債権放棄による事業再生・・・


債権放棄を活用して、事業の維持を図りましょう・・・。

この様にお話をすると、ほとんどのご相談者は、信じられないような顔をされます。

債権放棄とは、金融機関が、貸付金などの債権を、一部もしくは全額を免除することになりますから、我々債務者からすれば、借りている債務(借金)を免除してもらうことになります。

借金の返済を免除してもらえるという夢のような話ですから、にわかには信じられないでしょうが、現実の世界では、それほど珍しいことではないのです。

 

最近、債権放棄(債務免除)といった手法は、様々な場面で活用できるようになってきたといえます。

事業再生や経営危機の打開といった、債権債務処理の現場では、債権放棄を活用した事例が随分と多くなってきました。

代表的な活用方法としては、平成11年2月に施行されたサービサー法により、金融機関が持つ不良債権を債権回収会社(サービサー)に譲渡することで、当たり前の様にサービサーと債務者の間で、多額の債権放棄・債務免除が実施されています。

ただ、サービサーが絡んでくる事例というのは、期限の利益の喪失をして金融事故となった債権が対象となりますので、債権放棄がし易いという事実があります。

したがって、金融事故債権は債権放棄が容易で、金融事故になっていない正常債権においては、債権放棄・債務免除などほぼ不可能だというのが定説でした。

ところが、平成26年に『経営者保証に関するガイドライン』が活用されるようになった頃から、未だ正常な扱いをされている債権においても、債権放棄を受けられる事例が見受けられるようになってきたのです。

当然、事業再生や清算価値保証などといった様々な根拠が求められますが、理屈を理解したうえで取組めば、決して不可能なものではありません。

弊社においても、弁護士などとチームを組んで、株式譲渡などといったM&Aの手法を活用して債権放棄に成功した事例が複数存在しますので、代表的な事例をご紹介したいと思います。

 

 

地方の中核都市で、食品小売業を展開されているAさんは、複数の店舗で、地元の老舗として経営をされ、消費者から信頼を得られ喜ばれてきました。

しかし、長年に亘る経済構造の変化により業績が悪化傾向にあるのと、Aさんご本人の体調が思わしくなく、後継者が不在のために事業を整理したいというのがご希望です。

財務内容をチェックすると、それなりの大きな金融負債が存在し、その返済負担が大きく圧し掛かり、ここ数年は税引き後の赤字が続いています。

このまま継続しても良い結果につながらず、場合によれば経営破綻の可能性さえ否定できない状況だといえます。

典型的な、金融債務超過によって事業承継が進まないパターンですが、Aさんのご要望は、負債を全て処理したうえで、綺麗に事業を整理できないかというものです。

簡単なことではありませんが、Aさんには、老舗としての信頼と多くのお得意様という、無形の武器あります。

これは、同業者にとっては、お金を出しても手に入れたい魅力だといえますので、事業を譲渡するスキームを選択することになり、譲渡先を探すことになりました。

ただ、過剰といえる、金融機関からの借入金を何とかしなければ、譲渡など成立するはずがありません。

そこで選択したのが、債権放棄を前提とした、事業の譲渡ということになります。

考え方としては、このままでは事業は維持できず、破産をするしかなくなる。

その場合の配当は、債権額の僅か5%ほどにしかならない。

しかし、事業の譲渡をすることが出来れば、5%を大きく超える配当ができる可能性は高く、債権者に少しでも多く還元することが可能であるというものです。

債権者である金融機関にとっては、損失を減少させることのできる内容ですから、交渉の余地は十分にあります。

この段階で大事なのは、金融機関との交渉において、コンプライアンスの確保と信用ということになりますので、債権放棄の交渉に長けた弁護士さんと組んで、誠意をもって進めなければなりません。

この方向で手続きを進めることになり、まず債権放棄を前提とした購入希望者が見つかりました。

この購入希望者さんとの交渉により、事業の譲渡価格を設定し、弁護士さんが債権者金融機関3行と交渉に入られました。

交渉の中で、バンクミーティングの開催や中小企業支援協議会の関与,債務者企業の処理,保証債務者への対応など様々な要望が出され、それぞれを誠実にクリアーすることで、事業を譲渡するということで合意が得られました。

続いて、購入希望者の具体的なデューデリジェンスの実施により、譲渡額の精査が行われ、ほぼ当初想定の価格で同意が得られました。

その後、事業譲渡を実行することで、Aさんの事業は正式に購入者に譲渡されたのです。

この事業譲渡により、債権者金融機関は、破産であれば5%も配当を受けられないところを、18%もの配当を受けられることになりました。

購入者も、これだけの老舗企業の事業と看板を、安く手に入れ事ができました。

さらに、Aさんは、長年の懸案であった事業を上手く整理することかできて、借入金などの債務も残らないことになりました。

 

 

Bさんは、中核都市で、食品の製造販売を、多店舗で展開をされており、色々なボランティア活動により地元の名士でもあります。

堅実な経営を続けてこられましたが、リーマンショックにより大きなダメージを負い、最近の少子化により財務内容は悪化を続けています。

何とか打開しようと、事業展開を広げたり改善にも取り組みましたが、経営を立て直すことは出来ず、資金繰りは徐々に悪化を続け、Bさんも腹をくくるしかなくなりました。

専門のコンサルタントに相談をすると、破産を想定していたのにM&Aを勧められたのです。

以前から、BさんもM&Aに興味を持っていましたが、金融機関からの借入金が多く、債務超過に陥っている状況では不可能だと思い込んでいました。

ところが、そのコンサルタントは、債権放棄を組み入れて金融債務を圧縮し、M&Aの商品として魅力あるものにすれば、譲渡先は見つかるといいます。

現実的に、M&A仲介会社に依頼すると譲渡先は直ぐに見つかり、簡易デューデリで譲渡額まで提示されることになりました。

そして、コンサルタントのアドバイスで、M&Aと債権放棄の経験豊富な弁護士に依頼し、具体的にM&Aに取り組むことにしました。

弁護士が、メインバンクに打診をすると、専門公的機関の関与を条件にされたので、中小企業支援協議会を舞台にM&Aの交渉が始まります。

全ての債権者金融機関が揃ったバンクミーティングで、M&Aの概要が説明され、譲渡価格の提示や、債権放棄の可否について打ち合わせされます。

当初、債権者である金融機関は、債権放棄には否定的でしたが、何度かのバンクミーティングによる誠意ある説明により、既に実質破綻状況に陥っており、このままでは配当はほとんどないことが判りました。

さらに、M&Aが実施されれば、譲渡価格から20%程度の配当も可能であるということが判り、金融機関の対応は前向きに変化します。

その後、数回のバンクミーティングを経て、譲渡先候補が見つかってから約7ヶ月で、M&A(株式譲渡)の合意が得られることになりました。

20%の配当を前提とした譲渡価格で、残債務は全て免除という好条件です。

しかも、Bさん自身の保証債務が、『経営者保証に関するガイドライン』により、全額免除になったことは何よりも大きいのではないでしょうか。

 

 

 

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