決断が遅れた結果・・・


長年の血と汗の結晶である会社を、経営者は、簡単に諦められるものではありません。

既に、経営破綻している状況でも、残された僅かな可能性に賭けて、経営を維持しようとされるのが経営者なのかもしれません。

この状況において、経営者も継続は無理だと判っているのでしょうが、神風が吹く可能性を期待し、残り僅かな全ての資産も投資して、ただ当てもなく、事業を継続され様とします。

経営者が、冷静な判断ができなくなるのが経営危機であり、この引き際を間違えた拘りが、今後の展開を極端に悪化させてしまう可能性が高いのです。

 

今後の展開を決められるのは、経営者であるご相談者です。

我々は、ご相談をしていただいた専門家として、現状を分析して可能な方向性を提示するのが仕事です。

当然、その段階での的確な状況把握を前提に、ベストな今後の展開についてアドバイスをさせていただきます。

しかし、数学ではありませんから、答えとなるベストな今後の展開は1つのパターンではなく、複数のパターンが存在するというのが一般的です。

したがって、我々専門家が、複数の選択肢を提案して、ご説明とご相談のうえで、経営者が選択されるという流れになります。

様々な可能性をシミュレーションしたうえで、具体的な選択肢を提案し、方向性を決定するというこの流れは、経営危機打開に向けてバランスが取れていると思います。

しかし、この流れは、解決すべき2つの問題も抱えています。

 

1つは、表現について、我々は制約と自制が必要だということになります。

経営危機の打開の取組みにおいて、100%の可能性ということはあり得ません。

常識として、誰が考えてもこの様になると思われる場合でも、違う結果になることが珍しくはありません。

したがって、ご相談者に対して、断定や断言をすることはできず、可能性の高低で表現するのが精一杯になります。

『可能性が高い・・・』や『可能性は高くない』,『可能性は極めて低い・・・』などの表現を使い、ご相談者にご理解いただくことになります。

この表現が、経営者の判断を曖昧にさせてしまう可能性があるのです。

 

もう1つが、経営者の意志になります。

ほとんどの経営者は、ご自身にとって都合の良い解釈をしようとされます。

たとえば、『現会社の形態のままで、事業を継続するのは難しいですね・・・』とご説明したとします。

我々とすれば、『性根を据えて経営改善に取組んでも、再生は難しい・・・』という意図であり、出来れば第2会社でも検討すべきだというお話をしているのです。

しかし、ご相談者は、『難しいということは、頑張れば可能性があるのだ・・・』というように、極めてポジティブに都合よく解釈をされます。

そして、現会社のままで、事業を継続する方向に取り組もうとされる経営者が少なくありません。

こんな場合、我々も、もう少し直接的な表現を使って、経営者にご理解をいただこうと努力はします。

『このまま、再生できる可能性は、極めて低いですよ・・・』や、『第2会社を設立して、事業の維持を図るべきです・・・』などと・・・。

こんな中途半端な表現ではなく、『もう、この会社で、事業再生は不可能だから、直ぐに第2会社を設立して、事業を譲渡しましょう・・・』と、お伝えすべきなのかもしれません。

しかし、本当にその様に思っていても、経営危機では何があるか判りませんから、そんな断言はできませんし、ご相談者に対して、そんな決定的な表現は使いにくいものなのです。

 

先日、随分以前から、ご相談をさせていただいているご相談者が、久しぶりにお見えになりました。

最初のご相談の時から、既に、現形態での事業維持は難しい状況であったので、早期に、第二会社に事業を移すことをご提案してきました。

しかし、ネット関連事業であったため、現形態での事業維持にこだわり続けられ、手元資金は全て使い果たし、最終的に事業も喪失する結果になられました。

最近は、1年から2年に一度、ご相談に来られるような状況で、ご相談のたびに環境が悪化しており、今回のご相談内容は、サービサーへの対応方法についてでした。

債権債務処理も、最終局面に入った状況ですが、それでも、最低限の資産は守り、生活も確保できているのが、私にとってはせめてもの救いだといえるのかもしれません。

『第2会社で事業を継続する意味が、今になって判った・・・』と、ご相談者は呟かれたのが印象的でした。

我々は、ご相談者への表現について、もう少し工夫すべきなのかもしれません。

 

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