融資に経営者の保証不要に・・・


 

今、中小企業の金融が、画期的に変革しようとしています。

中小企業の経営者は、金融機関から融資を受けるときに、個人保証をするのは当たり前だと思っていました。

ところが、一定の要件において、経営者さえも連帯保証人になる必要がないと、政府が打ち出したのです。

欧米では当たり前のことですが、いよいよ日本でも経営者の連帯保証人が不要になるのかもしれません。

 

 

遂に、ここまで来たのか・・・というのが、本音です。

連帯保証人は日本固有の制度であり、その非人道性から社会問題となっていました。

ただ、社会問題化していたのは、第3者の連帯保証人への就任であり、経営者が連帯保証人になることについては問題視されていませんでした。

経営者が個人保証をするのは当たり前だと捉え、その制度に疑問さえ持たれない経営者も少なくなかったでしょう。

経営者保証に関するガイドラインも用意されていますが、本当に融資が必要な中小事業者には無意味な制度であり、経営者が個人保証することに違和感はなかったといえるでしょう。

現実的に、令和2年の民法改正において保証制度が大きく見直された中でも、経営者の連帯保証は対象となりませんでした。

ところが、中小事業者には信じられないというか、我々さえも驚いてしまうことに、経営者の個人保証を不要にするという『経営者保証改革プログラム』を、政府が正式に打ち出したのです。

これは、中小事業者の金融環境を大きく変革する画期的な制度であり、中小事業者にとっては凄くプラスになる制度ですから、その概要だけでも知っておく必要があるでしょう。

全てに目を通すのは大変なので、知っておくべきポイントをまとめてみたいと思います。


  名称は、『経営者保証改革プログラム』
   ~経営者保証に依存しない融資慣行の確立加速~

  目的は・・・
経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速させて、経営者保証の課題を解消し

    ・スタートアップの創業
    ・思い切った事業展開
    ・円滑な事業展開
    ・早期の事業再生
・・・これらを図るために、4分野で、『経営者保証改革プログラム』を策定し重点的に取り組むこと。

1. スタートアップ・創業
 ~経営者保証を徴求しないスタートアップ・創業融資の促進~

経営者保証が創業の阻害要因とならないために、経営者保証を徴求しないスタートアップ・創業融資を促進。

① 創業から5年以内の融資に、経営者保証を徴求しない信用保証制度の創設
     保証上限額3500万円 無担保 23年3月開始

② 日本公庫は創業5年以内の融資に対し、経営者保証を求めないよう要件緩和
23年2月開始

③ 商工中金はスタートアップ向け融資における経営者保証を原則廃止
22年10月開始

④ 民間金融機関に経営者保証を徴求しないスタートアップ融資の促進を要請
22年中要請


2. 民間金融機関による融資
 ~保証徴求手続きの厳格化,意識改革~

監督指針を改正し、経営者保証を徴求する手続きを厳格化し、個人保証を抑制し債務者の納得感を向上させる。また、経営者保証に依存しない融資慣行確立に向け意識改革を進める。

① 金融機関が個人保証を徴求する場合、その必要性について、債務者に具体的に説明することを求め、結果を記録する。その結果の件数を金融庁に報告させるとともに、金融庁は経営者保証専用窓口を設置して、状況に応じ、金融機関に特別ヒアリングを実施。

② 金融機関に対し、監督指針改正にともなう新しい運用や経営者保証依存しない融資慣行の確立に向け、金融機関トップは取組方針を作成し公表するとともに、営業現場の担当者に徹底させる。

③ 経営者保証に依存しない新たな融資手法を目指し、事業全体を担保に資金調達できる制度の実現に向け議論を進める。


3. 信用保証付融資
 ~経営者保証の提供を選択できる環境の整備(希望しない経営者保証の縮小)~

経営者保証のガイドラインを前提に、経営者保証の解除の取組を徹底するとともに、要件を満たしていない場合は経営者保証を代替する手法を用いて、経営者保証の解除を事業者が選択できる制度を創設。

① 要件を充足すれば、保証料の上乗せ負担により経営者保証の解除が選択できたり、流動資産担保(ABL)により経営者保証の徴求を廃止。また、プロパー融資の一部に限り、経営者保証の解除にむけ借換の保証制度を時限的に創設。  24年4月開始

② 要件を充足する場合は、経営者保証の解除を徹底するよう、金融機関に徹底するとともに、誤解が生じないない広報を展開。;


4. 中小企業のガバナンス
 ~ガバナンス体制の整備を通じた持続的な企業価値向上の実現~

経営者保証の解除を前提としたガバナンスを確保し、官民による支援体制を構築する。

① 経営者と支援機関の、ガバナンスを確保するために目線合わせのチェックシートを作成。

② 収益力改善や体制整備支援等に関する実務指針の策定や、支援策における支援機関の遵守。

③ 中小企業活性化協議会の体制を拡充。


5. コロナ資金繰り支援

① ゼロゼロ融資の借換,事業再構築の新資金需要に対応する借換保証制度などのコロナ借換保証を創設。  23年1月10日開始

② 日本公庫のスーパー低利融資について、要件を満たしてなくても、債務負担の重い事業者は融資対象。  23年2月1日開始


以上が『経営者保証改革プログラム』の概要であり、ポイントを分かり易くまとめました。

更に詳しくお知りになりたい方は、以下のサイトをご覧ください

   01.pdf (fsa.go.jp)


中小事業者の金融の常識が、根本的に変わったといえるほどの制度変更だといえます。

この事実を知っているかどうかで、資金繰りは当然のこと、経営自体にも大きな影響を与える可能性があります。

それほどに、重要な制度になりますので、できるだけご理解されるように努めてください。

 

 

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