もうすぐ、事業を、スポンサー企業へ譲渡されるご相談者がおられます。
事業譲渡として、今の会社を新設分割により2つに分けて、健全な事業だけをスポンサー企業に譲渡し、残した旧会社は特別清算をするという方法になります。
私が関与させていただいてから、既に5年が経過し、事業譲渡を選択して取り組んでからでも1年弱が経過しようとしているのですが、この間、経営者は艱難辛苦、本当にご苦労をされてきました。
そんな苦労からも、事業をスポンサー企業に譲渡することにより、解放されるはずなのですが、何故か経営者の心のモヤモヤは深くなっているのです。
私自身も、15年前に、Xテーを迎えました。
事業譲渡よりも、もっと厳しい落し処である任意整理を選択したのです。
当時の環境やスキルでは、それが最善だといえる選択でしたが、会社は当然のごとく倒産扱いをされ、私も倒産させた経営者としての烙印を押され、それまで築いてきた信用は全て失うという結果になりました。
私にとっては、屈辱でした。
任意整理が、そういうものだとは理解していましたが、Xデーを境とした周りの変化は、それほど大きなものだったといえます。
多分、自分の事だけを考えれば、破産をさせた方が楽だったのかもしれませんが、経営者の意地として、任意整理を選択したのは間違いではなかったと思います。
屈辱に耐えた見返りは、経営者としての自己満足と誇りを十分に満たすものでした。
本来であれば、債権者に主導されたり、法的に粛々と処理される事業の整理が、全て債務者である経営者の意思で処理できたのです。
そして、その結果として、従業員は誰一人として路頭に迷うことはなく、仕入先や外注先なども連鎖的に経営を悪化させるところもありませんでした。
経営破たんに直面した崖っぷちの状況で、債務者として、能動的な対応をとるのはとても難しいことです。
本来は、当たり前のように破産して、債権者金融機関だけが満足な結果を得て、仕入先や従業員などの社会的弱者は貧乏くじを引くだけの結果になっていたでしょう。
そう考えると、経営者として、十分に納得しなければならない結果なのだと思います。
それから15年が経ち、何とか事業を続けてこられました。
同時期に、同じように事業を始めたられたライバルも、今は、ほとんど残っておられない様な難しい業界で、凄い経験も積ませていただきました。
多くの任意整理に関与し、沢山の経営者の心の葛藤も、コンサルタントとして共有をさせていただきました。
その経験から、Xデーを前にした、経営者の心の叫びは、十分に理解しているつもりです。
そして、その最も大きな叫びが、経営者としてのプライドの喪失になるのだと思います。
今まで、経営者としてのプライドを維持しようと、従業員などの社会的弱者を守るために、最善の方法を選択し全力で取り組んできました。
そして、得られた最善の結果の先にあるのが、経営者としてのプライドの喪失ということになるのです。
判っていたとはいえ、経営者としては、なかなか納得できることではないでしょう。
経営者の気持ちは分かりますが、経営者は、ちょっと目的をはき違えているのかもしれません。
このスポンサー企業への事業譲渡が失敗すれは、この会社は間違いなく破綻をしていたでしょう。
そうなると、経営者やその家族が路頭に迷うのは当然のごとく、従業員も生活を喪失したり、仕入先が連鎖倒産をしたかもしれません。
そんな事態を回避し、会社の看板を守り、社会的弱者を守るために、経営者は自分を犠牲にして事業譲渡に取り組もうとされたのです。
その結果として、従業員の雇用を今までと変わりなく守られました。
仕入先についても、売掛債権を全て支払い、今後の取引継続も可能にされたのです。
債権者金融機関に対しても、経営破綻すれば配当はほぼゼロだったのに、瓢箪から駒の様な配当を可能にされました。
事業の看板も守られ、今後の生活の糧も確保されて、ご家族の不安もなくなったことでしょう。
これ以上、望むべくもない、最良の結果だといえるのではないでしょうか。
たしかに、経営者として、今までの様な対応されることはないでしょうが、それは当たり前のことなのです。
そんなことよりも、経営者としての目標を、完全に達成されたのですから、胸を張って自慢をされるべき結果ではないでしょうか。
全てを失って、当たり前の状況で、全てを守ったという事実に、誇りを持たれるべきだと思います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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