経営者は、とても有能で勤勉なのに、ほとんど役に立たない従業員ばかりの会社があります。
逆に、従業員は真面目でよく働くのに、趣味や遊んでばかりで経営を放棄したような経営者がおられます。
全く正反対の状況ですが、何故か業績には関係ない様で、どちらも健全な状況で経営を維持されています。
この差は、経営者が、従業員をどの様なポジションで活用しようとし、いかにやる気を出させる術を知っているかなのかもしれません。
昔、老舗大店の旦那さんなどは、日常を趣味や交遊に身を費やしていても、仕事は全て番頭さんに任せて、事業は安泰であったといいます。
番頭さんに、経営者的な責任と意識があったからでしょうし、システムとして上手く機能していたのだと思います。
財閥などが典型ですが、そんな会社であるほど発展をするのかもしれません。
それは、経営者が、経営者本来のポジションで、経営者としての作業をすることができたからではないでしょうか。
本当に優秀な経営者は、客観的にみると、仕事ができない様に見えるのかもしれません。
逆に、店主が真面目な小さなお店は、いつまでも小さいままのことが多い様です。
店主が、汗水流して一生懸命働いても、なかなか儲かりません。
たとえ、従業員が頑張って働いていたとしても、事業を発展させるのは簡単ではありません。
何故なら、経営者が日常の業務に追われ、時間的余裕もなく、経営という本来の業務を全う出来ないからだと思います。
経営者は、従業員の目など気にせず、経営者としての余裕を優先的に確保し、経営を志向するという必要があるのではないでしょうか。
経営についてユックリ考える時間を作るのが上手い、そんな経営者が、本当に優秀だといえるのかもしれません。
そんな経営者と従業員の関係について、私が関与した興味深い事例をご紹介いたします。
居酒屋チェーン店の二代目社長の話です。
その社長は、先を見る目はありますが、仕事は好きでありません。
コロナ前という凄いタイミングに、先代から引き継いだ本店不動産を売却し、莫大な資金を確保しました。
そのおかげで、飲食店業界が軒並み壊滅というコロナ環境において、とんでもない赤字を計上しながらも悠々自適の経営をされています。
社長は、六十歳過ぎ、まだまだ第一線で働かなければならない年齢ですが、『もう働きたくない・・・』が口癖で、実際、仕事は従業員さんに丸投げ状態。
本人は、『サラリーマンやったら定年や』と言いながら、週に3日ほどしか出社せずに、趣味の釣りとゴルフ三昧の日々を過ごしておられます。
常識的に考えると、社長がこんな状況ですから、従業員さんもええ加減な仕事しかしていないと思うのですが、とんでもありません。
先日、社長から依頼され、赤字脱却のためにCAPD表を活用した経営改善に取り組むことになりました。
初回、CAPD表の説明から問題点の抽出作業に取り掛かるため、社長が出席のもとで、現場の長など幹部が参加されたミーティングを開きました。
普通であれば、社長も出席されておられ、初回のミーティングでもありますので、なかなか前向きな意見は出てこないものですが、出席者全員が積極的なのです。
それも、まるで自分が経営者であるかのような感覚で、意見を出してこられます。
こちらが何かを求める必要などなしに、自然とCAPD表のマス目が埋まりドンドン完成に近づいていきます。
しかも、現場の長が出された真摯な意見の集積ですから、経営改善の実現性は極めて高いと思われるのです。
社長が仕事にいい加減でも、従業員さんは自ら前向きな姿勢で事業に取り組まれるれるのですから、本当に凄い会社だと思います。
こんな優秀な従業員さんが多いのは、社長に任せといたら不安だからなのでしょうか・・・。
建設業の三代目社長は、全く逆のタイプになります。
この社長は、常に前向きで積極的で、趣味なども持たずに熱心に仕事をされています。
多方面な能力をお持ちで、カリスマ性のあるお人柄ですから、地元では有名な名士であり、その関係で、多くの営業成果も上げておられるのです。
業務においても先手をしっかりと打っていくタイプで、この社長からも、CAPD表を活用した経営改善を依頼されました。
責任者は、社長が近い将来において専務に抜擢したいと考えている幹部です。
初回のミーティングは、社長は出席されずに、その専務候補を責任者として、全ての部課長が出席されました。
普通であれば、全部署の責任者を網羅した体制でCAPD表の作成に取り組むのですから、とんとん拍子で進むはずです。
ところが、一向に前に進んでいきません。
何故かといえば、出席者の口からは、文句と批判しか発せられないからなのです。
以前にも経営改善に取り組んで失敗したご経験がある様で、経営改善など成功しないと否定論が大半を占めます。
具体的に説明をしても、CAPDなど意味がないなどと、取組みもせずして批判ばかり・・・。
どれだけ懇切丁寧に説明しても、前向きな姿勢を見せてくれません。
ようやく、現状の問題点の抽出に着手できても、出てくるのは『給与面の問題』や『社長のリーダーシップの問題』など、結局、ご本人の不満ばかりで、これではお手上げです。
社長がおられる前では、粗相のない対応をされているのに、社長不在だと随分と違います。
社長が仕事熱心で、全てを把握しておられますので、従業員としては、指示されたことだけを適当に処理すればよかったのかもしれません。
社長におんぶに抱っこの体質が身についてしまったのでしょうが、従業員教育は完全に失敗です。
こんな従業員ばかりだということは、この社長は仕事熱心で有能かもしれませんが、優秀な経営者ではないということになります。
従業員は、社長の後姿を見ているといいます。
それは、社長を見習おうとするからだけではなく、自分の人生の安泰を確認をするためだろうと思います。
こんな社長についていったら身の破滅だと感じるようであれば、不安で退社をされるでしょう。
しかし、人の良い社長であれば、自分が頑張って助けてあげたいと思うのかもしれません。
仕事のできる社長についていけば、何をしていても安泰だと感じて、大きな勘違いをしてしまうこともあるのかもしれません。
経営者とは、本当に難しいものです・・・。
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