仮差押の取下、次は・・・


仮差押をされていたご相談者から、明るい口調でご連絡をいただきました。

『会社で借りている事務所の敷金が仮差押えされた件で、大家さんからも状況説明を求められていたのですが、なぜか、突然に取り下げられました・・・』と・・・。

悩まされていた仮差押えについて、裁判所から取下書が送付されてきて、これでホッとしたと喜んでおられるのです。

しかし、仮差押をするほど債権者が、それほど簡単に諦めるはずはなく、この仮差押の取下げは、次の攻撃の前触れだと考えるべきなのです。

 

金融機関からの借入れなどといった債務が、約束通りに返済できなくなると、債権者は様々な手段で債権を回収しようとしてきます。

その債権回収の1つの方法が、仮差押えになります。

仮差押とは、債務者の対応により金銭債権の回収が将来的に難しくなる恐れがあるときに、債務者の財産を暫定的に差押さえることを目的とする裁判上の手続きの事です。

貸付をしたのに、返済が滞った上に、悪意ある姿勢を感じたときなどに、債務者が所有する資産に対して、勝手に処分などされないように仮に差押えをすることなります。

そして仮差押をするためには、仮差押を必要とする理由を根拠となる書類などと共に裁判所に表示し、許可を得る必要があります。

同時に、裁判所が命じる保証金(担保)を法務局に供託しなければなりません。

差押えは、裁判所がその債権債務の存在を認めた債務名義を前提に実施されます。

しかし、仮差押は、差押とは違い、その債権債務の存在が裁判などで認められたものではなく、証拠となる資料などで疎明することにより仮に認められるもので、正確な根拠を前提としていません。

したがって、その正確な根拠を補う手段として、保証金を法務局に供託する必要があるのです。

また、差押は、対象物を債権回収の手段として処理することが可能ですが、仮差押えは、単に債務者に勝手に処分されないために保全するという目的しかありません。

仮差押と差押は、よく似ており間違われやすいものですが、その手続きや効果は決定的に違うといえます。

そこで、冒頭の話に戻ります。

仮差押を、ある程度理解すれば、取り下げた意味も理解できるのではないでしょうか。

仮差押をした債権者は、裁判所の指定した額を、保証金(担保)として供託をしています。

この保証金の額は、債権の種類や差押え対象物によって異なりますが、仮差押金額の10%~30%ということで、15%前後というのが実際は多いのでしょうか。

割と大きな金額を供託することになりますが、仮差押をした資産が、債権回収を完結させるようなものならば、十分に価値があります。

しかし、仮差押をしたのに、資産が小さかったり、空振り状況であれば、いつまでも仮差押をしたまま、保証金を供託して眠らせておくわけにはいきません。

そんな時に、仮差押を取り下げることになります。

取り下げることにより、供託していた保証金も手元に戻すことができて、これで仮差押が終了です。

いや、終了する場合もあると、表現をした方がいいのでしょうか。

ここで、もう一つ考慮すべきことがあります。

たとえば、100万円の債権額があり、その金額で仮差押をしたとします。

債権額の総額100万円の仮差押をしたのですから、他の資産に対して、新たな仮差押をすることはできません。

ところが、その仮差押は空振り状況で効果がなく、他に仮差押をすべき債務者の新たな資産が見つかったとしましょう。

そんな時、いつまでも効果のない仮差押を放置するわけにはいきません。

直ちに、仮差押を取下げ、他の債務者資産に対して仮差押を実施すべきなのではないでしょうか。

そうなると、仮差押の取下げは、他の資産に対して仮差押えを実施するための前触れだと、債務者は捉えるべきなのだと思います。

債権債務処理の世界で、差押や仮差押などは、当たり前に活用される債権回収手段だと思われています。

たしかに、不動産競売のための差押えは、頻繁に見受けます。

しかし、それ以外の差押えは、それほど多く見受けるものではありません。

仮差押などは、さらに実例は少なくなるのが現実だと思います。

それだけに、仮差押をしてくるときの債権者は、本気で債権回収しようとしていることになるのです。

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