ノンバンクの担当者から発せられた言葉には驚きました。
『元本さえ完済してもらえれば、遅延損害金は請求しませんよ・・・。』
判りにくい内容かもしれませんか、遅延損害金が損害賠償金という意味合いからすれば、ビックリする様な意味になるのです。
このノンバンクは、債務者の心理と、金融機関の元本の回収という再優先目的を理解した、本当に理にかなった対応だといえるのでしょう。
『遅延損害金』に泣かされた債務者は少なくありません。
誠意と責任感をもって、出来る限りの弁済を続けているのに、債務総額は増えていきます。
ところが、遅延損害金という魔物が、精一杯の弁済など効果のない高利で、債務総額を増加させていくのです。
期限の利益の喪失をした債務者は、この遅延損害金というキーワードをしっかりと理解しなければ、努力が水泡に帰すことになってしまいます。
遅延損害金とは、法的には、債務不履行に伴う、損害賠償金のことになります。
借入をした債務者が、決められた期日に弁済できなかった場合、貸付をした債権者(金融機関系機関等)が損害を被ったとして請求するお金ということです。
利息と似ている様に思われますが、意味合いは全く違いますし、利率は遅延損害金の方が当然に高くなります。
一般的には、14%~20%という高利が、不良債権化した元金に課せられますから大変です。
ある債務者は、期限の利益の喪失をして不良債権となった債務額が2000万円ありました。
生活さえも厳しい中で、毎月10万円を弁済され、必ず完済しようと頑張っておられたのですが、弁済を始めてから1年後に債務残高を確認すると増えているのです。
1年間で120万円もの大金を、全てを犠牲にして完済を夢見て弁済されたのに、遅延損害金が年20%の高利で掛かかり、債務残高は増えてしまったのですから、債務者のショックは並大抵ではありません。
債権者の担当者に、遅延損害金について確認しても、明確な答えは返ってきません。
これだけ頑張っても、債務額が増えるのであればと、その後、債務者が弁済を停止されたのは、仕方のない選択だといえるのではないでしょうか。
遅延損害金の利率が20%であれば、5年で債務額は倍になるという計算が成り立ちます。
単純に考えれば、毎年、元金残高の20%程度を弁済することができなければ、債務額は増加してしまうということになるのです。
このことを、期限の利益の喪失後の弁済に悩んでおられる債務者は、理解される必要があると思います。
この理屈を理解された債務者の多くは、無理して弁済することに意味がないと判断されるようですが、当然の選択だといえるのかもしれません。
遅延損害金の扱いについて、債権者に尋ねても明確な答えなど返ってこないでしょう。
多くの債権者は、元金を完済したら、遅延損害金については考えるという様な曖昧な表現を使い、明確な答えは避けます。
理屈の判らない債務者は、この様な表現に騙され、元金を完済すれば遅延損害金は免除してもらえるのだと捉えてしまうでしょう。
しかし、債権者は、そんな甘いものではなく、元金が回収できたら、次は遅延損害金を回収しようと考えるものなのです。
詐欺の様な話ですが、この様な事例は、公的な機関である信用保証協会でさえ珍しくはありません。
だからこそ、冒頭でご紹介した事例は凄いといえます。
というより、本当に元金を回収しようとするなら、債権者はこの様な考え方を持つべきなのかもしれません。
債務者は、僅かずつ元金を弁済しても、遅延損害金も請求されて債務額は増え続けることを知るようになるのです。
そうすると、意味がないと考えて、弁済をどうしようかと悩んで当たり前になります。
このノンバンクの対応は、この債務者の心理を理解し、債権者の最優先テーマが元本回収だと再認識した、効果的な対応だといえるでしょう。
私は、この様な考え方をした金融関係機関は、このノンバンクしか知りませんが、他の金融関係機関も見習うべきではないでしょうか。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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