信用保証協会が役に立たない・・・


昨年の2月、金融庁を中心に、中小零細企業向けの政策の転換を発表したことを覚えておられるでしょうか。

かなりインパクトのある内容で、簡単にいえば企業の新陳代謝を図るという内容になります。

判り易く言えば、返済猶予を続けていても、いつまでも経営が改善しない様な企業は、支援を打ち切り整理して新陳代謝を図った方が、経済は活性化するということなのです。

これ以降、公的な金融関連機関の対応は、確実に変化してきたように思います。

 

現在、中小零細企業にとっての公的な金融関連機関といえば、日本政策金融公庫と信用保証協会だけになります。

20年ほど前と比べると、随分と減少をしましたが、その分、傾向は掴み易くなり、機関毎の対応に悩む必要が無くなったといえます。

そして、債務者である中小零細企業への対応の方向性は、同じという傾向があるようにも思います。

その顕著な傾向は、我々債務者にとっての良い意味での変化になりますが、不良債権化した債務者への対応になります。

以前にもご紹介しまたが、期限の利益の喪失をして不良債権化し、今後の返済について対応において、債務者の状況を確認し、それに合わせた対応をとるような事例が増えたのです。

  今は厳しい様だから、半年間程みのまま様子を見ましょう・・・

  返済できる状況にないから、こちらからは連絡はしません・・・

信じられない様なフレキシブルな対応で、少し前では考えられませんでした。

債務者の状況などお構いなしに、無理やりに債務承認書にサインさせたり、毎月の弁済を強要したり、強制的に連帯保証人に担保提供を求めるなど、日常茶飯事のことだったと思いますが、驚くような変化です。

全てが、こうなったとはいいませんが、人道的な面に配慮し、債務者の状況に合わせた対応をとるようになってきたのは間違いないように思います。

 

信用保証協会において、もっとも注意すべき変化は、その保証割合の変化ではないでしょうか。

中小零細企業である債務者が、債権者である金融機関から融資を受ける時に、信用保証協会は保証をしてくれますが、以前はは融資額の100%を保証が原則でした。

ところが、これでは金融機関が何のリスクもなく貸付をおこない、利息という利益を得るというモラルハザードの問題が浮上し、平成19年10月から、一部の制度を除いて80%だけを保証し、残りの20%は金融機関がリスクを背負うことになりました。

これを責任共有制度といい、信用保証協会と金融機関が責任を共有することにより、債務者の支援を図るという目的で実施されたのです。

ところが、平成20年9月にリーマンショックがおこり、金融機関の融資姿勢が極端に厳しくなり、このままでは中小零細企業の資金破綻が続出するだろうという状況下で、100%保証が自然の流れで復活しました。

その後、アベノミクスで景気が回復すると共に、この信用保証協会の保証割合も、セーフティーネットなどの一部制度を除き80%保証の責任共有制度が復活されたのです。

現在のところ、アベノミクスの好景気が影響しているのか、責任共有制度により金融機関の融資姿勢が厳しくなったという話はあまり耳にしません。

ところが、この保証割合を見直すという動きがあり、平成17年度以降の適用を目指して、債務者企業の安定度により80%~50%程度に保証割合を区分するというのです。

同時に、残っている100%保証についても、対象業種を絞り込んでいくといいますから驚きます。

信用保証協会の保証制度は、中小零細企業の資金繰りにとっての命綱です。

平成18年に、責任共有制度が導入され、とたんに金融機関の融資姿勢が厳しくなったという現実の歴史があります。

まだまだ回復途上という景気状況において、この保証割合の見直しは、中小零細企業の資金繰りに悪影響は避けられないと思います。

これから、アメリカの利上げや中国の景気減退などの影響を受けるだろうという局面において、拙速な制度変更にしか思えず、中小零細企業には事前の計画的な対応が必要ではないでしょうか。

 

返済猶予の取組みについては、確かに厳しくはなりましたが、極端に難しくなったという状況には至っていないと思います。

本当に、政府が中小零細企業の新陳代謝を図りたいのであれば、この点においてメリハリの付いた対応してくるべきなのですが、40万件を超える中小零細企業の返済猶予案件に対して、再生の可能性が低いと判断した債権は返済猶予をしないという判断をすれば、収拾がつかなくなるほど経営破たんが発生し大混乱するのは明らかです。

その現実を、政府も十分に理解しているということでしょう。

ただ、いつまでも、この状況が続く考えない方がいいとは思います。

最近の政策変化は、中小零細企業に対して、今、抜本的な対応を求めているということなのです。

 

 

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