『年内、いつまでお仕事ですか・・・?』、この様に聞かれると、『ご相談が途切れるまで・・・』と、お答えするのが常でした。
年末は、年度末と並んで資金需要が多く、気が付くと資金が底をつき、年を越せないという緊急のご相談が少なくなかったのです。
ところが、昨年は、潤沢なコロナ融資や助成金などの効果で、その様なご相談は全くありませんでした。
しかし、この年末は様相が一変し、来年の景気を予測するかのように、年末に向けてご相談の予約が増加しています。
年が暮れ、新年を迎えるまで、4日と少しになりました。
このタイミングで、年末の資金繰りといっても難しいのかもしれませんが、佳き新年を迎えるために、年末緊急の資金繰りについて考えてみたいと思います。
まず、新年以降の資金繰りは厳しいが、年末は越せる状況であれば、年内は、無駄な支出を抑えるぐらいで、具体的な対応は新年以降に繰り越しましょう。
本来は心身を休めるべきお正月休暇に、答えの出にくい資金繰りについて、難しく考え頭を悩ませるのは最悪だと思います。
ここは、割り切って、資金繰りは初出以降に考えるとして、しっかりと経営者としての休養を取ってください。
問題は、この年末、もしくは新年早々の資金繰りの厳しい場合にどうするかになります。
先送りできない資金繰りになりますから、今、しっかりと具体的な答えを見つけなければなりません。
まずは、回避すべき資金繰り手段は下記になります。
① 従業員の給与の遅延
② 小さな取引先への支払の遅延
この二つは、安易に取り組める資金繰り手段に思えますが、通常の資金繰り対策としても、最も回避したい手段になります。
本当に、この経営危機を乗り越えて、事業の維持を図りたいなら、もっとも取組みたくない方法だといえるのです。
その大きな理由は、モチベーションの低下と信用不安の流出になります。
従業員は給与で生活をしており、食費や子供の教育費なども賄わなければなりません。
それなのに、給与が遅延すると、その子供たちに嫌な思いをさせてしまう可能性も高く、もっと大きなものを失うかもしれません。
それが、会社や事業者に対しての信頼であり、仕事を頑張ろうというモチベーションということになるのです。
事業者への信頼を喪失すれば、将来への不安になり、業務の効率は落ちて信用不安の流出につながるでしょう。
モチベーションが低下すれば、従業員はやる気は大きく減退し、正常な業務ができなくなって、業績を悪化させてしまいます。
結果、資金繰りを確保して、事業維持を図るつもりが、経営破綻に向かってしまうことになりますから、余りにもリスクの大きい資金繰り対策ということになってしまうでしょう。
特に、年末においては、極力回避すべき手段だと思います。
では、どの様な対策が効果的なのでしょうか。
銀行などの金融機関は当然のこと、既に、新たな借入は極めて困難な状況だといえます。
この様な状況において、考え方のポイントとなるのは、今後の事業継続の可否ということになります。
今の資金繰りをクリアーすれば、当座の事業の維持は可能で資金繰りも確保できるのか、それとも、資金繰りの困難が継続し事業の維持も難しいのかということになります。
もしも、この年末の資金繰りがクリアーできれば、当座の事業の維持は可能で資金繰りも確保できるのであれば、全力で資金繰りを確保すべきでしょう。
一時的な資金対策ということになりますから、選択すべき対象は拡大します。
資金確保面では、経営者からの個人資金の借入がまず候補になります。
さらに、返済の目途が確保できているという前提で、知人などからの借入やノンバンク系からの借入も対象となるでしょう。
支出抑制面において、金融機関等に対しては、元利だけではなく利払いの停止を視野に入れても、1回ぐらいであれば大きな問題にはなりません。
リースの支払や公共料金についても同じことがいえますし、大手の取引先などへの支払を延ばす選択もありだと思います。
基本、従業員の給与と小さな取引先への支払以外を対象に、資金繰りの検討が可能になると思います。
その根拠は、新年以降は資金繰りが確保できて、年末の失点を挽回できるということになります。
しかし、この年末の資金繰りがクリアーできても、それ以降の資金繰りは困難で、事業の維持も難しいのであれば、対応は大きく変わります。
ここは、冷静に考えてみてください。
ほとんどの経営者は、どんな厳しい経営状況に追い詰められても、未だ何とかなると考えようとするものです。
もう駄目だ・・・という事を、判っていても認めたくないものなのです。
その考え方が、最悪の事態に向かわせ、従業員などの関係者を不幸に陥れてしまいます。
ここは、冷静に経営状況を見つめ直し、本当に事業継続が可能なのか検討をしてみてください。
そして、正確な経営状況が認識できて、冷静な判断のもとで事業の維持について答えが得られたならば、その方向での対応になります。
事業の維持が無理だという判断であれば、事業の整理という選択になってくるでしょうから、新年早々から、その方向への取組みということになります。
法的な整理である破産を選択するのであれば、年初めに弁護士さんにご相談に行かれることになるのでしょう。
任意での整理を目指すのであれば、事業用資産の処分等により、当座の資金確保から始まるのでしょうか。
いずれにしても、新年からは、スムーズな事業の整理という新たな展開に向かうことになります。
その為に、この年末の資金繰りは、従業員の給与と小さな取引先への支払を除く最大限の支払い停止が前提となります。
間に合うのであれば、資産の処分による資金確保などにも取り組むべきでしょう。
もう、明日の事業は考えなくていいのですから、資金確保の選択肢も広がるのではないでしょうか。
方向が決まれば、真摯に取り組むだけであり、それは新年を迎えてからということになるのでしょう。
そのために、年末年始のお休みは、ゆっくり養生し鋭気を確保してください。
今は、難しく考え過ぎないでおきましょう・・・。
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