金融機関からの借入だけが、コロナウイルスによる中小事業者の資金繰り対策ではありません。
布マスクの2枚支給や1人10万円の支給などが目を引き、政府主導で対応が展開されている様に感じますが、他にも様々な対応が準備されつつあるのです。
様々な業界や立場において、先の見えないコロナウイルス感染症を切り抜けようと、知恵を振り絞って、利益を度外視して、取り組み可能な対応を用意しつつあります。
知っているだけで、効果の見込める対応策ばかりですので、その内容を確認してみたいと思います。
中小事業者の資金繰り対策については、既に多様な制度が実施されています。
資金繰り支援を実施すべく、銀行などの金融機関を活用した資金確保について、今までの不況時と比較にならない程に、これでもかというほどに制度が用意されました。
しかし、これで、中小事業者の資金繰りが万全になったわけではなく、その他にも留意すべきことが沢山残されています。
この点についても、実は、金融庁の要請などにより、様々に対応策が準備されつつありますので、代表的な『保険の借入』,『リースの支払猶予』,『不渡り回避』についてご紹介したいと思います。
積立保険をされている事業者は少なくないでしょう。
この積立保険は、解約返戻金分を担保に借入をすることが出来るのです。
借入額は、その時の解約返戻金額の80~90%であり、厳しい与信もなく、借入は容易だといえます。
ただ、利息が、金融機関などから借りるよりも随分と高くなるために、なかなか活用できないのが実態でした。
ところが、このコロナウイルスが拡大する中、契約者の中小事業者の資金繰りを支援しようと、保険会社が利息をゼロ%にしよう動きだしています。
今のところ、利息がゼロ%となるのは9月30日までとなりそうですが、状況により延長される可能性もあるでしょうし、資金繰り厳しき環境において、手をこまねいている対象ではないと思います。
また、保険会社への、保険金の払い込みを猶予できる可能性も出てきました。
資金繰りが厳しい状況ならば、保険会社に、借入と支払猶予について、確認の電話を入れてみてはいかがでしょうか。
この環境で、リースの支払いが大きな負担となっている事業者も少なくないでしょう。
リースは、銀行借入とは違い、支払いを猶予してもらうというのは簡単ではなく、リーマンショックまでは極めて難しかったといえます。
ところが、あのリーマンショックにおいては、中小企業金融円滑化法の施行に伴いリース事業協会が主導し、支払いの一部猶予が一時的に認められるようになったのです。
当時は、支払額の減額が主な対応方法でしたが、画期的な対応をだったといえるでしょう。
今回のコロナウイルス感染においては、当初こそ対応を渋っていましたが、影響が拡大するにつれ、支払いの猶予を容認する方向に切り替わっています。
猶予の内容については、支払額の減額か、支払期間の一時先送りになると思いますが、契約しているリース会社に問い合わせするか、リース事業協会の『リース相談窓口』(03-3595-2801)にお問い合わせしてみてください。
資金繰りは、小さな積み重ねの結果になりますので、コツコツとです。
全国銀行協会は、不渡りの回避を打ち出しました。
金融庁と日銀の要請を受け、手形や小切手の期日までに支払いができない場合でも、不渡り処分を猶予する様に、加盟金融機関に通知を出したのです。(対象は電子記録債権も含む)
監督官庁である金融庁の要請ですから、銀行や信金信組などの金融機関も、この方向で対応することになると思います。
手形や小切手が半年間で不渡りが2度発生すると、事実上の倒産とみなされて、金融機関は当座取引を停止することになります。
同時に、不渡り情報が全国に拡散され、取り付け騒ぎなどが発生し、企業信用が大きく毀損して、現実的に倒産に至ることになってしまうのです。
この環境において、このままでは不渡りが大量に発生する可能性が高いでしょうから、この配慮は大きいといえるでしょう。
なお、あくまでも、不渡りとして扱う猶予であり、支払いを猶予するものではありませんので注意してください。
以上、『保険の借入』,『リースの支払猶予』,『不渡り回避』といった、コロナウイルス感染症における、中小事業者の資金繰り支援策になります。
保険やリース会社などは、自ら積極的に喧伝しませんので、初めて知られた経営者も多いのではないでしょうか。
通常時では、考えられないような、驚くべき対応だといえます。
過去の不況時や、阪神・東北大震災などにおいて、よく似た対応は一部で見られましたが、これほど徹底した対応は初めてになります。
それほど、このコロナウイルス感染症の環境が、厳しいということになるのでしょう・・・。
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