借金は時効で消える・・・


4年前に、事業をしている親しい友人に頼まれ、運転資金として300万円を貸しましたが、全く返済をしてくれません。

事業が厳しいことは判っていますから、なかなか請求できるものでもなく、必ず返すと言ってくれている言葉を友人として信じるしかありません。

時効は10年であり、未だ6年程残っていますから、もしも返済してくれなくても、今、慌てる必要はないでしょう。

ところが、この4月1日の民法改正による時効期間の改正は、この考えを根底から覆すことになってしまいうのです。

 

 

借金の返済や、未払い金の支払は債務者の義務であり、債権者にはその請求権があります。

その請求権を、一定期間行使しないと、時効によって権利が消滅をします。

これにより、支払いをしなくて良くなるのが、消滅時効の完成ということになります。

支払をしなくても良いといっても、借金が無くなるわけではなく、請求権が消滅するということですので留意してください。


そして、行使しないと請求権が無くなるという一定期間は、債権の種類によって異なるので注意が必要です。

まず、借金においても、民事債権と商事債権に分かれ、時効期間も民事債権は10年,商事債権は5年とされてきました。

民事債権は個人間の借金で、商事債権は商人が当事者となる借金になります。

たとえば、信用金庫は商人ではありませんから、信用金庫が個人に貸した場合の時効期間は10年ですが、信用金庫が事業者(商人)に貸した場合の時効は5年となります。

この民事債権としての10年の時効期間が、この4月1日から大幅に短縮をされ、商事債権と同じ5年間になります。

そして、民事と商事の区別が不要になったため、商事時効の5年という中断期間も廃止されることになりました。

冒頭の例でいえば、4年前に貸して、その後に時効の中断をしていなければ、時効完成の残り期間は1年程ということになり、のんびりする訳にはいなないということになるのでしょうか・・・。

 

また、職業別においても、今までは時効期間が異なりました。

給料や飲食費は1年,授業料や小売り代金は2年,診療費や工事代金は3年などといった様に、職業により細かく時効期間は決められており、極めて複雑でした。

これについても、この4月1日から、原則として5年に統一されることになったのです。

今までは、1年で消滅した飲食店の請求権が、今後は5年になるわけですから、簡単に時効を援用できなくなったということになります。


時効の期間について、一定期間行使しないという期間は、いつからいつまでの期間なのかについても理解しておく必要があります。

この民法の改正により・・・

債権者が権利を行使できることを知ったときから5年・・・

権利を行使することができる時から10年・・・となり、いずれか早い方によるということになりました。

この区別は判りにくいので、事例で考えてみます。

パソコンを購入する契約をして、買主はパソコンをその場で受け取りました。

この段階で、売主は請求という権利を行使できることになり、時効はここから開始して、10年ということになります。

しかし、現実的には、契約を結んでいますから、権利を行使できることを知っているということになり、時効期間は5年ということになるのです。

一般の売買において、売主は請求できることを(権利を行使できることを)知っていて当たり前でしょうから、この度の民法改正により時効期間は5年に短縮されたといえるのです。

 

今回の民法改正により、消滅時効の期間はシンプルで判り易くなったといえるでしょう。

そして、短期時効が5年に統一されたため、通常の社会生活においては、時効の援用は難しくなったともいえるのかもしれません。

次回は、時効の中断・停止の見直し等について、理解をしていきたいと思います。

 

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