返済は全て元本充当・・・


神様でもない限り、リスケジュールに取り組もうとする事業者が、これから再生していくのか、経営破綻してまうのかなど判るはずがありません。

しかし、債権者である金融機関は、自らの勝手な判断で答えを決めつけて、現場を混乱させてしまうことがあります。

関西にある有名信用金庫Aも、ご相談者がリスケジュールを申し込むと、何の根拠もないままに経営破綻すると予測し、返済は全て元本に充当し、利息を受け取らなくなったのです。

利息を支払うといっても受け取りを拒否する状況だったのですが、このご相談者が、金融機関の予測を裏切り、完全に事業再生を達成されましたから、現場は大混乱で、A信金は大損をすることになってしまいました。

 

A信用金庫は、関西では有名な金融機関であり、独特の債権回収を仕掛けてくるので、我々も過去に何度か振り回された経験があります。

そのA信金から、ご相談者は借入をされていたのですが、当初は経営も順調で返済に問題はありませんでした。

ところが、仕事に関する政策が突然に変わり、売上が急激に低下してしまい、資金繰りを確保するためにリスケジュールに取組むしかありません。

政策の変更による業績悪化は、簡単に回復できるものではないというA信金の判断であり、当初はリスケには否定的な姿勢を見せていました。

ご相談者は、必ず再生をすると主張され、強くリスケを要望されたために、最終的にA信金もリスケを承諾したのです。

ところが、条件が普通ではありません。

利息の支払いは不要であり、支払われた金額は、全て元本弁済に充当するということなのです。

よく『元利とも』などといいますが、元本と利息は別物だといえます。

金融機関から、元本という商品を借り入れて、その借入代金として利息を支払うという考え方が判りやすいでしょう。

したがって、元本は弁済するといい、利息は支払うという表現になります。

そうすると、本来は金融機関の儲けである利息が不要で、全てを元本弁済に充当するというA信金の提案は、ご相談者からすれば考えられない好条件だといえるのです。

当初、ご相談者は大喜びで、この条件でリスケをしてもらいました。

 

一般的なリスケジュールは、元本の一部もしくは全額の棚上げを一定期間実施することであり、利息を減免するというのは普通ではありえません。

ところが、支払いは全て元本弁済に充当するという事例は、他にも複数存在します。

その様な事例に共通するのは、リスケジュールにおいて債権者が信用金庫か信用組合であることが多く、債務者の再生が不可能であると判断していることです。

期限の利益の喪失はさせていませんが、金融機関の内部判断として債務者区分を低下させ、貸倒引当金を計上しているということになるのです。

実質的に金融事故案件ということになり、債権者金融機関としては、期限の利益の喪失をさせて、本格的に債権回収にかかった方がスムーズだと思います。

しかし、リテール金融として地域に密着している信金信組としては、そんな簡単に事故扱いにはできないために、この様な対応を取ることがあるのです。

そして、ほとんどの場合、金融機関の目論見通りに、リスケをした事業者は更に業績を悪化させて、経営破綻してしまうことになります。

 

ご相談者は、違いました。

リスケにより資金繰りを確保し、時間的に余裕ができた中で経営改善に取組み、完全に事業を再生させられたのです。

再生どころか、A信金以外の金融債務は当然の事、滞納税や滞納社保も含め、全てを完済し、節税対策が必要な程に業績を向上させてしまいました。

そんな状況で、A信金に、リスケジュールの解除を申し込まれたのです。

これで、完全に健全な経営を取り戻したことになると、前向きな気持ちで申し込んだのですが、A信金に断られてしまいました。

本来であれば、金融機関側も大歓迎のはずなのに、何故かのお断り・・・。

疑問に思って、過去の返済推移と、今後の返済予定表の提出を求めると、エクセルで作った簡単な資料しか提出してもらえず、しかも利息に関しては支払金額や滞納の有無など一切掲載されていません。

不思議に思い、何度か交渉し確認もしましたが、明確な答えは得られません。

 

リスケジュールをしていると新たな借入ができず、今後の事業拡大が難しくなりますので、他行への借換えを検討すると、直ぐに数行から色よい返事が返ってきます。

そこで、A信金に、一括弁済を申し込んだのです。

借入金を、全て一括で弁済するのですから、問題などあるはずがないのですが、なんとA信金は抵抗します。

強引に申し入れをすると、驚くことに、今までどこにも掲載されていなかった利息を請求してきたのです。

今まで、散々に利息を支払わせてくれてと言っても断り続けてきたくせに、ここにきて突然に、リスケジュール期間全ての利息を未払いであるとして請求してきたのですから、唖然とするしかありません。

 

何故、この様になったかについては、A信金の勝手な思い込みが全ての原因になります。

A信金は、ご相談者企業が間違いなく経営破綻するだろうと予測し、元本の回収を優先させ、貸倒引当金を計上したのです。

そして、期限の利益の喪失こそしていませんが、完全に不良債権として扱い、貸倒引当金については、ある程度を既に損金処理をしてしまい、健全な債権に戻せなくなってしまっているのでしょう。

したがって、当初よりリスケジュールとは名ばかりで、元本弁済だけが目的の債権回収でしかなく、利息の支払いや請求などは眼中になかったのだと思います。

リスケジュールに着手して10数年、未払いの利息は相当な額になっています。

今になって請求してくるA信金の厚顔無恥には驚きますが、放置するわけにもいきません。

正常債権として扱うためには、ある程度の支払は不可避であり、この点については弁護士さんにお願いするしかありません。

ただ、冷静に振り返ると、未払い利息は支払って当然だったわけですから、ご相談者が未払い利息を満額支払ったとしても、損はしていないということになるのです。

A信金は、この事実を、今、どの様に捉えているのでしょうか・・・。

 

 

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