Xデーから20年


 

あの任意整理から、20年が過ぎました・・・。

地獄の資金繰りに翻弄され、整理を決断した日から、Xデーとなる債権者集会までは本当に不安でした。

お取引先様だけに債権者としてご参加いただく債権者集会、十分に覚悟を決めて臨んだつもりでしたが、本当は重圧で押しつぶされそうだったのです。

1時間ほどの集会でしたが、揉めることもなく進行をし、帰り際に『再起を期待していますよ・・・』と、債権者である取引先社長にお声掛けをいただいた瞬間、その言葉に緊張の糸がプツリと切れ、色んな意味の涙が溢れてきました・・・。

 

Xデーから20年を経過しました。

ちょうど20年前に、Xデーとなる債権者集会を開催して任意整理を始めたのですが、今日までアッという間でした。

平穏な人生をおくることが出来ています。

安穏とした生活を過ごすこともできています。

今、この様な日々を迎えられると、当時は想像もできなかった様にも思います。

20年前まで、経営者としては、地獄のような日々だったのです。

先代が三和銀行(今の三菱UFJ銀行)に騙され、9億円弱の負債を背負わされたのが平成2年、バブル経済も終焉を迎える直前でした。

それ以降、三和銀行は約束を何ら守ることもなく、意味不明の返済を続けることとなりました。

先代の本業は税理士であり、約束通りに返済を続けることに疑念の余地はなく、毎月膨大な弁済が続きます。

当然、返済のための借入が発生し、金融債務は雪だるま式に増加します。

グループとして、15億円ほどの売上しかないのに、1000万円を超える様な弁済が続くのですから、近々、返済できなくなるのは判っていました。

資金繰りの苦労と、将来に向けての不安は語れるものではなく、その苦痛から解放されようと勉強をしました。

この膨大な金融債務について、どの様に処理する方法があり、最終的にどうなるのかといった勉強になります。

当時は、我々の様な専門家はおらず、債務処理に関する書籍などもなく、貸付した銀行などの債権回収に関することを勉強するしかありませんでした。

本当に、寸暇を惜しんで勉強しました。

勉強の大嫌いな私が、人生で最も勉強した時期だといえます。

その結果、債権回収については、絶対的に自信を持つことかできるほどになりました。

しかし、だから債務者として、どうすればいいのかが判らなかったのです。

そんなときに、小口正夫先生と出会うことが出来て、債務者としては『無い袖は振れない』を基本に対応することを教えられたのです。

 

私の中では、これで経営する会社を任意整理する下準備を完了したといえます。

従業員などの社会的弱者のことを考えれば、決断をするタイミングに差し掛かっています。

これしかないベストと思われる選択があり、継続は最悪に至るという状況ですから、決断をするしかありません。

しかし、代表取締役である父が『未だ続けられる・・・』と、任意整理には断固反対の姿勢を崩そうとしません。

悲しいかな、私はしがない2代目であり、わが父は元陸軍中尉の絶対君主なのです。

信じられないかもしれませんが、父親と向かい合う時は、代表取締役専務の私は直立不動で敬語を使うのが当然という関係で、父親が首を縦に振らない限り重要な決済は何も動かないのが現実だといえます。

そんな時、父が、突然の病気で入院をしました。

このタイミングしかありません。

これしかないベストと思われる状況ですから、臨時株主総会を開催し、父親の代表取締役を解任し、私1人が代表取締役として、任意整理を一気に進めることになりました。

増改築などを扱うリフォーム部門を、別法人として設立し、一部事業の保全を実施します。

これ以外については、全て任意整理対象として取り掛かります。

従業員と取引先の債務は、優先して処理することが目的であり、金融関係機関の債務は全て棚上げをした債務整理を開始したのです。

債務総額は18億円を超えており、万全を尽くした準備で、任意整理の着手となる債権者集会をXデーとして開催したのが、ちょうど20年前になります。

 

任意整理後、直ぐに、この事業再生・経営危機打開コンサルタントの事業を開始しました。

自分としては、2年程を継続できればという気持ちもあったのですが、20年間、よく続いたと思います。

当時としては、最高の勉強をして、最強の知識を身に付け、最善の選択の手法で、自らの会社を整理したつもりでした。

これしかないと、渾身の力を出し切り、自ら経営する会社を任意整理しました。

しかし、今、振り返ってみると、まだまだ方法はあった様にも思います。

会社を、そのまま残せる可能性も十分にあったかもしれません。

当時は、まだまだ未熟だったということなのでしょうか。

それとも、債務処理の環境が、大きく変化してきたといえるのかもしれません。

 

20年、本当にアッという間でした。

今、こうして、日常に逆らわずに流される人生に感謝しなければなりません。

あの時、諦めずに頑張り尽くしたご褒美なのでしょうか。

後ろを振り返らず、ひたすら前向きに歩み続け、ようやく辿り着いたあるべき生活なのかもしれません。

何気なく生きられることが、本当の幸せだと気付かされる20年だったといえるのでしょう。

  

 

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