土俵際の対応② 最初の判断・・・


債権債務処理に関する場面においては、机上の理論など無意味でしょう。

全ての判断が、関係者の損得に支配された判断基準により導かれる、本音と実践の世界だといえるのです。

厳しい経営状況において、学校で習った経営学などを振り回すのは、自殺行為だといえるのかもしれません。

 

前回のブログで、経営が厳しい状況での、正しい経営状況の把握についてご説明をしました。

経営状況を把握するというのは、簡単なものではないのかもしれません。

様々な要素を検討し、複合的に判断をしようとしますから、手続きは複雑になり簡単な作業ではないでしょう。

これは、満足のいく経営状況を目指して、あえて細かな経営の問題点までをも抽出し、全てを把握しようとするから、作業は難しくなるのだと思います。

経営者が、精神的に余裕のない経営状況において、こんな複雑な作業を出来るはずありませんし、継続の可否判断が目的の作業ですから、無意味な作業だともいえるでしょう。

シンプルに、資金が確保できれば、目的である事業は継続可能になると捉えてください。

正しい経営状況を冷静に判断するために、資金が確保出来るのかということが判断基準となるのです。

したがって、過去の資金の動きであるキャッシュフローがプラスで、資金の動きの予測である資金繰りもプラスならば、事業の継続は可能な状況であるという経営状況の把握になります。

この段階において、貸借対照表や損益計算書の内容について、難しく検討をする必要などはありません。

まずは、資金が確保できて、しばらくは事業の継続は可能であるという事実を把握できればいいのです。

極論になりますが、経営危機という観点からの判断では、貸借対照表において債務超過でも、損益計算書が赤字であっても、キャッシュフローと資金繰りがプラスならば、事業継続においては問題ないということになります。

そして、資金確保により、時間的猶予を確保することができるのですから、その間に、財務内容を良くするために、経営改善に取り組んで、根本的治癒を目指せばいいのです。

 

中小零細事業者が、土俵際の経営状況に追い込まれた場合の対処法において、第1ステップが『正しい経営状況の把握』であり、第2ステップが『資金繰りの確保』になります。

しかし、現実的には、この『正しい経営状況の把握』と『資金繰りの確保』は一体であり、資金が確保出来るのかどうかが、経営状況の把握における結論にもなるのです。

では、キャッシュフローと資金繰りの状況により、どの様な経営判断をすべきなのかについて考えてみたいと思います。

まず、キャッシュフローはプラスであり、資金繰りもプラスが予想される場合は、事業の継続は可能であるという判断になります。

資金的には問題のない状況であるということですから、余裕を持って健全経営を目指した対応も可能でしょう。

経営危機の典型的な誤解のパターンであり、経営者の精神面のケアが必要なのかもしれません。

キャッシュフローはマイナスであり、資金繰りもマイナスが予想され、改善の見込みがないような場合は、重要な判断が必要になると思います。

資金が根本的に不足している状況であり、無理な事業の継続は、状況を悪化させることになります。

次のステージに移るための知識の習得と、従業員や仕入先等の社会的弱者を守るための手段と、人生や事業を維持するための対策が必要になります。

現形態での事業継続は難しいでしょうが、しっかりと対応すれば人生や事業を諦める必要はありません。

キャッシュフローはマイナスで、資金繰りもマイナスだが、頑張ればプラスに転換が可能だと思われる場合は、前向きな姿勢で事業継続に取組んでください。

まずは、全力で資金繰りの確保を図る必要があり、聖域なしであらゆる手段を活用し取組む必要があります。

同時に、命懸けで経営改善に取り組み、短期的に収益性を改善させることも求められます。

また、マイナスから脱却できない場合の対策も準備しなければなりませんから、経営者は大変だと思います。

キャッシュフローと資金繰りの結果が違う場合も考えてみたいと思います。

キャッシュフローはマイナスですが、資金繰りはプラスの場合は、資金の確保は可能であるということになります。

両方ともプラスの場合と同じ様に対応してください。

キャッシュフローはプラスだが、資金繰りはマイナスだというのは、実は対応の難しい状況なのかもしれません。

経営状況が悪化しているということであり、短期で悪化した理由がありますから、その理由を根本的に処理する必要があるのです。

基本は、両方ともマイナスである場合に準じますが、状況がより厳しくなる可能性が高いので、しっかりと対応してください。

 

簡単にまとめましたが、資金繰りについては不確定な要素が多いという事実を忘れないでください。

キャッシュフローは、1年間の結果として、間違いのない数値を確保できますが、資金繰りはあくまでも予測です。

予測が甘ければ良い数値になりますし、厳しい予測をすれば難しい数値になりますので、経営者の経験値を基に実体性のある予測をする必要があります。

また、資金繰りの期間については、最低でも6カ月間、できれば12カ月間を目指してください。

 

 

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