取引先に気を遣う・・・


中小企業の経営者には、下請けさんに対して、上から目線で偉そうにされる方が少なくないようです。

そんな経営者に限って、お得意先にはペコペコされておられるのですが、日本の文化においては、当たり前と捉えられる姿勢なのかもしれません。

しかし、この様な姿勢をとるのは、債権・債務についての、大きな理解が抜けているからだと思います。

商売上のお金の流れから、得意先が債務者であり、取引先が債権者であるという事実を捉えれば、ペコペコする相手は取引先なのかもしれないのです。

 

初歩的な話になるかもしれませんが、債権者と債務者の意味について、再確認をしてみたいと思います。

債権とは、一定の給付を要求する権利のことで、債務とは、一定の給付を要求される義務ということになります。

したがって、債権者とは、債権を持っている者で、他の人格に対して、何らかの履行を求める権利を持った者です。

そして、債務者とは、債務を負っている者で、他の人格に対して、何らかの履行を負担する義務を負ったものということになります。

商売におけるお金の動きで考えれば、お金を請求する権利者が債権者であり、お金を請求される義務者が債務者となるのです。

すると、商品を提供してその代金を請求する相手である得意先は債務者であり、商材を提供してもらい代金を支払う相手である取引先は債権者であるということになります。

債権者と債務者のイメージからすれば、得意先と取引先のポジションが逆のようにも思えますが、これが事実なのです。

得意先が実は債務者であったといっても、仕事をいただけるお客様ですから配慮するというのは当たり前でしょうが、仕入先や外注先といった取引先に、偉そうな対応をするというのは問題であるということが判ります。

取引先が、履行を求める権利を持った債権者であるというのは、今後のお付き合いにおいて大きな意味があり、最善の誠意と配慮をもって対応すべき相手であるということなのです。

そして、多くの中小企業の経営者は、この点において、考え違いをされているように思います。

 

健全な経営時においては、昔ながらに、仕事を発注しているという意識をもって、仕入先や外注先といった取引先に上から目線の対応も、ある程度は許されるのかもしれません。

しかし、いつまでも健全経営が続くという保証はどこにもありません。

万が一に、資金繰りが厳しい経営状況に陥った時に、日頃の取引先との対応が大きな影響を与えることになります。

仕入先や外注先といった取引先と、好意的で良好な関係を築くことができていれば、資金繰りにも協力をしてくれるかもしれません。

しかし、日頃の高飛車な対応に嫌悪感や抵抗を抱きながらも、あくまでもビジネスと割り切って取引をしていた業者は、債権者としての牙をむいてくるかもしれないのです。

資金繰りに協力をするどころか、売上債権の保全を優先させ、取引停止や保証人・保証金の要求,担保提供を要求するなどしてくる可能性があります。

中には、直接に債権回収に走る取引先もあるかもしれませんが、債権者である取引先としては、非難される行為とはいえません。

人と人としての関係が上手く確保できていれば、この様な対応には繋がる可能性は高くないと思います。

発注元としての優位な地位が揺らぐと、過去の取引先との姿勢やポジションが、露骨に影響をしてくることになるようです。

債権者集会などにおいても、この関係は明確に表現されることになります。

厳しい対応が予想されるのが債権者集会ですが、好意的で良好な関係を築くことができていれば、債権者としての取引先が驚くような好意を示すこともあります。

大きな不良債務を抱えることになったのに、『社長、頑張って、早く復帰しください・・・』と、背中を軽くたたいて励まされる取引先債権者がおられます。

『今まで、ありがとうございました・・・』と、過去の取引について感謝される取引債権者もおられるのです。

これらは、経営者が取引先に対して、健全な頃から配慮し誠意のある対応をされてこられたことを、如実に物語っていると思います。

 

経営危機を考えると、常日頃からの債権者への対応が、いかに重要なのかが判ります。

たとえ、仕入先や取引先であろうとも、対等の立場で誠意のある対応をしておくことが、債権者への対応として必要なのです。

そして、借入をしている金融機関はもちろんのこと、従業員さん等の多くの債権者に囲まれて、事業を維持していることを忘れないでください。

 

 

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