借入金が返済できなくなると、直ぐに裁判をされるものだと思っていました。
そして、現預金や不動産、高価な動産などの資産が強制執行をされて、身包み剥がされるものだと信じていたのです。
ところが、現実は全く違い、債権回収はそんなに容易にされるものではないと判りました。
強制執行をするにしても、その対象となる資産を探すのが困難で、成功する可能性が低いので債権者も積極的には取り組まないというのです。
債権回収への取り組み方が、ここ20年ほどで大きく変化をしてきたようにと思います。
金融機関などの債権者の都合に合わせたかのように、様々な面で変化をしてきました。
もちろん、債権回収の可能性を向上させたのですが、それだけではなく、不良債権として処理する方向でも、合理的に取り組めるようになりました。
ダラダラといつまでも債権回収を続けるのではなく、債権回収処理についてメリハリをもって取り組めるようになったのです。
特に最近は、効果的に債権回収に取り組むための、前提となる制度が確立されたということが大きいでしょう。
それが財産開示手続であり、第三者からの情報取得手続きということになります。
債権回収については、様々な手続きがありますが、なかなか結果を出すことが難しい手続きが多く、結局は、最終的に差押に頼ることが多くなります。
差押が、最終最後の効果的な債権回収手段であることは間違いないのですが、それでも大きな欠点があります。
それは、差押の対象となる資産が無かったり、資産の存在が把握できていなければ、差押をしても効果が得られないということなのです。
資産の存在についても、手続きをすることで簡単に調べるれる様に思われていますが、実際は非常に困難だといえます。
したがって、資産の存在を把握することが、差押による債権回収の成否を決定するともいえるのです。
そして、この資産の把握を容易にし、差押の効果を向上される手続きが、令和2年4月の民法改正により用意された新財産開示手続と第三者からの情報取得手続きということになります。
一定の手続きに拠り、債権回収の対象となる債務者の資産を把握することのできる手続きなのですが、差押による債権回収にとって、想定以上に効果的な制度として多く利用をされる様になりました。
この財産開示手続と第三者からの情報取得手続は、債権回収の風景を大きく変えようとしていますが、裁判にも影響を与えようとしています。
金融機関からの借入金の返済ができなくなり、利払いも出来なくなると、期限の利益の喪失をします。
その結果、正式な金融事故となって、金融機関等の債権者は、状況に合わせて様々な債権回収を実施してくるようになるでしょう。
代位弁済や担保権の実行などの債権回収手続に続いて、支払いの訴訟をされることも少なくありません。
そうなると、裁判に呼ばれて、被告・債務者として、法廷で意見を陳述することになるのです。
裁判で追及を受けるという様な流れを聞いただけで、真っ青になってしまう債務者も少なくないと思います。
実際、裁判に呼ばれても、以前は、欠席される方が珍しくありませんでした。
それは、裁判に出廷することが不安で怖いからという理由だけではありません。
出席して、一生懸命に意見を陳述しても、裁判の結果は見えており、被告・債務者が勝てることなどまずないからという理由も大きいのではないでしょうか。
したがって、どうせ負けるのだからという理由で、欠席される方が多かったようなのです。
しかし、令和2年4月の民法改正以降、この様な裁判にはできるだけ出席するべきだと私はお勧めをしています。
それは、債務者として当然の責任だということよりも、その次に控える手続を、何とか回避をしたいと思うからなのです。
債務者が裁判で勝つと、その次には財産開示手続や第三者からの情報取得手続等に着手される可能性が少なくありません。
したがって、裁判で負けた債務者は、この対応の難しい新しい債権回収に関する制度に、真正面から向き合わなければならないのです。
これは、簡単なことではありません。
できれば、この様な手続きに着手されることを回避するため、その予防の意味で、法廷において債務者としての誠意をしっかりと伝え、生活の現状を伝えます。
本当に、資産など何も残っておらず、生きていくことさえ厳しい状況を理解してもらうのです。
そうすることにより、財産開示手続や第三者からの情報取得手続に着手することが無駄だと思ってくれるかもしれません。
債権者に、債務者としての状況を理解してもらえる、最大のチャンスが裁判ということになるのです。
そして、無駄なことはしないというのが、債権回収のプロの特徴でもあります。
当然、無い袖は振れない状況での対応になりますが、正面から馬鹿正直に対応することが重要だと思います。
その後の展開にとって、この様な姿勢で取組むことが不可欠なのではないでしょうか。
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