負債発見、相続放棄・・・


ご高齢の女性が、涙声でお話しされる内容は、信じられるものではありませんでした。

その女性は、過去の投資の失敗により発生した債務を処理する方法がないかと、藁にも縋る思いで、法テラスに相談に行かれました。

しかし、相談した若い弁護士は、方法は破産しかないと断言されたというのです。

明らかに、他に方法があると思われる状況なのに・・・。

 

その女性は、景気の良かった頃に、収益マンションに投資をされたそうです。

家庭の主婦でも、投資をするのが珍しくなくなった頃で、誰もがバブルに狂奔した時代でした。

しかし、そんな投資が、収益を確保できたのは僅かな期間だったのは、世の常だといえるのでしょう。

投資は失敗し、投資のための借入が、返済できなくなるまで時間はかかりません。

投資した収益マンションは競売で処分されましたが、購入額とは比較にならない低額で、膨大な無担保債務が残ってしまいました。

そして、その無担保債務はサービサーに債権譲渡され、過酷な返済が始まったのです。

女性が主債務者で、ご主人が連帯保証人の保証債務者になっておられましたが、その事実は、恥ずかしくて、子供に伝えることはできませんでした。

子供に知られるのが怖くて、毎月二万円を、厳しい資金繰りの中で、サービサーに言われるがままに返済を続けます。

そんな時に、ご主人が亡くなられました。

子供は、父親に資産などないことは知っておりましたが、債務があることも知らず、その時に、相続放棄をされなかったのです。

 

女性は、ただ、二万円を払い続けるしかありませんでした。

ご主人がなくなり、僅かな収入のない女性とって、二万円は大金です。

それでも、子供に知られるのが怖く、迷惑をかけるのが怖くて、払い続けました。

ところが、そんな時に、サービサーの担当者から連絡がありました。

『このままでは、完済することは不可能なので、もっと弁済額を増やしてください。』

『駄目ならば、亡くなったご主人の保証債務を相続した、子供さんに請求しますよ・・・。』

サービサーの担当者は、当たり前のようにいいましたが、女性にとっては衝撃の内容です。

子供に請求・・・女性にとっては、絶対に許容できることではありません。

色々と方法がないかと調べましたが、いい答えが見つからず、冒頭の法テラスに行って相談をされたのです。

そして、相談に乗ってくれた若い弁護士が、『破産するしか方法はない・・・』と断言されたといわれます。

なぜ、若い弁護士が、この様に断言されたのかは判りませんが、他にも方法はあったはずなのです。

たしかに、相続放棄は、相続が発生した事実を知ってから、三か月以内しかできません。

しかし、特別な事情があった場合は、資産や負債などの相続財産があることを知ってから、三か月以内まで有効となります。

この特別な事情とは、相続人は被相続人に相続資産がないと思っていたことと、この事実を証明する正当な理由があることが大きな二つのポイントとなり、その他諸々の事情が求められます。

この女性の事例の場合、まさしく、二つのポイントに適合していると思われます。

子供は、父親に相続財産はないと信じていましたし、母親が恥ずかしくて事実を伝えることができす゛、知らないまま相続放棄をしなかった現実があります。

家庭裁判所に、事情説明書を提出して、家庭裁判所が必ず相続放棄を認めるかどうかは、諸々の要求される事情もあり判りません。

しかし、相続放棄できる可能性があるのは間違いないでしょう。

可能性があれば、チャレンジするのは当然のことであり、専門家の弁護士が、相談をしたのに全く触れず、破産を勧めるというのはどういうことなのでしょうか。

 

相続放棄については、それほど知られた制度ではありません。

実際に相続が発生して、ようやく制度について理解される方が大半なのかもしれません。

それでも、三か月が過ぎたら、もう相続放棄できる可能性はないと思っておられる方がほとんどでしょう。

昭和五十九年の最高裁の判例で、特別な事情があれば、相続放棄ができるようになったのですが、この事実を知っているのと知らないのとでは、結果は天国と地獄ほどの差になってしまいます。

 

 

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