相続不動産を守る・・・


 

経営者にも、人生があります。

連帯保証人にも、生活があり、守らなければならない家族があります。

たとえ金融事故になろうとも、最低限の生活は憲法で保障されているのですから、人生や生活を守ることについて
遠慮する必要はありません。

ご自身の将来を見据え、しっかりと取り組まれるべきだと思います。

 

金融事故になると、債権者はいつまでも債務者を追いかけてきます。

あらゆる手段を尽くし、最終的には債務者の資産に対して強制執行をしてでも、債権の回収を図ろうとしてきます。

その対象となる資産が、現在保有する資産だけであれば、資産を予防的に保全することで対応は難しくないのかもしれません。

しかし、将来的に発生すると予測される資産に対しても、債権者は手を伸ばしてくるから厄介なのです。

 

金融危機に陥ると、多くの経営者は自分のことはどうなってもいいから、事業や従業員を救いたいと考えられます。

この考え方は大事なことでしょうが、経営者の人生についても、しっかりと考えて対応する必要があります。

従業員を守ることができるのは経営者だけですし、そのためにもご自身の環境をまず安定させることが求められるのです。

実際に経営する会社が金融事故になったのに、経営者の生活を安定的に確保するというのは、少し違和感を覚えられるかもしれません。

しかし、経営危機に対応するには、これが大事なことであり、十分に可能なことだといえます。

なぜなら、経営者は代表者として道義的責任があり、連帯保証人として法的責任があるのは間違いありませんが、1人の人間として最低限の生活を確保する権利があるのです。

そして、会社とは人格の違う個人として、家族を守る責任がありますから、経営者はご自身の生活を守ることに前向きに取り組むべきだと思います。

生活をおくるうえで、必要な資産を守ったり、生活の糧を得ることに躊躇することなどありません。

債権者は、金融のプロとして、債権回収をしてきますから、債務者としても資産を守るために万全の対応が必要なのです。

ただ、忘れてはならないことがあります。

それは、将来発生するかもしれない資産についても、債権者は追及してくる可能性があるということになります。

金融事故が発生する以前の資産を保全するのは容易でも、今後、新たに資産化するものまで視野に入れて対応するのですから大変です。

具体的には、ご両親などから資産を相続した場合のことで、その相続資産についても、債権債務が残り続けている状況では債権回収の対象となってしまいます。

多くの経営者が、この様な環境での相続に対応されていますが、大失敗事例も少なくありません。

そんな中で、知っておきたい興味深い事例がありますのでご紹介をしたいと思います。


まずは失敗事例になります。

Aさんは、経営していた事業を任意整理した直後に、父親を亡くされました。

相続資産は自宅や預貯金などがあり、法定相続人は、母親と妹とご本人の三人になります。

普通であれば、スムーズに相続されるべきものですが、Aさんは債権者から厳しい債権回収を実施されている最中であったので、遺産分割や不動産登記変更もせずに放置されていました。

それから四年が経過し、債権回収も落ち着いてきた頃、突然、裁判所から書類が届いたのです。

内容は、亡くなったお父さんの自宅資産について、相続権者のAさんの債権者として、信用保証協会が代位で相続の登記を実行したというものです。

驚いたAさんが自宅の不動産謄本を取得して確認すると、強制執行を原因に、法定相続分に合わせて登記が変更されていました。

信用保証協会が、ここまで債権回収をしてくるのには驚くしかありません。

早い段階で、母親か妹名義にしておけばよかったのですが、それをすると詐害行為で追及される可能性もあったため放置していたのが失敗でした。

放置し続けるのではなく、状況に合わせて、タイムリーに登記変更すべきであったということになります。


次は、割り切った相続対策の事例になります。

Bさんは、製造業をされていましたが、コロナによる影響で廃業するしかなくなりました。

商取引債権や労働債権は全て処理できていましたので、任意整理を選択して事業は放置することを選択されました。

大きな金融負債はありましたが、とても弁済できる状況ではなく、それらは金融事故となり債権回収が始まっています。

そんな時に、お父様が体調を壊されたのです。

直ぐに命がという診断ではありませんが、80歳を超えるご高齢ですから、いつ何があっても不思議ではありません。

しかも、お父様には不動産などの資産もありますから、相続について具体的に考えておく必要があります。

ところが、Bさんは、自分の債務で、債権者から厳しい追及をされている状況ですから、単純に生前贈与を受けるわけにもいきません。

そんな時に、Bさんの選択された手段は、早い段階での破産です。

当初は、任意整理を選択して、金融債務は棚上げして対応しようと取り組んでこられましたが、これでは相続を受けるわけにはいかないので方針変更するしかありません。

Bさんには、目ぼしい資産も無かったため、早い段階で破産して免責を受けて、スムーズに相続が出来るようにされたのです。

相続がいつになるか判りませんが、現状においては、ベストな選択であるといえるのかもしれません。

 

債権債務処理と相続は、微妙な関係にあります。

破産などの法的手続きを選択し、免責を受けて債務が無くなれば、相続においての問題はなくなります。

しかし、守るべき自宅やその他の資産があるため、任意整理を選択して、それらの資産を守ろうとする場合に問題になります。

任意整理は、債務を抱えたまま対応する手続きであり、債権者の債権回収に晒された状況が続くことになります。

したがって、強制執行の対象となるような資産を持つわけにはいかないので、単純に相続が出来ないのです。

任意整理を選択する場合には、生前贈与などの効果的な手段を、タイムリーに実施しておく必要があるということになります。

 

 

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