言葉で伝えるというのは、すごく難しいことだと思います。
僅かな言い回しの違いで、意味は変わり、受け手の捉え方も変わってしまうかもしれないのです。
同じ内容で同じお願いを、複数の金融機関に伝えたつもりでしたが、受け取る側の金融機関は、それぞれに違った捉え方をしてしまったのかもしれません。
ある銀行は、支援をしようと笑顔をみせてくれますが、ある銀行は、厳しい顔で追及をしてくるのですから、言葉の使い方とは難しいものだと思い知らされました。
ご相談者は、卸売業を営んでおられますが、数年前から経営が厳しくなり、ついに資金が不足をするような状況になりました。
大口の取引先が、支払い条件を悪化させたのが原因ですが、その影響は資金繰りに対して大きすぎます。
ご相談者は、経営状況の悪化に伴う資金繰りに振り回され、心神喪失に陥り、業績は更に悪化の一途を辿っています。
金融機関からの借入については、未だ約定通りに支払っていますが、元本の返済どころか、利息さえも支払えないような状況に、一気に追い込まれてしまったのです。
ご相談者は、5行の金融機関から借入をされており、全ての金融機関に、元利共の支払について、棚上げを依頼するしか方法はありません。
債権者である金融機関には、次のような内容で説明し、お願いをすることにしました。
1. メインの得意先が破綻状況で、入金が遅れ、売上も大きく低下した。
2. その影響で、他の営業もできず、業績は悪化し資金繰りもひっ迫した。
3. 体調が戻れば、事業を回復できる目途は十分にある。
4. 1年間だけ、元本にプラスして、利払いも棚上げしてほしい。
無茶な内容のお願いであることは解っています。
元金返済と、利息の支払いの、意味が大きく違うことは理解しています。
利息の支払いを止めるのは難しく、金融事故につながることも理解しています。
それでも、資金繰りを確保するためには、利息の支払いも停止するしか方法がなかったのです。
最初の4行は、ご相談者の説明に耳を傾け、いくつか質問はされましたが、ある程度の理解を示してくれたようです。
取り組みの可能性に首を傾げながらも、前向きに検討すると言ってくれた金融機関さえありました。
最後に説明に伺ったA信用金庫は、ご相談者ともっともお付き合いの長い金融機関であり、支店長は若い頃からお付き合いをしている親しい関係です。
その支店長が応対してくれましたので、ご相談者は心を許して、気軽にお話をしてお願いすることができました。
支店長の『業績は回復できますか?』の質問についても、『難しいとは思うが、頑張ります。』と本音で答えたりされたのです。
この、『難しいとは思うが、頑張ります。』という本音の会話が、どうやら問題だったようです。
翌日、A信用金庫からお金を引き出そうとすると、なんと、口座が凍結をされています。
驚いて確認すると、債権回収の問題が発生したので、凍結をしたとのこと。
業績の回復が難しいという本音の会話を、A信用金庫は重く捉えて、債権回収を優先するために口座を凍結したのです。
他の3行が、元利共の棚上げについて検討をしてくれている中で、一番に付き合いの深かった金融機関が、お付き合いを根本的に否定するような口座の凍結をしてきたのには驚きますが、説明の表現に問題があったのでしょう。
ほんの、僅かな言い回しの違いで、受ける側の捉え方が、大きく変わってしまったのです。
厳しい、債権債務処理の場面ですから、言葉尻を捉えられて、想定もしてなかった対応を取られことなど珍しくありません。
金融機関や債権者と対応するときには、表現には細心の注意が必要となります。
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