久しぶりに、パチンコ店からのご相談をいただきました。
過去に、2案件の経営危機打開についてご相談させていただいた経験があります。
パチンコ店は、箱物ビジネスと言われる1つで、経営危機の打開方法も特徴的です。
箱物としての受け皿があり、その受け皿を守れるかどうかが、方向性を決定づけるポイントになります。
経営危機打開のコンサルタントとして、対応が難しいのはどんな業種か問われると、建設業と箱物ビジネスの2つを挙げるのは間違いありません。
建設業は、許認可が必要な業種であり、過去の実績なども必要とされる特殊性があり、簡単に別会社を作って事業承継という流れを確保するのは難しいといえます。
さらに、高い信用性が求められる請負業でもあり、信用不安が流れると営業面を中心としたダメージが大きく、事業継続さえ難しくなる業種ですから、経営危機を打開するには様々な配慮やスキルが必要となるのです。
もう1つの箱物ビジネスとは、ホテルや旅館などの宿泊業,カラオケ,ゴルフ場,パチンコ店などのように、高額な投資による箱・入れ物という、お客様の受け皿がある事業のことを指します。
入れ物だけあって中身が無いものという例えもあるようですが、お客様以外は全て準備されており、お客様さえ来ていただければ収益が向上するという構造です。
したがって、箱・入れ物である受け皿さえ維持することができれば、お客様に来ていただくことにより、事業も維持できるということになり、信用不安の影響はそれほど大きくはなく、如何に受け皿を守るかが勝負になります。
我々にご相談をいただく状況は、多くの場合、正常な返済が難しくて返済猶予を実施済で、期限の利益の喪失前さえも視野に入るという状況です。
箱・入れ物である店舗は、資産として処分されかねない状況になっているでしょうから、経営危機の打開法としては店舗の保全に注力しなければなりません。
とはいっても、多くの場合は、金融機関からの借り入れの担保になっていますから簡単ではありません。
担保権者である金融機関の同意・協力がなければ、最悪、競売などで処分されてしまう可能性もありますから、債権者に理解を求めるが大前提となるのです。
そのためには、経済的合理性を活用するしかありません。
判り易く言えば、不動産資産として処分するよりも、このまま維持させていただき、事業継続による収益から弁済をさせてくださいという流れになります。
その方が、資産として処分してしまうよりも、債権者として回収面において有利であり、経済的合理性があるということになるのです。
この方向で取り組めば、多くの民間金融機関では、理解して同意・協力してくれる可能性高いでしょう。
しかし、信用保証協会は、損得抜きで考えて判断をしますから、しっかり誠意を示して説明しなければなりませんし、断られたとしても、諦めることなくしつこくお願いをするというのがポイントです。
努力の結果、債権者金融機関が、その方向で同意をしてくれたとしても、弁済条件が厳しい内容になるのは当然でしょう。
また、債権が担保で満額保全されている場合は注意が必要です。
競売したとしても、債権が満額回収できる場合などは、処分により債権回収をしようとする担保権者金融機関もありますので、誠意と事業を絶対に諦めない姿勢を精一杯示し、債権者金融機関に納得してもらうしかありません。
以上が、箱物ビジネスとして、受け皿であるお店などを維持する事ができれば、返済が可能な収益を確保できる場合になります。
もしも、そんな収益が確保できない場合はどうすべきなのでしょうか。
箱・入れ物であるお店を維持しても、弁済できるだけの収益が確保できなければ、債権者金融機関の同意を得るのは難しくなります。
現実的に、箱物ビジネスとしての箱・入れ物を維持しても、意味がないという状況なのですが、この様な場合でも、単純に諦めてしまうのではなく、資産として処分できないかを考えるべきでしょう。
事業譲渡でも、M&Aでもいいですから、少しでも付加価値をつけることか出来れば、資産として最後まで有効に活用することが可能になるのです。
不動産資産として単純に処分するよりも、事業価値がオンされることにより、当然に譲渡金額等は増加しますから、債権者にとっては経済的合理性が確保できて同意もし易いということになります。
債務者としても、事業を手放すことにはなりますが、違う形態であろうとも事業を継続できたということになります。
この状況における手続きは、債権者の同意を明確にして、透明性を確保するように努めてください。
最終的に、破産などの法的手続きを選択する結果になった場合、管財人に否認されてしまわない様に十分な留意が必要なのです。
収益が悪くても、どうしても箱・入れ物であるお店を確保して事業を維持したいとお考えの経営者も少なくありません。
この様な場合は、セール&リースバックを活用するか、資金があれば第2会社を設立して買い取りをする方法があります。
事業体は新しくなりますが、弁済負担がありませんので収益性は改善をするでしょうし、黒字化できるという前提で取り組むべきです。
そして、この場合は、現経営会社の最終処理として、破産や民事再生は選択肢しないと考えて取り組むべきだとも思います。
この様に、箱物ビジネスにおける経営危機の打開は簡単ではありません。
たとえ収益が確保できたとしても、箱・入れ物であるお店などを維持す事が必要となるのです。
したがって、準備に時間が掛かるということを理解し、しっかりと手続きを進めて取り組んでください。
そして、経営の将来に不安を感じるような状況であれば、出来るだけ早く対応を始めるべきなのが箱物ビジネスです。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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