ここ40年程で、政治家に対する国民のチェックが、180度変化したように思います。
我々の子供の頃、それなりの政治家ならば、妾さんがいても不思議ではありませんでしたし、そんなものマスコミもニュースにしませんでした。
『英雄 色を好む』というのか、政治家の力の象徴として捉えられ、各省庁など公的機関への口利きも同じ様な意味合いにより、許される時代だったのでしょう。
それが、複数の総理大臣の醜聞や政治家の醜態により、いつのまにか、マスコミの格好の餌食となるようになり、国民の厳しい目に晒されるようになってしまったのです。
政治家として、佳き時代は過ぎ去り、政治家であることが難しい時代になってしまったのかもしれません。
本来、政治家は、国民や支援者のために、その政治力を有効に発揮するものだと思っていました。
ところが、現在においては、そんな政治力よりも、公私に亘る潔癖さが求められる様になっています。
そんな状況の中で、政治家の融資についての口利きが問題になっています。
当時、財務副大臣であった元公明党の衆院議員の遠山容疑者が、日本政策金融公庫の融資を斡旋したという事件です。
容疑は、貸金業法違反で、遠山容疑者が日本政策金融公庫の融資を無登録で仲介に関与したというものになります。
遠山容疑者は、親しい知人を通しての100件前後の融資案件について、秘書を使って日本政策金融公庫の融資担当者などの内部情報を照会し、遠山容疑者の絡む融資総額は、37億円を超えるほどにもなったそうです。
その結果、親しい知人は融資額に応じた手数料を得て、遠山容疑者にも現金を渡すなどしていたという事件になります。
別に、それほど驚くような事件ではないのかもしれませんが、まだ続きがあります。
日本政策金融公庫全体の20%ほどの34支店が、この遠山容疑者が絡む企業や個人に対する融資業務を担当したといいます。
そして、東京地検特捜部の調べで、融資の手続きが国会議員の紹介を想定したマニュアルに沿って進められ、組織的な優遇が行われていたというのです。
この東京地検特捜部の調べには、大きな驚きがあります。
日本政策金融公庫という、公的な金融関係機関において、国会議員の対応マニュアルを準備していたという意味は大きいでしょう。
国会議員の力を振りかざした紹介斡旋が日常化しており、対応マニュアルを用意して相対する必要に迫られていたということになります。
公的な金融関係機関に、絶大な権力者である国会議員が関与することで、与信などの意味はなくなり融資が実行されるのですから、このニュースに驚かれた方も少なくないと思います。
しかし、我々の周辺でも、実は、この様な事例は少なくありません。
我々の業務において、公的な金融関係機関との特殊な事例に絡む場面は少なくありません。
中小事業者にとって、公的な金融関係機関の代表といえば信用保証協会と日本政策金融公庫になりますが、政治家の関与に対する対応について、この両者は全く異なるように思います。
我々の経験や事例からいえば、信用保証協会については政治家の影響は大きくないといえます。
信用保証協会は、各都道府県や大きな都市などに設けられて、所属する行政の議会で保証協会に関する審議がなされますので、影響力を持つとすればその行政の首長や議員ということになります。
しかし、その議員さん等に依頼して、保証協会に『新規保証時』や『代位弁済後』のことで口利きしてもらっても、ほとんど影響はありません。
話は聞いてもらっても、『だから・・・?』という感じで終りなのです。
ところが、日本政策金融公庫は、当たり前の様に対応をしてくれます。
国会議員への対応マニュアルの存在を知り、なるほどと思ってしまうほど、事前から準備されている様な対応なのです。
あるお客様から、融資のご相談をいただきました。
日本政策金融公庫に2500万円の融資を申し込んだが断られてしまい、このままだと資金繰りが破綻してしまうというご相談内容になります。
お客様の地元選出の衆議院議員は、当時、財務副大臣をされておられましたので、公庫の融資についてご相談行くように勧めました。
直ぐに、衆議院議員事務所に相談に行かれると、秘書が対応して話を聞いてくれて、公庫にまで同行をしてくれました。
その結果、余裕を見て申し込んだ3000万円が、満額、融資実行されたのです。
ご相談者は、衆議院議員の秘書から手数料などの費用的負担は一切要求されず、その後の選挙で支援を続けておられます。
あるお客様は、新規事業に取り組むのに6000万円ほどの融資が必要になり、以前から親しくしていた大物衆議院議員に相談に行かれました。
話を聞いた衆議院議員は、日本政策金融公庫に電話して話を付け、担当する公庫の支店と担当者を教えてくれて、後日、連絡するように指示してくれました
その担当者に電話を入れると、既に融資が決まっていたかの様に話が進んでいきます。
言われた書類を作成し提出するだけで、要望通りの融資は実行されました。
お客様は、大物政治家に電話でお礼を伝え、その後も今まで通りのお付き合いをされています。
ご紹介した事例は現実であり、他にも、同じ様な公庫の事例は複数存在します。
我々は、日本政策金融公庫は、政治家の影響力を容認する組織だという認識があります。
中小事業者において、資金繰りを確保する融資の最終手段として、日本政策金融公庫が対象になりますから、成功するのなら、政治家を活用することに躊躇する必要はないと思います。
ただ、私の知っている限りにおいて、仲介手数料として大きなお金が動いたことはありません。
秘書に、僅かな寸志を渡された事例はあっても、多くは、その後の選挙支援ということになります。
したがって、遠山容疑者の仲介手数料を前提とした斡旋は、公庫の善意を悪用した面でも大きな問題だと思います。
ただ、この事件により、日本政策金融公庫の対応が変化し、中小事業者に厳しくなることは避けてほしいと願います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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