銀行が、保証人を外した・・・


 

母親の連帯保証人を、金融機関が外してくれた・・・。

引退した父親が、何故か連帯保証人から外れた・・・。

最近、あれほど、人的担保としての連帯保証人に固執していた金融機関が、せっかく確保していた連帯保証人を、自ら外そうとする事例が増えています。

実は、これは至極当然のことで、この4月以降、随分と話題になるはずのテーマだったのです。

 

コロナウイルス禍で、民法改正に触れる機会が少なくなっていました。

この4月1日から、債権法に絡む民法が120年振りに改正をされたのですが、事業再生や経営改善が必要な経営危機の場面全般において、この民法改正は大きな影響を与える内容であり、中小事業者であれば知ってお必要のある改正でした。

当然、我々も、この民法改正について、前向きに伝播すべきだったのですが、コロナウイルスの影響が大き過ぎて、触れる機会が少なくなっていたようです。

民法は既に改正になったのですから、社会環境がコロナウイルスに翻弄されていても、改正内容に則って実行されています。

特に、連帯保証人についての改正は、様々な場面で具体的に実行をされているようですので、お問い合わせ内容も含めてご紹介をさせていただきたいと思います

 

◇ お問い合わせ内容

ある地方銀行の担当者から、お父様の件でお会いしたいという連絡がありました。

父は、高齢のために、数年前に役員を退任して事業から引退し、既に私が承継して経営しているので、何のことかなと思い確認しました。

すると、手形借入枠の更新時期が来ており、お父様は既に役員を退任されているので、今回の更新で連帯保証人から外そうと考えているとのことです。

ただ、そのためには色々とハードルがあるので、お会いしてご相談したいとのことでした。

大事な要件の様なので、面談の約束はしましたが、担当者の話には疑問が残ります。

 ・なぜ保証人から外すことに色々とハードルがあるのか・・・?

 ・父を保証人から外して、新たに保証人を入れようと しているのではないか・・・?

今は、連帯保証人は1人で十分だという状況ですし、経営者でさえ連帯保証人にならない融資も増えているのに、何か不安になってしまいます。

つきましては、地方銀行の思惑についてお判りでしたら、アドバイスをお願いします。

 

この様なお問い合わせをいただいたのですが、これとよく似た事例のお問い合わせは増加しています。

地方銀行の思惑については、まさしく4月1日の民法改正による連帯保証人の扱いが影響しているといえるでしょう。

この民法改正による連帯保証人についての見直しは、以前より社会問題化していた連帯保証人制度を根本的に見直す内容になります。

法務省のサイトには、連帯保証人制度の見直しについて・・・

『 法人や個人事業主が事業用の融資を受ける場合に,その事業に関与していない親戚や友人などの第三者が安易に保証人になってしまい,多額の債務を負うという事態が依然として生じています。

そこで,個人が事業用の融資の保証人になろうとする場合には,公証人による保証意思の確認を経なければならないこととされました。(保証契約を公正証書)

この意思確認の手続を経ずに保証契約を締結しても,その契約は無効となります。

なお,この意思確認の手続は,主債務者の事業と関係の深い次のような方々については,不要とされています。

①主債務者が法人である場合 その法人の理事,取締役,執行役や,議決権の過半数を有する株主等

②主債務者が個人である場合 主債務者と共同して事業を行っている共同事業者や、主債務者の事業に現に従事している主債務者の配偶者 』

今回の、連帯保証人に関する民法改正の概要になりますが、要は、経営に関与しないものが連帯保証人になる場合は、公証人による保証意思の確認必要になるということになります。

今まで、安易に連帯保証人を要求したり、その怖さを知らずに連帯保証人になって人生を喪失したような事例を、公証人の手続きを経ることにより防ごうということです。

これにより、連帯保証人問題において、一定の効果は期待できると思われます。

ただ、金融のプロである債権者金融機関としては、与信を担保するために、新たな経営者を連帯保証人に要求したり、融資の引き上げなどを脅し文句に第3者連帯保証人を要求してきたりすることも、十分に考えられます。

 

お問い合わせをいただいたご相談者の、地方銀行担当者との面談結果は、想定通りの内容でした。

お父様は既に役員ではなくなっているので、更新となる契約においては、公証人の確認が必要になり、ご高齢であることを考えれば難しいので連帯保証人から外れていただく。

ただし、お父様の代わりに、経営者の誰かを新たな連帯保証人にしてほしいという内容になります。

ご相談者も、「法的には新たな保証人は必要ないのでは?」などと対応をされたのですが、担当者は事前に審査部と相談をしてきており、現状の資金繰りや財務内容を考えると与信の面から、新たな連帯保証人が必要とのことでした。

新たな連帯保証人をどうするか検討されていますが、結果として、経営者の誰かにお願いすることになるということです。

 

この様な、連帯保証人に関わる事例が増加しています。

今回は、手形貸付枠の『更新』ということですので、そのお父様の連帯保証人が見直しの対象になりました。

更新とは、新たな契約になりますので、連帯保証人も新たという意味になり、役員でないお父様の場合は公証人の確認が必要だったのです。

したがって、現状は役員でなくても、民法改正の4月1日以前よりの契約においての連帯保証人であれば、そのまま有効だということになってしまいます。

新たな契約か、過去の契約か、連帯保証人についてはこの違いに留意してください。

 

 

 

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