢もそろそろ限界の様です。
無駄な経費は、抑えるだけ抑えました。
金融機関から、可能な限りの借入はしました。
支払条件も、信用不安が出ない様に注意しながらも実施しました。
売上粗利益の向上にも、全力でチャレンジしてきましたが、それでも資金繰りは改善しません。
毎月150万円ほどの、金融機関からの借入の元本返済が、今の経営状況には大きすぎる負担なのです。
経営者としては不本意ですが、もはや返済猶予をするしか資金繰りを確保する方法はないと、決断をしようとしている最中の朗報でした。
商工会議所に相談に行き、商工会議所から日本政策金融公庫に話をしてくれ、まさか実行されるとは思ってもみなかった400万円の融資の実行だったのです。
経営者からの、嬉しそうなご報告をお聞きしながら、私の心中は複雑です。
400万円を借りることが出来て、この2カ月ほどは資金繰りが楽になります。
厳しいはずの今月末の借入弁済でしたが、これで150万円の元本返済も問題なく出来ることになります。
来月も、多分、資金繰りは問題なく、元本弁済も出来るでしょう。
2カ月後も、多分、元本返済は出来るでしょう・・・・あれっ?
毎月150万円の元本弁済なら、3カ月で450万円の元本を弁済することになり、借り入れた400万円を超えてしまいます。
しかも、借り入れた400万円の弁済も発生しますから、3カ月後からは更に資金繰りは厳しくなるでしょう。
返済猶予をするにしても、借入をして3カ月を経由しないと、詐欺師呼ばわりされてしまいかねませんから、借り入れた額よりも、多くの資金を弁済することになるのです。
これなら、400万円を借り入れせずに、すぐに返済猶予に取り組んだ方が、資金繰りは随分と改善したはずなのです。
こんな状況で借入をするなら、最低でも元本弁済4カ月分以上の借入をしないと、逆に資金繰りは悪化してしまいます。
しかし、400万円の借入を嬉しそうにご報告をしてくださる経営者に、今はお話しする勇気はありません。
来月には、タイミングを見てご説明をしたいと思います。
そして、3カ月後からの資金繰りのお手伝いをさせていただきます。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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