これで、時効・・・?


借入金の消滅時効を活用しようというのは簡単ではありません。
しかし、不可能な行為ではなく、現実的に多くの成功事例があるのですから、チャレンジを諦める必要などはありません。
しっかりと調べ、長年に亘り債権者である金融機関とギリギリの攻防を続け、万全の準備を進めてきましたから、なんとか時効期間を完成させたいと思います。
ただ、消滅時効の5年という期間まで、もう一歩という状況になり、何故か不安になってしまうのです。
専門家でさえ、借入金の消滅時効の援用において失敗することが珍しくありません。
そんな消滅時効で、一番難しいのが期間の完成についてであり、すごく参考になる事例がありましたのでご紹介をしたいと思います。
埼玉で小売り事業を展開されていたKさんは、リーマンショック以降に業績が悪化し、リスケジュールで資金繰りを確保されてきました。
しかし、さらに資金繰りは厳しくなり、平成25年1月分を最後に利息さえも支払えなくなり、同年の4月に金融機関借入は期限の利益の喪失をして、同年5月に信用保証協会に代位弁済をされてしまいました。
その後、同年6月末に、信用保証協会から、今後の弁済について呼び出しがあり、債務承認書に署名押印するように言われたので、主債務者である会社名で署名押印をして提出をいたしました。
その時に、毎月5000円の弁済をする約束もしたのですが、弁済すべき原資がなかったので約束通りに支払えませんでした。
すると、信用保証協会から厳しい督促があったので、平成26年11月と12月の2度、連帯保証人であるKさん名で5000円を振り込まれました。
それ以降、弁済等の時効の中断事由に関わる行為はなく、現在に至っています。
この様な流れの場合、最後の時効の中断は何時になるのでしょうか。
ポイントとして考えられるのは、以下の4つのポイントになると思います。
  A) 最後に利息を支払った・・・平成25年1月。
  B) 信用保証協会に代位弁済をされた・・・平成25年5月。
  C) 信用保証協会の債務承認書に署名押印した・・・平成25年6月。
  D) Kさんが最後に5000円を弁済した・・・平成26年12月。
以上の4ポイントについて、最後となる借入金の時効中断がいつなのかを考えてみます。
まず、間違いなく時効が中断するのは、最後に利息を支払ったA)と債務承認書を書いたC)になるでしょうから、C)の方が後になりますのでA)は消えることになります。
また、B)の代位弁済も時効の中断事由になりますが、C)よりも早いタイミングですので、B)も消えてC)が残ることになります。
すると、C)よりも遅い、Kさんが最後に5000円を弁済したD)が、時効の中断としてどの様に効力があるのかという問題になります。
Kさんは、連帯保証人として5000円を弁済されていますので、主債務と保証債務の関係を考慮しなければなりません。
連帯保証人としての保証債務は、借入をした会社の主債務に対して付従性があり、主債務が存在するから保証債務が存在し、主債務が無くなれば保証債務もなくなります。
この付従性は、今回のKさんの事例における時効期間完成の重要なポイントになります。
もう1つのポイントとして、消滅時効の面から保証債務と主債務の関係を考えると、主債務への時効中断行為は、全て保証債務に対しても影響し連動します。
しかし、保証債務への時効の中断行為は、請求(訴訟など)を除き、主債務には影響しないのです。
これらを前提に、今回のKさんの事例を考えてみると、平成26年12月にKさん個人名で5000円を弁済されておられます。
したがいまして、この平成26年12月の弁済においては、Kさんの保証債務については時効中断をしていますが、主債務については時効中断をしていないことになります。
そうなると、主債務の最後の時効の中断は、C)の、平成25年6月の信用保証協会の債務承認書に署名押印したタイミングということになるのです。
したがって、主債務については、平成30年6月で商事債権の時効期間である5年が経過し、時効期間を完成させたということになります。
Kさん個人の保証債務は、外形的に時効が完成していないと考えられます。
しかし、主債務が時効により消滅すれば、付従性により保証債務も消滅しますので、Kさんの保証債務についても時効期間が完成したという事になるのです。
ただし、主債務も保証債務も、時効期間が完成したという事であり、まだ、時効により債権債務が消滅したわけではなく、内容証明郵便で、債権者である信用保証協会に向けて時効の援用をしないと、債務は消滅しません。
ここで、多くの方は、直ぐに時効の援用をしてしまい、失敗される方が少なくありません。
知らないところや、記憶のないところで時効の中断をしていることがあり、まだ時効期間が完成していないのに時効の援用をしてしまい、結果として債権者を怒らせて、より厳しい債権回収をされることが珍しくないのです。
したがいまして、時効期間が完成したからといって、直ぐに時効の援用はしない方が良いと思います。
債権者が、強硬な債権回収を仕掛けてきたときに、時効の援用をするという考えでいいのではないでしょうか。
借入金についての時効の活用は、非常に微妙で難しい対応になりますので、しっかりと情報を集め、根気強くフレキシブルな対応求められます。

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