終わらない債務処理・・・


何故、この様な違いになるのでしょうか。

AさんとBさん、地域や業種は違いますが、事故になった借入は同じような内容でした。

期限の利益の喪失をした時期や、信用保証協会に代位弁済をされた時期、そして、債務額もよく似た金額でした。

ところが、代位弁済をされてからの対応が全く違うのです。

Aさんは、近畿地方の中核都市で、老舗の製造業を営んでおられました。

ところが16年ほど前に、資金繰りの悪化により経営破綻し、地方銀行からの借入1億4000万円が返済できなくなり、信用保証協会に代位弁済をされてしまいました。

Bさんは、北陸地方の県庁所在地で、小売業を営んでおられました。

15年ほど前に、業績悪化により地方銀行からの借入1億2000万円程が返済できなくなり、信用保証協会に代位弁済をされてしまいました。

この様に、AさんとBさんは、債務額も、信用保証協会に代位弁済をされた時期も、ほぼ同じ様な条件なのです。

ところが、代位弁済をされてからの対応が全く違うのです。

Aさんは、信用保証協会に代位弁済をされ、今後の弁済について呼び出された頃には、既に経営破綻により廃業状況になっておられました。

当然、事業の売り上げは完全に無くなり、Aさんの収入もありません。

そんな状況で弁済についての交渉に呼ばれたのですが、信用保証協会の担当者は容赦ありません。

会社が倒産状況になっていようが、収入が途絶えて生活もままならない状況だろうとも関係なく、今後の弁済について厳しく追及をしてきます。

生活もできない状況であることを伝え、毎月の弁済ができないと説明しても納得せず、債務承認書を取られる始末です。

その後も、定期的に呼び出しがあり、その度に厳しい追及をされる状況が続きましたが、弁済できない状況が改善するはずもありません。

しかし、呼び出しの頻度は徐々に減少し、追及の厳しさも薄れていったように思います。

そして、代位弁済から4年半ほどになり、久しぶりに信用保証協会から呼び出しがあって訪問すると、5年目の時効が迫っているので、債務承認書に記名押印をしなさいということでした。

債務承認により、時効を中断させようということなのですが、書かれている債務額に確証がないので記名押印を拒否すると、支払督促の裁判をされてしまいました。

請求・・・裁判・・・による時効の中断で、当然に裁判は負けることになり、時効期間も5年から10年になってしまったのです。

それから2年後、信用保証協会の担当者から久しぶりに呼び出しがあって訪問をすると、現在の状況を確認されましたので、生きていくのも厳しいという状況を説明しました。

すると、当たり障りのない話だけで厳しい追及もなく、それで終わりでした。

その後、定期的に郵便は届きますが、それも回数は減っていきます。

そして、前回の支払督促の裁判から、時効期間の10年を迎えようという時にも、信用保証協会の具体的な対応はありませんでした。

今は、前回の裁判から11年強が経過しており、援用こそしていませんが、時効期間は間違いなく完成をしているのです。

当然、信用保証協会も、この事実は認識しているでしょうから、実質は債権放棄ということになるのかもしれません。

 

Bさんは、代位弁済後も、事業を諦めませんでした。

代位弁済後に、初めて信用保証協会に呼ばれたときにも、誠意的な対応を心がけ、事業の再生に向けての強い意志を伝え、弁済にも前向きな姿勢を見せられました。

債務承認書にはもちろん記名押印されましたし、弁済についても、信用保証協会の主張通りに毎月50000円を支払うことで合意をされたのです。

その後しばらくは、定期的に郵便物は送られてくるものの、厳しい追及はなく、平穏な日々をおくることができました。

代位弁済をしてから2年後、弁済の増額を要求され、毎月70000円を支払うことになりました。

しかし、事業の再生を目指してはいても、経営状況は年々悪化をしており、本来は70000円など支払えるような余裕はなかったのですが、無理して弁済を続けました。

その後も、信用保証協会からは、弁済額の増額を要求してきますが、現状を誠実に説明し、逆に弁済額を毎月30000円に減額してもらうような状況です。

代位弁済から15年、今は毎月10000円を弁済していますが、またも信用保証協会から増額の要求をされました。

このままでは完済するどころが、債務額は増加の一途を辿っているので、毎月50000円を弁済してくれということなのです。

この15年間、事業を精一杯に守り続け、信用保証協会にも最大限の誠意をみせてきましたが、状況は何ら改善することなく、悪化しているようにさえ感じておられます。

 

信用保証協会に1円の弁済もされていないAさんは、16年が経って、実質的に債権を放棄してもらいました。

信用保証協会に対して、常に精一杯の弁済を続け、最大限の誠意を示してきたBさんは、16年経った今も、何ら改善せず弁済に苦しめられています。

この違いの原因は、どこにあるのでしょうか。

結論から言えば、弁済できる余力が有るのか無いのかに絞られます。

Aさんは、廃業して、自らの収入も途絶え、その後も改善をせずに生活さえも厳しい状況であり、弁済できる余力など全くありません。

Bさんは、恒常的に資金繰りは非常に厳しいのですが、事業により資金は動き、僅かでも報酬を受けておられますから、お金が動いており、返済できる余力が有ると判断されているのです。

結果として、信用保証協会は、Aさんからの回収を諦め、Bさんからの回収を強化するということになったのでしょう。

弁済余力のない債務者に対して、無駄な債権回収をしても、経費が掛かるだけで意味がありません。

回収できる可能性のある債務者から、しっかりと回収をした方が効率は良いということなのです。

 

15年ほど前の、信用保証協会の債権回収姿勢は、債務者の状況など関係なく、全ての債務者に対して厳しいものがありました。

今は、債務者の状況を見て対応する環境になっています。

したがって、ご紹介した様な傾向は、さらに顕著になってくると思われます。

 

ちなみに、Bさんは、代位弁済後のことを何も考えずに、期限の利益の喪失をされました。

Aさんは、期限の利益の喪失をして、代位弁済された後のこともしっかりとシミュレーションし、資産の予防的な保全や第2会社などの準備をされて取り組まれました。

今、Bさんは、15年前と変わらぬ厳しい日々をおくっておられますが、Aさんは悠々自適の生活を過ごしておられます。

 

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