資金繰りを確保するために融資が必要な時、金融機関は担保と保証人を要求してきます。
本来、融資先の業務の状況から判断して、融資の可否を判断するのが与信であり、それが金融機関の能力だといえます。
ところが、現実において、その与信能力を喪失した金融機関にとっては、債権回収を保全するために担保や保証人が必要となるのです。
しかし、それでも、十分な担保を取った上に、保証人までも要求するという過剰な債権回収の保全はいかがなものなのでしょうか。
倒産も視野に入れた事前の予防策の第2回になりますが、担保と保証人という重要なキーワードについて考えてみたいとと思います。
息子の事業のために、担保として自宅を提供したご高齢のお父さんが、息子の事業が破綻したことにより、住まいを喪失し路頭に迷われた事例などは少なくありません。
事業をする友人のために、融資時に好意で連帯保証人を引き受け、その事業が破綻したために保証人として追及を受け、資産を全て失った方など珍しくもないでしょう。
今は、様々に担保や保証人というシステムについて見直しをされていますが、経営において重要なキーワードであると共に、万が一の場面で大きなダメージを受ける可能性のあるキーワードでもあります。
経営者としては当然のこと、社会人としても深い理解が求められるキーワードだと思われますので、倒産の予防策として少し掘り下げて考えてみたいと思います。
まず、融資時には、当然の様に担保や連帯保証人の提供を求められ、債務者も当たり前のように応じようとされます。
融資が必要に状況でしょうから、債務者としては、債権者の要求に前向きに応えようとして不思議ではありません。
応えなければ、融資が実行されなくなる可能性がありますから、応えようとする基本姿勢は必要だと思います。
ただ、何から何まで、金融機関の意向通りに対応する必要があるのでしょうか。
彼ら金融機関は、債権者として回収を完璧に保全しようとするため、必要以上に担保などを要求する傾向があります。
例えば、1000万円の評価がある不動産を担保とした場合、我々債務者の立場からすれば1000万円の融資を期待しますが、実際は600万円から700万円程度の融資しか実行されないのが現実です。
また、融資を受ける債務者として、債権者を安心させるためなのか、余剰に担保を提供しようとされる事業者も見受けられます。
関西弁で『経営者はええかっこしいが多い・・・』といいますが、こんなことをすれば、万が一の場合の対応ができなくなってしまいます。
融資において、担保提供などは必要でしょうが、最低限に留めるように努力すべきだと思います。
しかも、その担保物件が喪失したとしても、事業の継続などに影響の少ないものから提供すべきなのです。
経営者の自宅についても、予防という観点から経営者の生活基盤を確保するために、出来れば担保提供を回避すべきだといえます。
融資を受けるときには、金融機関の言う通りに担保を提供するのが当たり前・・・という考え方は、バブル崩壊までの話だと思ってください。
それ以降は、担保に対する考え方が、債権者である金融機関も、我々債務者も変化してきています。
したがって、担保について理解をしたうえで、現実と予防を踏まえた担保提供を心掛けていくことが、事業を護ることにつながり、経営者として責任を全うすることになります。
担保提供についての基本的な考え方はご理解いただけたと思いますが、では保証人についてはどう考えればいいのでしょうか。
実は、保証人も担保なのです。
担保には、物的担保と人的担保があり、物的担保は不動産,株券,定期預金などで、人的担保は保証人などになります。
具体的に物的担保とは、特定の物や権利といった財産によって、債権の回収を保全する手段になります。
債務者または第三者の財産に対して、直接支配できる権利( 物権 )を設定し、 債務者 が義務を果たせない場合に、当該財産から優先的に債権回収を図る保全方法で、代表的なものに、抵当権や根抵当権,質権 、譲渡担保などがあります。
予防の観点から物的担保を考えた場合
① 与信のための担保提供と理解する。
② 事業に不可欠な資産は避け、不要資産を提供する。
③ 経営者自宅については、極力、担保提供を回避する。
④ 担保なのか担保でないのか判断する。
・・・担保は契約により有効になるので、定期預金など担保提供していない資産を、金融機関の都合で提供しない。
上記について、基本を理解し担保提供を検討していただきたいと思います。
次に、人的担保とは、債権の回収を保全する手段のひとつで、保証人などのことです。
債務者以外の人が、債務者に代わって、債務の履行をすることを付す契約のことで、主債務者が債務を履行しない場合に、その債務を主たる債務者に代わって履行する義務を負う『保証』や、数人の債務者が同一内容の債務について独立して全責任を負う『連帯債務』などがあります。
予防の観点から人的担保を考えた場合
① 保証人制度が、非人道的だとの社会的批判により見直しされている。
② 現実的に民法が改正され、第3者の保証人などが厳しく制約された。
③ 保証人制度は、未だ変革中である。
経営者さえも保証人にならず、保証人を不要とする融資も増加している環境になっていますので、この事実をしっかりと理解したうえで融資に取り組んでください。
どうしても、融資のために担保の提供が必要な場合、最低でも以下の3点に留意して対応してください。
① 債権者の言いなりにならない
② 不必要な提供はしない
③ 優先すべきは関係者の人生
担保の提供を誤ると、万が一の場合には対応が困難になります。
融資の担保提供の場面で、しっかりとした対応を取ることが、中小事業者としての義務だと思います。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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