何か、変ですね・・・


何か、経営環境に違和感を覚えます。

過去に、ITバブルの崩壊やリーマンショックという不況も経験してきましたが、これほど整理の絡む案件が増えたことはありません。

ブログをアップする間隔が開いてしまい、その言い訳をする訳ではなく、2月の中旬に差し掛かった頃から妙にバタバタし始めて、突発的なご相談が増えました。

そのご相談の内容が、なぜか、整理に直結するものがほとんどなのです。

 

今年に入ってからの傾向として、整理を視野に入れる必要のあるご相談が増えています。

本来であれば、まず取組むべきは経営改善なのですが、そんな余裕のあるご相談の割合は、確実に減少しているのです。

ほぼ、8割以上のご相談が、任意の整理を前提として検討しなければならないという状況に陥っておられます。

その延長得線上での結果なのでしょうか、特に最近は、破産しか選択肢は残っていないというご相談が続いてしまいました。

私は、破産など必要はないということを、コンサルティングの基本にしています。

当然、全てのご相談について、絶対に破産が必要ないというものではなく、破産を回避するために、手間暇を掛けて環境を構築する事になります。

したがって、その環境構築が出来なければ、破産もやむなしという結果になってしまうのですが、事例的には極めて少ない確率といえるでしょう。

開業してから、会社再生や経営危機対応について、1000件を超えるコンサルティングをさせていただきましたが、破産をされたのは6案件だけでした。

破産をする場合でも、出来れば主債務者である会社だけ破産して、保証債務者である代表者は破産をしないという選択に取組み、その結果として、会社と代表者とが共に破産されたのが3案件ですから、会社と個人を合わせた合計で9件の破産をしたという事になります。

この6案件の中でも、作為的に破産を選択した2案件があり、破産しか選択肢がなかったという事例は、僅か4案件でしかありません。

破産しか方法がなかったという確率は、4/1000 という事になりますから、よほどのイレギュラーがない限り、破産は必要ないという事になるのです。

破産しか選択肢がなかった、もしくは破産がベストな選択であったという、過去の4案件に今回の2案件をプラスした6案件には、明確な共通点があります。

頑張りすぎた・・・という事です。

この状況を乗り切るために、経営者が知恵と情報を絞り尽くし、あらゆる可能性にチャレンジし、最大限の努力を続けて頑張ってこられたという事です。

表現を変えると、無茶な努力を続け過ぎたという事になるのでしょうか。

無駄な努力と表現した方が適切かもしれませんが、引き際を間違えた結果が、破産しか選択肢は残らなかったという事になるのでしょう。

 

破産という選択肢しか残っていなかった、今回の2案件の事例について考えてみたいと思います。

1案件は、6年ほど前に、税理士さんのご紹介で顧問契約を結び、2年ほど経営改善に取り組んだお客様です。

建設業を経営され、昔ながらのどんぶり勘定を続けたことにより、業績を悪化させておられました。

経営改善では、予算管理を中心に取組み、受注工事を実行予算書にて管理する仕組みを導入することで、約2年間という短期で経営改善を達成させることが出来て、顧問契約も終了しました。

ところが、昨年末に、ご紹介していただいた税理士さんから、資金繰りが悪化しているので対応してほしいと連絡がありました。

経営者に電話をしましたが、まだ借入が可能なので、資金繰りは確保出来るというお話だったので、そのままになりました。

ところが、また、税理士さんから連絡があり、今度は不渡りが出そうだとのことなのです。

早速に、経営者に連絡すると、借入をしていた金融屋に返済できなかったため、振り出していた小切手が不渡りになったという事なのです。

そんな話は全く聞いてなかったので驚きましたが、放置する訳にはいかず、詳細について確認をしました。

すると、工事受注が減少する中で、半年前ほどから資金繰りが悪化し、一時的な資金という事で街金に手を出してしまったという事です。

当然に、そんな弁済など出来るはずもなく、タイミング良く広告の送られてきた闇金から借入することで凌いでおられました。

気が付くと、10社以上の高利の闇金から借入をしているという、システム金融の地獄に陥っていたのです。

闇金への返済のため、資産は全て喪失させ、夫人にも借入をさせるという状況ですから、破産を回避する理由は残っていません。

会社と社長と夫人が破産ということになり、無茶な頑張りをし過ぎた結果という事になります。

 

もう1案件は、お客様ではなく、私の後輩になります。

老舗の小売業を営んでいましたが、完全な構造不況業種で、厳しい経営状況が続いているのは知っていました。

昨年の初夏、後輩から経営についての相談を受けましたので、私の方で、経営危機面からの経営分析を実施しました。

結果は悲惨なものでしたので、後輩にその事実を伝え、迅速に整理を含めた方向性を検討するように勧めたのです。

ところが、後輩は、検討しますと返事はしましたが、その後の連絡はありません。

資金繰りが続くのが不思議だったのですが、案の定、2週間ほど前に連絡がありました。

資金繰りが厳しく、次の手形が落とせずに不渡りになってしまうという事でした。

話を聞き、当初は、強引に任意整理に持っていこうかと思っていました。

債権者数は30社程ですから、任意の債権者集会は十分に可能ですし、社長には価値は低いが山林などの不動産資産が残っており、第2会社での展開も不可能ではないと思われたからです。

ところが、詳細を確認していくと、驚くほどに資金が不足していました。

第二会社の運転資金どころか、任意整理をする目的も果たせないほどに資金が枯渇しているのです。

本来、破産ではなく任意整理を選択する理由は、従業員や仕入先等の取引先,さらには家族などといった社会的弱者の今後を確保し維持するためだと考えます。

その為には、当然に資金が必要になり、その資金を確保するために任意整理を選択することになるのですが、その資金が残りません。

長引く不況で、会社どころか経営者の資産も使い果たし、明日の資金にも事欠く状況に陥っていたのです。

手形が不渡りになるまでの日数も残されておらず、これでは、任意整理を選択する理由は見つかりません。

経営者は不動産がありますので破産しませんが、会社は破産を選択することがベターなのでしょう。

半年前なら、必ず任意整理は成功して、第2会社などの確保により社会的弱者も守ることができたでしょうが、もはや手遅れなのです。

引き際を見つけられずに、頑張りすぎた結果の破産になります。

 

実は、任意整理か破産かという、最終処理の検討が必要な案件は、他にも複数存在します。

たまたまであればいいのですが、これほど、最終処理が必要とされる案件が重なったことは過去に在りませんし、新規のご相談も整理に絡むものが増えています。

たしかに倒産件数は減少傾向ですが、中小零細企業の経営状況とは関係なく、現実の景気は悪化している様に思えるのです。

政府の施策により延命され、倒産という結果が出ない様に防いできましたが、そろそろ限界に来ているのではないでしょうか。

一気に、堤防が決壊ということになるのかもしれません・・・。

 

 

  詳しい内容は、ホームページをご覧ください,

          ↓

    トップ経営研究所 ホームページ

 

 

↓ランキングです クリックして応援してください
ランキング人気ブログランキングへ

 

ランキングです クリックして応援してください

          ↓

      にほんブログ村 経営ブログへ

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>