債権債務処理は変わった・・・


 

平成26年2月を境に、中小零細企業の再生への取組みや、債権債務処理の手続きは激変しました。

それまでは、何とか事業を維持させる方向で、様々な政策が実施されていましたが、経済環境の変化により、金融庁を中心とした行政のスタンスが一変したのです。

再生の望みの無い企業については、新陳代謝を図るという方向に舵が切られ、ある意味、政策的な切り捨てが始まったともいえます。

 

ご存知の様に、平成25年3月31日をもって、時限立法であった中小企業金融円滑化法が終了しました。

リーマンショック以降の大不況下において、この制度が中小零細企業の資金繰りに対して果たした役割は大きなものでしたが、アベノミクスの経済効果に合わせて終了しました。

いつまでも、モラルハザードを引き起こしかねない制度を残せないということと、それなりに日本経済が復興してきたという判断から終了ということになったのでしょう。

そんな環境下で、上記の金融庁の発言がありました。

本格的に景気回復傾向になったので、回復不能な不良債権を処理してしまい、日本経済を正常化させてしまおうという考えです。

そして、その不良債権化する企業の受け皿として用意された制度が、『経営者保証に関するガイドライン』と『特定調停スキーム』でした。

この2つの制度も、時を同じくして平成26年2月1日から運用が開始されたのですが、実は、今までの債権債務処理や不良債権処理の概念を吹き飛ばして環境を激変させかねないほどの内容をもっています。

この2つの制度が、現実に有効に活用をすることができれば、金融庁の新陳代謝を図るという政策の受け皿になるどころか、経営者の夜逃げや自殺は無くなり、債権者の損失や負担も激減し、中小零細企業の破綻を大きく減少させる可能性さえ秘めている制度なのです。

しかし、法的な拘束力がなく、金融機関等の債権者の同意が前提となる制度のため、どこまで活用されるかは未知数のところが問題だったのですが、どうやら、まだまだ効果的に活用をされているとは言えない状況の様です。

運用開始から2年が過ぎましたが、経営者保証に関するガイドラインにおいて新規融資の経営者保証を求めない事例や、事業承継において連帯保証人の承継を求めない事例は多数見受けられますが、債権回収の保全された与信が十分にある企業ばかりなのです。

実際に、経営が厳しく、保証債務の問題が発生する様な企業の場合の事例は見受けられません。

整理段階における経営者保証に関するガイドラインの適用も、本当に僅かなものしかありません。

さらに、特定調停スキームに至っては、事例さえほとんど存在しないのが実態なのです。

結果として、経営者の夜逃げや自殺を無くす方向での活用はほとんど存在しておらず、債権者に都合の良い様にしか活用をされていないという事になります。

 

本来は、弁護士や公認会計士,税理士,中小企業診断士,事業再生関連の専門家、もしくは商工会などが、経営者に対して提案すべき制度だと思います。

しかし、それらの専門家などが、制度を具体的に理解していないか、自らの利益を優先するかして、必要とする経営者に伝えきれていないのです。

まず、制度の存在を知り、その制度の内容を理解し、いかに活用するか検討してこそ、これら2つの制度の意義が発揮されます。

少し厳しくなってきた経営環境において、中小零細企業が最善の結果を得るために、もう一度、制度を見直してみてはいかがでしょうか。

まだまだ活用をされていない2つの制度を、再度、概要をご紹介いたしますので、是非、お目通しをください。

 

  ◆ 『経営者保証に関するガイドライン』について

経営者保証に関するガイドラインは、事業の運転資金に伴う金融機関借入についての、経営者としての保証を根本的に見直す制度になっており、概略は以下の通りです。

◇ 保証契約時等の対応

1. 経営者の保証に依存しない融資の一層の促進   ・新規の融資に伴う経営者としての保証については、一定の要件の下に求めない。   ・保証の機能を代替えする新たな融資手法のメニューを充実させる。

2. やむをえず経営者保証を締結する場合の債権者の対応   ・保証契約について、具体的に債務者に説明をする。   ・保証する金額について、債権者は誠実・適切に対応をする。

3. 既存の保証契約の適切な見直し   ・事業承継時において、後継者への保証債務承継を前提としない。   ・経営者保証の必要性について検証し、保証契約の解除についても適切に判断

4. 債務者は、信頼性の高い情報を提供し、開示要請にも適切に対応する。

◇ 保証債務の整理時等の対応

1. 経営者としての責任の在り方を見直す。   ・状況を総合的に勘案し、経済的合理性のある場合は経営者としての継続を容認。

2. 保証債務の履行基準を見直す   ・保証人としての履行能力により、残存財産を決定する。   ・新たな展開のため、華美でない自宅や一定期間の生計費に相当する資産を残存する。   ・事業継続に必要な資産は、保証人から法人に譲渡し、保証債務の返済原資から除外。

 

  ◆ 『特定調停スキーム』について

特定調停スキームは、特定の債権者だけを対象に、信用不安を発生させずに、債権放棄などの活用も可能な事業再生スキームになっており、概要は以下の通りです。

◇ 基本的な仕組み

1. 既存の特定調停を利用し、中規模以下の中小零細企業を対象とした私的再生手法。

2. 民間当事者間の事前協議により、裁判所に申し立てる。

3. 裁判所を活用するが、法的手続きではなく私的な手続き。

◇ 特定調停スキームのメリット

1. 金融機関等の特定の債権者だけを対象とする事が出来る。

2. 信用保証協会等の政府系機関も対象となり、求償権の債務免除も可能性がある。

3. 弁護士等の専門家に依頼する費用について、一定の条件で支援を受けられる。

4. 債権放棄・債務免除について、税務処理が可能となる。

◇ 特定調停スキームの条件

1. 弁護士等の専門家に依頼し、事前に対象とする債権者金融機関等と事前に協議する。

2. 裁判所への申し立て前に、事前に債権放棄の合意を取り付ける。

3. 合理的で実現可能な事業計画や収支計画を策定する。

 

 

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