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経営者保証と特定調停スキーム

2017/06/24

◆経営危機での、対応の基本

◇は じ め に

中小零細企業の場合、経営危機に陥って、将来に不安を覚える様な局面が、いつ訪れるかもしれません。そんなときの、経営者がとるべき考え方や対応について、検討をしてみたいと思います。たとえ、経営危機に陥っても、対処すべき方法や選択肢が、様々に存在するのが現実です。

しかし、経営に造詣の深い経営者であろうとも、そんな方面の知識はなかなか持っておられないものです。知識がないから、悲惨な結果に導かれることになるのですが、知識さあ有れば、方法を選択することも可能になり、具体的な対策を実施することもできることになります。経営者が、最後まで経営責任を全うするために、経営危機の局面で必要な知識と基本的な流れについて、具体的に掘り下げて考えていきたいと思います。基本的な流れの概要は、以下の様になります。

①事業継続の可否について

まずは、今後の事業継続の可否について、確認することから始めなければならず、そのために、正しい経営状況を具体的に確認し把握する必要があります。これは、今後の事業の方向性を決定づける重要なチェック事項ですから、手間暇をかけてでも取り組んでください。

②事業継続へのチャレンジ

経営状況を確認した結果、事業継続に問題があるという結果になった場合でも、まだ継続を諦めてしまう必要はありません。事業を継続できる可能性や方法がないのか検討してください。少しでも継続できる可能性があれば、当然に全力でチャレンジすることになります。

③原因の把握

次のステージに移る前に、何故、このような状況に追い込まれたのか、その理由についてチェックする必要があります。
どの様な理由により、経営危機に陥ったのかということで、様々に考えられると思いますが、基本は資金繰りの悪化ということでしょう。資金繰りの悪化といっても、一時的な資金不足なのか、長期に亘って資金不足が続いているのか、もしくは手形の不渡りでも発生しそうな状況に陥っているのか、そのレベルは様々になります。
その他の理由として、営業面の変化により将来的な展望を抱けなくなったとか、人員不足や後継者不在など、事業継続を諦めようと様々な理由があり、状況により対応すべき難易度は変化するでしょう。このように、正しい状況確認と、それに至った原因の確認をすることにより、事業継続の可能性は大きくなり、具体性も出てくることになります。

④資金繰りの必要性

現状のまま、事業を継続できる可能性があるのなら、全力で取り組まなければなりません。その為には、資金繰りを確保することが大前提となります。万が一、現状のままでの事業継続を諦めるとしても、次の展開に移るための時間が必要になります。そのためにも、最低限の資金繰りの確保は必要となるのです。

⑤経営改善への取組み

経営危機を打開する理想形は、経営改善により再生をさせることです。したがって、事業継続の可能性があると判断すれば、最優先で経営改善に取り組むべきなのです。

⑥整理を視野に入れた対応

事業の継続が不可能であると判断した場合や、諦めなければならない可能性が高い状況であるならば、整理を視野に入れた対応に取り掛かる必要があります。まずは、整理に向けての選択肢を理解するとともに、整理に取り組む目的を明確にしてください。

  • 全てをオープンにして、全てを債権者に配当するのか・・・
  • 経営者の責任として、従業員や取引先などを守ろうとするのか・・・
  • 父として、家族の生活を維持したいのか・・・
  • もしくは、絶対に諦めずに、事業を継続したいのか・・・

何を目的にし、優先して取り組むべき作業を明確にすることにより、おのずと選択肢も絞られ事になります。
その目的に沿って、事業を諦めるという具体的な手段の選択をすることができて、最善の事業の整理に取り掛かれるのです。ここで整理というと、多くの方は破産を思い浮かべられると思いますが、破産以外の選択肢は様々に存在するという事実を理解してください。
事業を諦めようとしたとき、大事なのは、答えを決めつけずに、全ての可能性を視野に入れて検討するということだと思います。経営改善に取り組みながら、整理の準備もする方など珍しくもありませんし、したたかに、図々しく取組むべきなのでしょう。

⑦次の人生の準備

整理を確定した時、次の人生を確保するための準備も忘れないでください。<整理をする事業を、次の人生のペースにするのも方法でしょう。ご自分の事業であり、人生なのですから、ここは何も遠慮せず、図々しく最善の可能性を求めてチャレンジすべきだと思います。次に、経営危機での対応のポイントについて、具体的に考えてみたいと思います。

1)基本的な判断

経営危機に陥った環境で、経営状況を把握するというのは、簡単なものではないのかもしれません。様々な要素を検討し、複合的に判断をしようとしますから、手続きは複雑になり簡単な作業ではないでしょう。これは、満足のいく経営状況を目指して、あえて細かな経営の問題点までをも抽出し、全てを把握しようとするから、作業は難しくなるのだと思います。

経営者が、精神的に余裕のない経営状況において、こんな複雑な作業を出来るはずありませんし、継続の可否判断が目的の作業ですから、無意味な作業だともいえるでしょう。シンプルに、資金が確保できれば、目的である事業は継続可能になると捉え、資金が確保出来るのかということが判断基準とするのです。

したがって、過去の資金の動きであるキャッシュフローがプラスで、資金の動きの予測である資金繰り表もプラスならば、事業の継続は可能な状況であるという経営状況の把握になります。この段階において、貸借対照表や損益計算書の内容について、難しく検討をする必要などはありません。まずは、資金が確保できて、しばらくは事業の継続は可能であるという事実を把握できればいいのです。

極論になりますが、経営危機という観点からの判断では、貸借対照表において債務超過でも、損益計算書が赤字であっても、キャッシュフローと資金繰りがプラスならば、事業継続においては問題ないということになります。そして、資金確保により、時間的猶予を確保することができるのですから、その間に、財務内容を良くするために、経営改善に取り組んで、根本的治癒を目指せばいいのです。中小零細事業者が、経営危機に追い込まれた場合の対処法において、まずは『正しい経営状況の把握』であり、続いて『資金繰りの確保』という流れになります。

しかし、現実的には、この『正しい経営状況の把握』と『資金繰りの確保』は一体であり、資金が確保出来るかどうかが、経営状況の把握における結論にもなるのです。では、キャッシュフローと資金繰りの状況により、どの様な経営判断をすべきなのかについて考えてみたいと思います。まず、キャッシュフローはプラスであり、資金繰りもプラスが予想される場合は、事業の継続は可能であるという判断になります。資金的には問題のない状況であるということですから、余裕を持って健全経営を目指した対応も可能でしょう。キャッシュフローはマイナスであり、資金繰りもマイナスが予想され、改善の見込みがないような場合は、重要な判断が必要になると思います。資金が根本的に不足している状況であり、無理な事業の継続は、状況を悪化させることになります。次のステージに移るための知識の習得と、従業員や仕入先等の社会的弱者を守るための手段と、人生や事業を維持するための対策が必要になります。しかし、現形態での事業継続は難しいでしょうが、しっかりと対応すれば人生や事業を諦める必要はありません。

キャッシュフローはマイナスで、資金繰りもマイナスだが、頑張ればプラスに転換が可能だと思われる場合は、前向きな姿勢で事業継続に取組んでください。まずは、全力で資金繰りの確保を図る必要があり、聖域なしであらゆる手段を活用し取組む必要があります。同時に、命懸けで経営改善に取り組み、短期的に収益性を改善させることも求められます。また、マイナスから脱却できない場合の対策も準備しなければなりませんから、経営者は大変だと思います。

キャッシュフローと資金繰りの結果が違う場合も考えてみたいと思います。キャッシュフローはマイナスですが、資金繰りはプラスの場合は、資金の確保は可能であるということになります。両方ともプラスの場合と同じ様に対応してください。キャッシュフローはプラスだが、資金繰りはマイナスだというのは、実は対応の難しい状況なのかもしれません。

経営状況が悪化しているということであり、短期で悪化した理由がありますから、その理由を根本的に処理する必要があるのです。基本は、両方ともマイナスである場合に準じますが、状況がより厳しくなる可能性が高いので、しっかりと対応してください。キャッシュフローは、1年間の結果として、間違いのない数値を確保できますが、資金繰りはあくまでも予測であり、不確定な要素が多いという事実を忘れないでください。<予測が甘ければ良い数値になりますし、厳しい予測をすれば難しい数値になりますので、経営者の経験値を基に実体性のある予測をする必要があります。また、資金繰りの期間については、最低でも6カ月間、できれば12カ月間を目指してください。

2)資金を確保する

続きになりますが、キャッシュフローは、過去の資金の動きについての結果になります。過去1年間の、日常の経営における資金の動きをまとめたもので、ある意味、資金面における経営体質を理解する資料といえるでしょう。キャッシュフローがプラスであれば、資金的には回っており、事業継続が可能な経営体質であるということになります。ただ、結果としての数値ですから、今後の事業継続の可否については、根拠として捉えるもので、新たに手を加えて改善することはできません。

しかし、資金繰り表は、これからの資金の動きについての予測ですから、手を加えることは可能です。売上の予測数値を変更するのも、手残り資金を増額するのも、知恵と努力と覚悟があれば可能だといえます。たとえ、大きなマイナスであったとしても、今後の対応次第で数値を改善できるのが資金繰りなのです。そして、経営危機という厳しい状況で、資金破綻を起こさないために、資金を確保して行く作業こそが、本当の資金繰りだともいえます。この状況での資金繰りは、簡単ではありません。

しかし、どんなことがあっても、確保しなければならない資金繰りでもあります。具体的には、既に借入は難しい状況であり、自らの知恵で資金を創出するしかないという、そんな厳しい経営状況で取組むポイントは、全てに資金繰りが優先するということになるでしょう。資金繰りを最優先に捉え、貴重な資産でも聖域なしに活用し、資金としての確保を図るということです。貸借対照表左側の資産の部の項目については、全て資金繰りの原資と捉えるぐらい で取組んでください。そして、資金の流出についても、極力抑える必要があります。綺麗に表現すると、資金の流れを整理するということになるのでしょうか。

語弊があるかもしれませんが、支出である支払などを、出来るだけ遅く少なくするという作業になります。『全ての資産を対象に資金確保を図る』,『資金の流出を抑え込む』、この2点が、資金繰り確保の大原則となります。しかし、これは有事での緊急避難的な資金繰り対策であり、もっとも大事な資金繰り対策が『経営の健全化』であることを忘れないでください。この段階においては、資金繰りというものを、割り切って考えることが大事なのかもしれません。もしも、資金繰りが失敗し、事業が破綻すれば、全てを失ってしまいます。

しかし、資金繰り確保することかできて事業を再生できれば、また資産を得ることも可能だというように考えるのです。したがって、資金繰りを最優先するしか、残された方法はないと割り切ってください。この状況での資金繰りにおいて、留意すべきことが2点あります。まずは、信用不安につながらない様に留意することです。事業を継続するための作業なのに、信用不安が流れれば事業の継続は難しくなってしまいます。貴重な資産を処分したり、支払条件を変更するなどといった資金繰り確保の対策は、信用不安につながり易いといえるのです。全ての資金繰り対策作業に、しっかりとストーリーを構築し、信用不安につながらない様にしてください。

もう1つの留意点は、引き際を間違えないということになります。これは、この段階において、常に頭に入れて考慮しておくべきことなのですが、確保できない資金繰りであれば諦めるということです。事業継続でも同じことがいえますが、継続できないのに資金を注ぎ込んでは意味はありません。資金繰りにおいても、確保できないのに全ての資産を注ぎ込んでは、最悪の結果を招くことになってしまいます。したがって、資金繰りが確保できないと判断すれば、事業の継続を諦めて、その後の方向性を転換させることが求められるのです。そして、この判断は、できるだけ早くすることが大事だと思います。

3)経営危機を理解する

経営危機に陥った時の、対応すべき最初のステージが、正しい経営状況の把握であり、資金繰りの確保であることは十分にご理解いただけたと思います。破産しか、方法が残されていない場合は、破産に関わる費用さえあればいいので、資金繰りの必要はないと言われるかもしれません。

しかし、どんな厳しい状況であろうとも、破産以外の有効的な選択肢は存在するものですから、資金繰りの確保についても、正しい経営状況の把握とセットにして、必要な作業であると考えて取り組んでください。正しい経営状況の把握と資金繰りの確保という事前の準備が終われば、次に、具体的な対策を実施することになりますが、その前に、経営危機を打開するために必要な知識を身に付けてください。

『知っていると、知らないでは大違い・・・』といいますが、この様な経済的状況においては、この傾向は極めて顕著であり、結果を大きく左右してしまいといえるでしょう。知らなければ、言われるままに当たり前の様に破産を選択し、全ての資産を失ったうえで、仕入先や従業員等といった社会的弱者の仕事や生活さえを喪失させたかもしれません。しかし、知っていれば、社会的弱者を守ったうえで、事業や人生さえも安定的に維持できる可能性があるのです。

高度な知識を要求している訳ではなく、少しの知識でもあればいいと思います。その僅かな知識が、気付きを生んで、大きな可能性を知ることにつながるのです。たとえ瀬戸際であろうとも、知っていることで、今後の方向性を自分で選択できるようになるというのは、大きな意味があるのではないでしょうか。<知るために、持ちたい『知識』は、経営危機の打開に関する全般に亘ります。広く、深く、出来るだけ多くの知識を持つに越したことはありません。しかし、切迫した経営危機状況において、そんな多くの知識を持てるほどの余裕はないでしょうから、必要不可欠な知識だけでも持つようにしてください。

最低限、持っておきたい知識というのは、以下の様になります。

1,『 諦める必要などないという知識 』 2,『 目標が大事だという知識 』 3,『 選択肢は様々に存在するという知識 』

この僅か3点の知識さえあれば、経営危機の打開は可能であると断言します。まず、『諦める必要などないという知識』については、どんな経営危機状況に追い込まれようと、必ず対応すべき方法はあり、脱出できることを知識として持っておくということになります。判り切った内容の様ですが、実は極めて大事な知識なのです。経営危機に陥ると、全てを簡単に諦めようとされる経営者は珍しくありません。諦めるしかないという勘違いから、破産は当然のこと、夜逃げや自殺などといった悲惨な結末を選択され方もおられるでしょう。諦めるしかないのではなく、諦める必要などないということを、まずはしっかりと知識として持ってください。

次に、『目標が大事だという知識』については、何のために経営危機を打開しようとして、何に向かって進もうとするのかということが、今後の展開を決定するということを知識として持っておくということになります。経営危機で目標???打開できるだけで十分と思われるかもしれません。しかし、打開するだけが目標であれば、また直ぐに、元の状況に戻ってしまうことになってしまいます。長期に亘り、安定的に経営を維持するために、目標を設定してください。社会に貢献するためでも、社会的弱者を守るためでも、家族の団欒を守るためでも結構ですから、目標を持って経営危機の打開を図ってください。

最後の知識としては、『選択肢は様々に存在するという知識』になります。経営危機に陥ると、経営者の脳裏に浮かぶ選択肢は限られます。まずは『破産』,そして『夜逃げ』,『自殺』・・・ではないでしょうか。『夜逃げ』,『自殺』なんて、より最悪な状況を招くだけで、選択肢にさえもならないのですが、悲しいかな経営者の脳裏には浮かんできます。最後に残った『破産』は、専門家に相談しても勧められる選択になり、この状況においての選択肢は『破産』だけであるという流れになってしまうのではないでしょうか。しかし、これは正しい流れではなく、他の選択肢をご存知ないだけの話なのです。まずは、整理を検討する必要性の可否から始まり、現事業の整理が必要としても、破産や民事再生といった法的な手続きから、任意の手続きまで、現在は様々な選択肢が存在します。その選択肢の存在を知ったうえで、事前に設定した目標に沿って、その目標を充足できる方法を選択して、経営危機の打開を図るのです。選択すべき様々な選択肢を知識として持っておくということが、瀬戸際からの脱出を成功させる秘訣になるのでしょう。

4)なぜ、経営危機になったのか

問題を解決するには、まずは問題になった原因を把握する必要があります。特に、事業が継続できるのかどうかという問題発生ですから、その原因についてしっかりと理解しておかなければ、問題を解決するのは困難になるでしょう。問題が発生した原因を理解することができれば、問題を解決する方向も、自然と開けてくるものだと思います。したがって、問題の原因については、冷静かつ正確に把握していただきたいのです。

たとえば、得意先からの受取手形が不渡りになって、資金繰りが悪化したとします。この様な場合、得意先の経営悪化という外因が原因であり、こちらには問題が発生した原因がないということになります。無責任な第3者などに言わせれば、『運が悪かった』というだけで処理されてしまうのかもしれません。しかし、資金繰りが悪化したのは、売掛金を回収できなかったからだと捉えてみてください。受取手形が不渡りになって、売掛金が回収できなくなったのですから、同じことだと思えますが、意味は全く違ってきます。

商売として取引をする以上、売掛金を回収するのは当たり前のことです。請求する権利を持った立場として、万が一のことも想定して、必ず売掛金を回収できるようにしなければなりません。しかも、受取手形で預かるわけですから、さらに慎重に債権回収を保全しなければならず、得意先に対しての十分な与信が必要となるのです。そして、与信の結果、もしも低い評価しか得られなければ、支払方法を変更してもらって当然だと思います。今までは受取手形だったにしても、現金の決済に変更してもらい、万が一の事態に備えなければなりません。そのための与信なのですから、不渡りの可能性のある受取手形など、手元に存在するはずはないのです。

そう捉えると、受取手形が不渡りになったのは、与信を確実に実施しなかったことが原因であると理解出来ると思います。経営危機での対応として、再生を目指して経営改善に取り組むことになるのでしょうが、今回の経営危機に陥った教訓を、誠実に活かさなければなりません。得意先と安心してお付き合いをするため、与信を効果的に実施できるように、システムを構築するのが改善のポイントになるのでしょう。運悪く、不渡り手形を掴まされたで済ましてしまえば、また同じ結果になってしまうと思います。

経営破綻の危機に陥った原因は、受取手形が不渡りなったという外因ではなく、効果的な与信がなされていなかったという内因なのです。慢性的に低い収益性が続き、とうとう厳しい経営危機状況に追い込まれたという場合も、しっかりと正しい原因の把握に努めてください。この様な事例は少なくありませんが、ほとんどの場合、経営者は外因を口にされるのです。

  • 『得意先が、発注単価に厳しくてね、全く儲けさせてくれませんよ・・・。』
  • 『構造不況の業界でね、生きていくのが精一杯です・・・。』
  • 『請求段階でも、値引きを要求してきますから、何も残りません・・・。』等々

経営者の、原因分析をお聞きしていると、得意先などから厳しい要求を突き付けられて、命を削って頑張っておられたのだと、同情をしてしまいそうになります。たしかに、突然に上記の様な原因により、経営危機状況に追い込まれたのであれば、それは外因が原因なのかもしれません。しかし、長年に亘り、慢性的に低い収益性が続いていたのですから、恒常的な環境での要求であったということであり、ある意味、通常の経営環境だったということになります。

そんな通常の経営環境で、結果として、経営危機状況に追い込まれたのですから、これは内因が原因ということになるでしょう。慢性的に低い収益である経営環境から、抜け出すことが出来なかったという内因が原因になり、『放漫経営』という言葉が、もっとも適切な原因になるのかもしれません。慢性的という期間の中で、収益性を向上させるという結果を得られなかったのですから、経営者としては言い訳できない結果なのだと思います。

経営危機に陥った時の対応は、その原因を理解し把握したうえで、具体的に方向性を決めて取り組まなければなりません。原因が的外れであれば、対応すべき方向性も的外れになりますから、正しい原因について、冷静に把握するように努めてください。人間、誰しも、自分の責任は認めたくないものなのです。

5)状況に合わせた対応

同じ経営危機状況でも、会社が再生できる可能性により、方向性は変わることになります。

  • ア, 会社の再生が、十分に可能な経営状況なのか・・・。
  • イ, 会社が再生できる可能性はあるが、整理しなければならない可能性もある経営状況なのか・・・。
  • ウ, 再生できる可能性はなく、整理を考えるべき経営状況なのか・・・。

大きくは、経営状況により、上記ア~ウの3つに分類することができます。この分類については、既に具体的にご説明をしましたので、難しくはないと思います。復習の意味も含め、キャッシュフローと資金繰り状況により、簡単に経営状況の把握をする方法をご説明します。

キャッシャフローがプラスであり、資金繰りもプラスを維持できのであれば、アの再生に取り組むことになるでしょう。キャッシュフローがマイナスであり、資金繰りもマイナスで、改善の目途がたたない様な場合は、ウの整理を選択する事になります。

この2つ以外は、イに取組むことになると捉えてください。実は、このイの選択については、この様な状況の場合はという、具体的な説明は難しくなります。キャッシュフローも資金繰りもマイナスでウを選択することになりますが、もしもプラスに転換する可能性があるのならば、イの選択にするべきだと思います。逆に、今はキャッシュフローも資金繰りもプラスでアを選択すべきであっても、今後は悪化しマイナスになる可能性があるのならば、イの選択にした方が良い結果を得られるのかもしれません。

したがって、イの選択条件については曖昧な規定になるのですが、アでもウでもない場合が、イの選択になるとご理解をしてください。くどいようですが、この経営危機状況においては、キャッシュフローと資金繰りを基準に経営状況を判断するようにしてください。よく、膨大な費用と手間をかけて、様々な方面から経営状況の判断をしようという専門家がおられますが、これは経営状況判断については、意味のない無駄な手続きになると断言できます。

貸借対照表や損益計算書などの数値は、事業の結果を把握することができて、経営改善に取り組む段階において必要不可欠な数値ですが、経営継続の可否判断については、大きな影響を与える数値ではありません。経営分析やデューデリジェンスなどは、貸借対照表や損益計算書の数値を加工した資料であり、経営改善については重要な資料となりますが、瀬戸際における経営状況の判断においては参考にする意味はありません。この状況においては、出来るだけシンプルに簡単な手続きで、確実な経営判断をするように心がけるべきなのです。

6)具体的な対応

キャッシュフローと資金繰り表から掴んだ結果により、経営危機での具体的な取り組み方について考えていきたいと思います。まずは、キャッシュフローも資金繰りもプラスであった場合についてです。

資金が続くという状況ですから、様々な対策を実施するための時間的猶予を確保することができます。当然に、再生を目指して、その時間的猶予を活用すべきでしょう。資金繰りは確保できたという安心の下で、全力で経営改善に取り組むべきであると考えてください。

経営改善が成功して、再生を達成できる可能性があるのです。事業の継続の可否だけであれば、かなり高い確率で、継続は可能であるといえる状況です。経営危機であるという不安を、忘れることも方法かもしれません。

キャッシュフローも資金繰りも、マイナスであった場合について考えてみます。判り易く表現すれば、現在の経営形態のままでは、事業を継続しても利益は確保できず、資金も続かない状況だといえます。事業を継続すればするほど、損失は増加し、手元の資金も減少してしまいますから、現在の事業については、躊躇なく整理の方向で取組む必要があります。ただし、現形態での事業を整理するのであって、事業や人生そのものを諦めるわけではありません。

事業に僅かでも価値が残っているのであれば、関係者の人生や生活を確保するためにも、その価値を最後まで活用するように取り組んでください。また、残存する経営資源についても、関係者の今後のために、徹底した保全を図ることも大事だと思います。何も諦めることなく、全てを有効に活用し保全を図るというのが、この状況における整理だと捉えてください。キャッシュフローと資金繰りの片方がプラスかマイナスの場合や、今後の対応により変動する可能性のある場合には、全方位的に対応をする必要があるでしょう。

再生を目指して経営改善に取り組みながら、一方では、対極にある整理の準備も進めるということになります。当然に状況により、再生か整理かのウエイトは変化させなければなりません。また、将来的な動きについて、常にその可能性を模索し、状況をしっかりと認識してください。

その認識に則り、方向性の見極めを早くすることが、経営危機において良い結果を導くことになるのだろうと思います。経営危機では、ポジティブな思考で前向きに対応することが求められます。夜逃げや自殺は当然のこと、破産などの法的手続きさえも選択しないという強い意志を持ち、自らの力で打開してみせるというぐらいの姿勢が必要なのです。事業を守り、従業員や取引先等の社会的弱者を守り、さらには経営者の家族や人生についても安定的に守るための対応が、経営危機での対応だとお考えください。

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