民法改正・・・保証人についての概要


日本の保証人制度は、先進国ではありえない様な非人道的な制度でした。

何の関係もない個人の第3者を、事業の保証人とするのですから、社会的に散々批判をされてきました。

ここ数年、経営者保証に関するガイドラインが運用開始をされるなど、ようやく見直しが始まりました。

今回の民法改正は、その集大成となるべきもので、保証人制度は根本的に改善しようとされています。

 

この民法改正は、我々の仕事と密接に関係している債権法が対象です。

その中でも、消滅時効の見直しと保証人制度の見直しは、会社再生や債権債務処理において、特に関係の深い重要なポイントになります。

改正される内容を、具体的に活用することができれば、良い結果を確保出来るでしょうから、しっかりと理解していきたいと思います。

まずは、保証人制度の見直しについて、事業者の立場から理解してみます。

今回の民法改正において、保証人の保護については、様々な面から徹底的に強化をされました。

1.根保証契約に限度額を設定することを義務付ける

2.事業主以外が、事業用資金の借入の保証人になる場合は、公正証書の作成を義務付ける

上記の2点が、今回の改正のポインになりますので、具体的に改正内容を確認してみます。

まず、根保証契約に限度額の設定を義務付けるについてです。

根保証とは、あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、中小零細事業者が金融機関から借入をする場合に、最初の段階で、当たり前のように締結する契約になります。

金融機関と、今後継続的にお付き合いをして借入をすることについて、借りたり返済したりを繰り返すことが多いので、いちいちその度に契約を結ぶのではなく、包括的に保証するという契約になります。

この根保証契約は、今後の借入がどうなるか判らないので、限度額を設定しないのが一般的でした。

現在の民法においては、保証する最大限となる限度額について、決めておくことを必要とされていなかったからです。

したがって、保証人は、際限なく青天井で保証しなければならないということになりました。

実際、保証人の知らないうちに、膨大な借入になっていることも、珍しくありませんでした。

その結果、主債務者の破綻により、何の関係もない根保証者が厳しい追及に晒されることになったのです。

この非人道的な根保証契約において、限度額が義務付けられることになりました。

根保証契約の締結には、限度額の設定が前提となったことにより、保証人は債務額に関わらず、限度額までの保証に限定されることになったのです。

 

もう1点のポイントが、事業主以外が、事業用資金の借入の保証人になる場合は、公正証書の作成を義務付けることになります。

事業主以外の第3者は、公正証書の作成に依らなければ、事業用資金の借入の保証人になれないということになったのですから、大きな意味のある改正ではないでしょうか。

以前は、経営への関与など全く無関係に、金融機関はできるだけ多くの保証人を確保しようとしました。

貸す側の立場から、債権回収を保全しようとすれば、支払い能力のある保証人を確実に確保しようとするのは当たり前だったからです。

その結果、何の関係もない第三者の保証人が、主債務者の金融破たんにより、悲惨な状況に追い込まれることになったのです。

バブル崩壊の環境において、多くの第3者の保証人が、保証債務の追及をされて人生や命までも失うことになり、事業に全く関係のない第三者を保証人に取ることについて、大きな社会的批判を浴びることになりました。

その結果、極力、第三者を保証人にしないという方向になり、事業資金の借入においては、第三者を保証人に取ることは随分と減ってきました。

そして、今回の民法改正で、事業用資金の借入において、事業主以外の個人が保証人になる場合、公正証書の作成が義務付けられたのです。

ご存知のように、公正証書とは、公証人役場において、公証人に依頼して作成してもらう書面のことです。

公証人は、保証人である依頼人の意思や理解を確認しながら、公正証書を作成しますので、自分の意志で保証人になり、保証内容を理解しているということが確認できるようになります。

事業と関係のない第三者が、知らなうちに保証人になっていたということは、これで無くなるのだろうと思います。

 

保証人に関する民法改正のポイントに、債務者からの情報提供義務というのもあります。

債務者は、保証人に対して、必要な正しい保証内容の情報を提供しなければならないというものです。

もしも、必要な情報を提供しなかったり、間違った情報を提供した場合には、保証契約を取り消される可能性があります。

この様に、保証人についての民法改正は、徹底的に保証人保護の方向になったようです。

世論が求めていた方向で、極めて良い改正になったようですが、実は、様々な問題点が潜んでいるように思われます。

民法改正による保証人に関する問題点については、次回のブログで考えていきたいと思います。

 

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