詐害行為、改正のポイント・・・


本来は、コロナウイルスに関わるテーマで、ブログを書くべきなのかもしれません。

日本だけでなく、世界中が、これだけコロナウイルスに関わるニュースで埋め尽くされています。

しかも、過去に経験したことのない様なスケールで、経済も生活もスポーツも文化なども、活動が低迷しだしており、株価も20000円を割り込み、どこまで下がるのかという勢いを示しているのですから。

しかし、民法改正も重要なテーマであり、詐害行為は経営危機打開において最重要なワードともいえますから、今回は、延期し続けてきた『詐害行為』についてご紹介をしたいと思います。

 

詐害行為とは、債権者の権利を侵すことを知りながら、所有する資産について強制執行などされないように保全する行為のことを言います。

債権者がこの行為に気づけば、原状に戻すことを求めて詐害行為取消請求をしてくることになります。

この流れが、今までの民法では不明確でした。

不明確というよりも、120年前に制定された民法において、詐害行為は簡単に触れられているだけであり、判例の積み重ねにより判断がなされてきました。

しかし、ベースが簡素なために、判断が難しくなり商売を委縮させてしまうことも多いため、詐害行為取消件要件及び効果について、今回の民法改正において明確化されました。

その改正の、重要なポイントについてご紹介をしたいと思います。

◇ 詐害行為の対象が、法律行為に限らなくなった

今までは、法律行為だけが詐害行為の対処でしたが、法律行為ではない弁済,債務の承認,履行の請求なども、今回の改正で対象とされました。

◇ 詐害行為の後で発生した債権も、詐害行為取消請求の対象となった。

今までは、詐害行為の後に発生した債権が詐害行為取消請求の対象となるか曖昧でしたが、遅延損害金などの詐害行為以前の原因により生じたものは、詐害行為取消請求による被保全債権となりました。

◇ 相当の対価を得た行為でも、詐害行為取消請求の対象となりうるようになった。

債務者の不動産などの資産が、相当な価格で処分されたとしても、その対価が隠匿などされると責任財産から実質は外れること何ってしまいます。

したがって、一定の条件にかかる場合は詐害行為取消請求ができることになりました。

◇ 偏頗的な債務の弁済は、詐害行為取消請求の対象となりうるようになりました。

今までは、特定の債権者に対しての、担保の設定や債務の弁済について規定がありませんでした。

今回の改正により、債務者の支払い不能時(直前30日以内)に行われた担保設定や債務の弁済において、特定の債権者と通謀や害意あった場合は、詐害行為取消請求の対象となることが明確化されました。

◇ 転得者が複数の場合、全ての転得者が悪意でないと詐害行為取消請求できなくなりました。

今までは、債務者が譲渡した資産について、複数の転得者が存在した場合、途中に善意の転得者や受益者が存在したとしても、詐害行為取消請求は認められていました。

しかし、今回の改正により、全ての転得者受益者が悪意でなければ、詐害行為取消請求はできないことになりました。

◇ 詐害行為取消請求において、何を請求できるかが明らかになりました。

今までは、詐害行為取消請求をしたとしても、何を請求できるかが明らかではありませんでした。

今回の改正により、受益者に移転した現物の返還が請求できるとし、それが困難な場合は、その価格の償還が請求できることになりました。

◇ 詐害行為取消請求の被告が明らかになりました。

今までは、誰が、詐害行為取消請求の被告か明らかではありませんでした。

今回の改正により、詐害行為取消請求をする場合に、被告が誰になるかが明らかになりました。

◇ 債権者は、債務者に対して、遅滞なく訴訟を告知しなければなりません。

今回の改正により、詐害行為取消請求を行う合は、債務者に対して遅滞なく訴訟告知をしなければならなくなりました。

◇ 取消請求において、債権者は自分に直接に引き渡しを請求できるようになりました。

本来、詐害行為取消請求は、その詐欺的な行為を取消して、債務者の責任財産を消失させないことが目的です。

しかし、現実は、その資産を債権者が債権の回収の対象とすることが目的ですので、債権者が直接請求できる様になりました。

◇ 詐害行為取消請求の効果が、債務者にも及ぶようになりました。

今まで、詐害行為取消請求の結果が、債務者に及ぶという規定はありませんでした。

しかし、それでは受益者が損をするということになりかねませんので、今回の改正により、債務者にも効果が及ぶと明記されました。

◇ 受益者は、債務者に対してした給付を取り戻せるようになりました。

前記の改正内容に合わせ、詐害行為取消請求により受益者が対象となった財産を返還した場合、受益者はその反対給付を債務者に請求できると明確化されました。

◇ 転得者の権利が保護されました。

前記及び前々記により、受益者だけでなく、転得者の権利についても保護されることが明確化されました。

◇ 詐害行為取消請求の時効期間が改正された。

詐害行為取消請求に関わる消滅時効の期間が、『行為をしたことを債権者が知った時から2年』もしくは『行為の時から10年』と変更をされました。

 

以上が、今回の民法改正における詐害行為に関わるポイントになります。

多くは、今までの判例が積み上げられた認識を、明文化しただけになるのかもしれません。

しかし、今回新たに規定され、債権債務処理において有効活用できるポイントもあります。

敵(債権者金融機関)は、この改正内容を把握しているのですから、我々も最低限の理解をしておく必要はあるでしょう。

 

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