見直される信用保証制度・・・


中小企業向けの、地方銀行64行からの融資は、年に4%前後の増加をここ数年は続けています。

そして、信用保証協会の保証付き融資に限れば、逆に、年に8%前後の減少を続けているというのですから驚きます。

ということは、地方銀行からの直接融資であるプロパー分が増加しているということになるのですからたいしたものです。

しかし、零細事業者を対象にすれば、この傾向が通じるはずもなく、信用保証協会の保証付き融資に頼らなければ、零細事業者の資金繰りの確保は難しいというのが現実なのでしょう。

ところが、今後は、信用保証協会の保証付き融資さえも難しくなるかもしれないのです。

 

政府は、信用保証協会の信用保証制度を、大きく見直そうとしています。

信用保証協会の信用保証制度とは、財務の脆弱な中小零細事業者が金融機関から融資を受ける際に、全国に在る信用保証協会が保証料をとったうえで保証をします。

そして、万が一に、融資の弁済が焦げ付き期限の利益の喪失をした場合に、債務者になり代わって信用保証協会が債権者に弁済をする制度のことです。

その信用保証制度について、経済産業省と自民党が一体となって、1年ほど前から見直しの検討をすすめ、最終提言として、その信用保証制度の見直し案をまとめました。

まず、信用保証制度を見直す根拠について、現在の信用保証制度の必要性について異論はありませんが、過度に依存することにより、中小零細事業者や金融機関の経営努力の向上を阻害している現状が挙げられます。

そこで、「ひと手間かけて育てる」対応を促し、規律のある制度にするための見直しになるそうです。

見直しのポイントを。簡単にまとめると以下の様になると思います。

 

1. 80%保証の一般保証については、金融機関の更なる支援を引き出すために、今後は、金融機関のプロパーの融      資がなければ、原則として新規の保証をしないようになります。

ただし、創業5年以内や従業員20人以下の小規模事業者の小口案件や、自然災害等の危機時には、金融機関のプロパー融資がなくても保証に応じることができます。

 

2. 不況業種などを対象としたセーフティーネット保証については、保証割合は、今までの100%から一律80%となります。

経済危機等の有事対応に備え、適用期限を限ったセーフティーネット制度を新設します。

 

3. 上記1.2.の実施に当たり、中小零細事業者の資金調達に支障が出ないように、以下の様に配慮する

   ・ 小規模事業者向け100%保証の限度額を1250万円から2000万円へ拡充する。

   ・ 創業者向け100%保証の限度額を1000万円から2000万円へ拡充する。

   ・ 事業承継や事業撤退時に必要な資金を信用保証の対象とする。

金融機関の事業性評価能力が低いため融資継続が困難となる場合は、保証協会が他の金融機関を紹介する機能を持つ。

 

4. 金融機関の、事業性評価融資の能力の底上げを図り、十分な資金供給を行うよう促す。

 

5. 信用保証協会の経営支援レベルを引き上げるため、以下の様に対応する。

   ・ 保証協会役員について、能力本位の人選として透明性を確保する。

   ・ メインバンク実質不在時に、保証協会の経営支援機能を強化する。

   ・ 地域の実情に即した保証が可能になるよう、仕組みの導入を検討する。

   ・ 円滑な事業再生のため、自治体の求償権放棄条例の制定を強く要請する。

 

 6. 保証料率等について、中小零細事業者の経営改善につなげるため、環境や政策に配慮し検討をする。

 

7. 中小零細事業者の環境変化への対応が可能になるよう、信用保証制度以外の施策について議論を深める。

経営者保証に関するガイドラインの更なる普及啓発や、金融機関の情報開示を進め、保証協会における運用見直しを図る。

中小零細事業者が、スムーズな経営支援を受けられるように受け皿体制を整備する。

 

簡単にまとめると、上記の様な内容になります。

中小零細事業者の資金繰りに、大きな影響を与えそうな内容から、ほとんど関係のないものまでありますが、経営者としては知っておくべき見直しであることは間違いありません。

特に、不況業種が100%保証を受けられなくなることや、民間金融機関の融資姿勢の変化など、看過できない状況も予測できます。

そして、何よりも、他の建前論に終始する施策ではなく、中小零細事業者にとって必要不可欠な信用保証制度の見直しであることを認識しなければならないでしょう。

2017年の通常国会に改正案を提出し、2018年度中の実施を目指すそうですから、もう、残された時間は少ないのかもしれません。

 

 

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