何故か、最近は、この様なパターンのご相談が増えています。
経営改善に取り組んだけれども、結果として失敗をして、もはや破産しか選択肢は残っていないというご相談内容なのです。
この状況においても、選択肢は複数残っていますが、もっと早い段階でご相談いただければ、選択肢はもっと沢山存在していたでしょうし、落とし処も変わっていたと思います。
経営危機に真っ正面から取り組むべき大事な時期を専門家に振り回され、費用と時間を全く無駄に消費されたことが悔やまれます。
今回のご相談者も、経営状況が厳しくなった頃に、事業再生会社に経営改善を依頼し、3年間ほど取り組んでこられた経営者です。
当初は、事業再生会社の担当者も前向きな姿勢を見せ、様々なアドバイスをしてくれました。
資産を精査するためのデューデリジェンス費用として約120万円、経営改善計画策定費用としても約150万円を実費として支払われて、経営改善は始まったそうです。
別に、毎月の相談費用として30万円が発生し、経営改善計画の見直しなどでも別に費用が発生しました。
公的な支援資金を活用できたとはいうものの、資金繰りが厳しい経営状況において、よくこれだけの費用を捻出することが出来たと驚きますが、会社の再生を目指したいという執念がそうさせたのでしょう。
しかし、経営改善は実現できません。
作成された立派な経営改善計画を、何度も読み込み、担当者の指導も受けましたが、改善どころか悪化の一歩を辿るだけなのです。
経営改善計画は、細かい数字が並べられ、銀行が喜びそうな内容に仕上げられていますが、数字的な目標は理解できても、実作業については触れられていません。
担当者は、『売上を増やしなさい・・・』，『利益率を改善させなさい・・・』，『経費を減らしなさい・・・』などと指導はしてくれますが、実際何をしていいのかを教えてくれません。
経営改善計画の内容も、担当者の指導も、方向性を示してはいるものの具体性がないのです。
詳細についての指導がないのですから、経営改善など実施出来るはずもなく、事業再生会社に依頼をして取り組んだ約3年は、経営状況が更に厳しくなっただけでした。
そして、資金繰りが破綻しそうになったころ、事業再生会社の担当者から『破産』を勧める言葉が吐かれる様になりました。
高額の費用を支出させ、時間も無駄に消費させた3年間は、いったい何だったのでしょうか。
これは、中小企業再生支援協議会や認定支援機関，事業再生会社などの専門家にご相談をされた後に私どもにご相談に来られる、ほとんど全てに当てはまるパターンなのです。
私どもで、第2会社や資産の保全対策を実施しながら、経営改善については各種専門家に依頼をされている方も少なくはありませんが、経営改善が成功した事例はありません。
最終的に現形態を破綻させ、第2会社に緊急避難をするという結果がほとんどだといえます。
専門家に依頼した経営改善が失敗しても、その後の、破産以外の選択肢は必ず残されています。
しかし、環境が悪化したことによって、選択肢が少なくなることは間違いありません。
もう少し前なら、現経営形態での再生も十分に可能であったり、もっとソフトランディングできる選択肢も活用できたように思います。
何故に、ここまで無駄に引っ張ったのかと、本当に悔やまれるのです。
たしかに、経営者として、経営改善に取組み、会社を再生したいという気持ちを持たれるのは当然でしょう。
それなら、もっと主体的に、ご自身の力で取り組まれるべきだと考えます。
再生を目指すために、中小企業再生支援協議会，認定支援機関，事業再生会社などの専門家にご相談をされる気持ちも判りますが、全てを丸投げでは結果は見えています。
専門家は、経営改善スキームや計画策定についてはプロでしょうが、事業については素人なのです。
経営改善において、『売上を増やしなさい・・・』，『利益率を改善させなさい・・・』，『経費を減らしなさい・・・』などは、誰でも判ることであり、知りたいのは、それを実現させるための具体的な方法だと思います。
しかし、事業については素人の専門家が、ご相談者の事業について、売上を増加させたり、利益率をアップさせたり、効率的に経費を圧縮する、そんな方法を知っているはずがないでしょう。
長年の経験則から言えるのは、中小企業再生支援協議会，認定支援機関，事業再生会社などの専門家に相談することは、全く無駄ではないということです。
ただし、その効果は、債権者である金融機関に向けたものに限定されるのではないでしょうか。
専門家が入ることにより、金融機関は支援を優先してくれるようになるのです。
しかし、経営改善の実効性については、期待しない方が良いと思います。
まさしく『絵に描いた餅』のような経営改善計画しか、見たことがありませんから・・・。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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