資金繰りが悪化したり、経営破綻するかもしれないという不安を抱くと、多くの経営者は、冷静さを喪失してしまいます。
その様な状況では、対応の方法など見出すことは出来ず、状況をさらに悪化させてしまい、経営危機は現実のものとなってしまうのかもしれません。
しかし、この初期においての対応が、経営危機を打開するには重要であり、結果を大きく左右してしまいます。
経営危機を打開するためには、基本的な取り組みの流れを理解することが大事になるといえるのです。
経営に不安を感じた時の、打開に向けての対応手順は、極めてシンプルです。
状況や環境に関係なく、次の流れに沿って処理手続きを進めていくだけのことだといえます。
① 正しい経営状況の把握
② 資金繰りの確保
③ 経営改善への取り組み
④ 次のステージの準備
この①~④の流れに沿って取り組むことが、経営危機の打開に向けての近道になります。
まず①の正しい経営状況を把握についてですが、これにより今後の取り組みの方向性が確定することになります。
そして、驚くことに、多くの経営者が、自ら経営する事業の状況について間違った把握をされている様なのです。
健全な問題のない経営状況なのに、意味のない不要な不安を抱いておられる経営者は少なくありませんし、数日後に破たんしても不思議ではない様な経営状況なのに、まだ何とかなると笑顔を絶やさない経営者もおられます。
こんな状況で、間違った対策に取り組めば、状況をさらに悪化させてしまうのは間違いありませんので、まずは客観的に正しい経営状況を把握することが大事なのです。
しかし、経営に不安を感じた時に、正しい経営状況を把握するのは簡単なことではありません。
こんな時には、②の今後の資金繰りがどうなるかで把握されることをお勧めします。
資金繰り表を作成し、当座の資金繰りが確保できるのならば、事業継続は可能だということになり、経営改善などといった前向きな対応にチャレンジできるということになります。
難しい対策をせずに、1年程度の資金繰りが確保できるのであれば、経営改善も十分に可能な経営状況だといえるのでしょう。
様々な対策を実施して、ようやく当座の資金繰りが確保できるような状況ならば、事業継続は可能でも、経営改善は難しいということになるのでしょうか。
個人の資金・資産をつぎ込んでも、ようやく資金繰りが確保できるような状況ならば、経営改善は諦め、事業の継続に特化して取り組むべきなのかもしれません。
資金繰りの確保が、既に難しいという状況になっているのならば、経営改善どころか、事業の継続さえも諦めるしかないといえるのでしょう。
この様に、事業の継続の可否と経営改善への取り組みの可否は、資金繰りの状況次第だといえるのです。
要は、事業継続や経営改善に取り組めるだけの時間が確保できるかどうかということであり、それが資金繰りであるということになります。
当然、経営危機状況という有事での資金繰りとなりますので、取り組みは簡単ではありませんが、案外と想定以上の長期に亘る資金繰り確保が出来ることが多いようにも思われます。
資金繰りの結果次第で、経営改善に取り組んだり、次のステージの準備に移ったりということになります。
十分に経営改善が可能な状況であれば、全力で取り組むことになるでしょう。
経営改善の可能性が高くないという判断であれば、経営改善に取り組みながら、次のステージの準備にも同時に取り組む必要があるのかもしれません。
もしも、経営改善が無理だという経営状況の判断になるのであれば、次のステージの準備を重点的に進めることになります。
この場合の次のステージの準備とは、現形態での事業継続を諦め、別形態での事業継続に取り組むということになります。
同時に、そのために必要な資産の確保や、新たな受け皿となる事業形態の用意をする必要もあるでしょう。
以上が、経営危機を打開するための基本的な流れになります。
事業再生の専門家は、難しいことを並べて、時間や費用を掛けさせようとしますが、そんな必要はありません。
この流れに沿って取り組めば、自らの力で費用もかけずに取り組むことが可能になります。
それぞれの経営状況に適した、最善の対応方法に取り組めることになり、事業を維持できる可能性が随分と高くなることは間違いありません。
経営に不安を感じたら、経営者としの責任を果たすため、是非、取り組んでみてください。