経営者にとって、いつの間にか積み重なった膨大な借金は、頭痛の種だろうと思います。
返済できるはずのない借金を目の前にし、多くの経営者は、資金繰りと見比べながら途方に暮れて前途を見失うのではないでしょうか。
実は、そんな経営者を、根本的に救うことのできる、借金を消滅させたり減額させる方法が様々に存在します。
借金の請求権を消滅させる時効も、借金を最終的に消滅させる合法的な方法として、極めて有効な手段だといえます。
時効は、最後の時効の中断から、決められた時効期間を中断することなく完成することで、内容証明郵便により時効だと援用すると完成をします。
中断をすると、また新たに時効は始まりますから、債権回収の必要な銀行や保証協会,サービサーなどの債権者は、当然に様々な手段を講じて時効を中断させようとしてきます。
どうすれば、時効が中断するのかは、下記の行為によります。
1.承認 一部でも弁済したり、利息を支払う。債務承認文書にサインするなど。 2.請求 裁判上の請求。 訴訟・支払い督促・和解・調停など 3.差押・仮差押・仮処分,抵当権の実行
内容証明郵便により請求は、正式には中断ではなく、時効の停止ということになり、内容証明による停止から6ヶ月以内に訴訟等をしないと、停止は無かったこととして扱われますから注意しなければなりません。
今回の民法改正で、時効の中断と停止が、時効の完成猶予と更新ということになりました。
たとえば、訴訟などの裁判上の請求をすると、今までは、時効を中断しました。
しかし、訴訟などを申し立てるのは、時効を止めるだけの効力しかないはずです。
訴訟により、債権債務の存在を認めた判決が確定したときに、初めて時効を中断する効力が発生して、時効は更新されて新たに始まるというのが正解だと思います。
今までは、厳密には、中断ではなかったものが、今回の民法改正により、訴訟などによって時効は完成猶予して、その後に確定判決が得られると、時効は更新するということになったのです。
訴訟などによって時効が中断するのではなく、完成を猶予するだけであり、その後に、確定判決が得られて権利が確定することにより、時効は更新しゼロから再度スタートするということが、今回の民法改正により明確にされました。
これが、時効の完成猶予と時効の更新ということになります。
これは、強制執行や担保権の実行,競売,財産開示手続においても同じことで、これらの手続きに着手することにより、時効は完成猶予となります。
そして、これらの手続きが終了するときから、時効は更新してゼロから再スタートということになるのです。
今回の民法改正において、留意すべき新たな内容がもう一つあります。
仮差押と仮処分などの手続きは、以前は差押えと同じように扱われて時効の中断事由でしたが、民法改正により、手続きが終了するまで完成猶予をするだけであり、更新させるまでの効力はなくなりました。
これは、その性質上、当然のことだろうと思いますが、ただ、仮差押や仮処分が取り下げられて手続きが終了しても、その後6か月間は、時効は完成しない(完成猶予)ということになりました。
この、『その後6か月間は時効が完成しない』というのは、今回の民法改正おける一つのキーワードだといえるのかもしれません。
裁判上の請求をしても効力を得ることなく事由が終了した場合(勝訴できなかった場合など)でも、終了の時から6か月は時効が完成しないということなっています。
また、強制執行や担保権の実行等においても、取り下げなどにより事由が終了場合も、終了の時から6か月は時効が完成しないということなりました。
この6か月のルールは、当然に内容証明にも適用されます。
今までも、内容証明は時効を中断する効力はなく、6ヶ月間において時効を停止するだけでした。
そして、この6ヶ月の間において、差押や訴訟などをして時効の中断をしないと、時効の停止はなかったものとされましたから、今回の改正の原型とも言えるのかもしれません。
今回の民法改正により、時効の中断・停止が根本的に見直されたことになります。
その間は時効が完成しないという時効の完成猶予と、一から新たに時効が進行するという時効の更新が新設されました。
そして、「承認,仮差押・仮処分・差押,請求」といった時効の中断事由が、夫々具体的に完成猶予と更新に当てはめてルールづけられたということになります。
時効の知識を、根本的に入れ替える必要があるほどの改正だといえるのではないでしょうか。
次回は、時効の承認や、新設された時効の協議について理解していきたいと思います。
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