『債権者金融機関からの脅し』という表現、それは間違っているだろうとご指摘を受けたことがあります。
以前、ブログに書いた内容なのですが、契約通りに利払いができなくなったご相談者が、銀行の担当者から『このまま利払いができないと、大変なことになりますよ・・・』と通告されたのです。
こんなことは、よくある話であって、担当者にすれば利払いをしてもらうためと、金融事故にしないためなどという目的があったのかもしれません。
しかし、その言葉を投げかけられた債務者にとっては、不安を煽る脅しにしか聞こえないと思います。
・資金繰り悪化で、利子の支払いさえも、現実的にできなくなってしまったとき・・・
・経営が厳しい状況で、金融機関の要請にこたえることができなかった時・・・
そんな時、金融機関の担当者が、決まって口にする言葉あります。
『大変なことになってしまいますよ・・・』と
金融機関の担当者も、けっして、悪気があって発言したわけではないでしょう。
その職責からして、当たり前の発言をしたのだと思います。
しかし、『大変なことになってしまいますよ・・・』という発言、それは債務者( 融資を受けている事業者 )には想像以上のプレッシャーを与えてしまいます。
何故なら、その言葉を受けるだろう債務者は、厳しい経営状況の中で、これからどうなってしまうのかという不安の渦中にあるからなのです。
真意を誤解して、間違った答えを導き出さないため、『大変なことになってしまいますよ・・・』という言葉、その意味はしっかりと理解しておく必要があるのかもしれません。
基本的な復習を、1つさせてください。
元本と利息という言葉あります。
よく、元利共などと、同じものの様に扱われますが、その意味は異なります。
元本は、金融機関等から借りた資金のことで、金融機関の商品ということになります。
利息は、金融機関等から借りた資金に対して支払う借り賃的なもので、金融機関の利益ということになります。
したがって、
借りた商品ですから、元本は返済する・・・
金融機関の利益ですから、利息は支払う・・・
この様に表現され、意味も違うということになるのです。
金融において、この意味の違いは大きく、中小事業者の資金繰り大きな影響を与えます。
元本を返済できないと、借りた商品を返済できないということになりますが、金融機関の収益にリアルタイムに影響を与えるわけではありません。
事前に、債権者金融機関にその旨を伝え、了解を得ることができれば大きな問題とはならないでしょう。
これが、返済条件の変更やリスケジュールといわれるもので、現在では、中小事業者の重要な資金繰り手段となっています。
ただ、金融事故などにはなりませんが、債務者としての与信は低下し、今後の金融機関との取引に影響を与えることは否定できません。
元本返済とは違い、利息の支払いができないと状況は一変します。
利息が支払えないということは、金融機関は利益 ( 儲け )を得られないということになりますので、大きな問題ということになるのです。
事前に債権者金融機関と交渉しても、了解を得るのは極めて困難 (ほぼ不可能)だといえます。
債務者としての評価は大きく低下しますし、金融事故に直結する可能性さえあります。
利子の支払いを3回停止すると、一般的には期限の利益の喪失をします。
期限の利益の喪失をすると、正式な金融事故となって正常な取引は終了し、債権者金融機関は債権回収を展開することになるのです。
期限の利益の喪失 = 金融事故 ⇒ 債権回収
この様な流れになりますから、まさしく『大変なことになってしまいますよ・・・』ということになってしまいます。
まず、金曜機関との健全な取引は停止され、その金融機関にある主債務者や保証債務者の預金口座が凍結され、いずれは債務と相殺されることになるでしょう。
続いて、信用保証協会などの保証機関が、当然の流れとして代位弁済をして、債権者が代わることになります。
さらに、担保権の実行 (任意売却や競売など) などにより債権回収が本格化してきます。
訴訟関係や強制執行などの、様々な法的な手続きも実施されるかもしれません。
あらゆる債権回収手続きに取組まれる、そんな可能性があるということなのですが、これが、金融機関担当者のいうところの『大変な・・・』ということになります。
債務者にとっては、凄いプレッシャーや不安を感じることになるでしょう。
当然に、脅しだけの意味ではなく、実際に展開されるかもしれないことなのです。
したがって、まずは健全な状況を維持する様に、可能な限り努力すべきだと思います。
それでも、健全な関係を喪失する様なことになれば、『大変な・・・』という脅しが現実になってしまいます。
しかし、命までとられるわけではありませんので、冷静に具体的に準備し対応していくようにしてください。
『大変なことになってしまいますよ・・・』ということは、ほぼ予測が可能ですから、慌てる必要はありません。
その意味を理解し、最善を尽くすことが大事なのです。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
↓
会社再生・経営危機打開・事業承継オンラインセミナーをご覧ください,
↓
ランキングです クリックして応援してください
↓
ランキングです クリックして応援してください
↓