遅延損害金、14.6%・・・


資金繰りを確保するために、魔法の様な手段として代位弁済を活用しようされる方は少なくありません。

初めてご面談した経営者は、代位弁済について、誇らしげにご説明くださいました。

『信用保証協会の代位弁済によって、月々の支払額は大きく削減できて、資金繰りは随分と楽になる・・・』と、そして、『資金繰りの苦労から解放されたから、会社の再生も実現可能だ・・・』と言われるのです。

正論の様に聞こえるのですが、果たして、代位弁済の捉え方として正しいのでしょうか。

 

返済猶予(リスケジュール)は、資金繰りを楽にして、経営改善をするための時間的猶予確保する手段であることは間違いありません。

したがって、代位弁済をして、弁済額を減少させて、資金繰りを楽にして、経営改善に取り組むというスキームは、ある意味において間違っていないと思います。

 

ただし、返済猶予と代位弁済は、根本的に違うところがあります。

リーマンショックに対する政策として、平成21年に施行された『中小企業金融円滑化法』は、当時の亀井静香金融担当大臣が何度も口にされた様に、返済猶予をしても正常債権として扱われました。

たしかに、金融機関の債務者区分においては、要管理先や破綻懸念先などに区分をされましたが、建前上はあくまでも正常債権として扱われたので

ところが、代位弁済は不良債権なのです。

代位弁済とは、金融機関の融資を保証する信用保証協会などの保証専門機関が、その保証する債務者の債務が期限の利益の喪失をして不良債権となったことにより、保証人として債務者になり代わって金融機関などの債権者に弁済することです。

信用保証協会等は代位弁済することにより、債権者が有していた債権を求償債権として取得し、債権者の地位を得て債務者に弁済を請求することになります。

この様に、正常債権ではなく、代位弁済は期限の利益の喪失をして不良債権となることが前提ですから、信用という面で、事業維持に大きな影響を与えることになるのです。

 

理屈を理解して信用保証協会と対応すれば、代位弁済により、弁済額が驚くほど減少して低額になり、資金繰りが随分と楽なるというのは事実です。

それにより、経営者の精神的負担が減少して、再生を目指した経営改善に取り組めるというのも、理屈としては間違っていないだろうと思います。

しかし、その結果として、再生ができるのかというと、これは別問題なのです。

会社の再生とは、健全経営に戻すということであり、債務超過を解消して、収支が適切な数字を維持し、健全な資金繰りを確保するということになるのでしょう。

判り易く、我々の感覚で再生を表現すれば、金融機関からの借入について、当初の契約通りに元本返済と利息の支払いを遂行できる経営状況になるということになります。

金融機関などの債権者からの支援がなくても、自立して経営を維持出来る上に戻せることが再生なのです。

そのように再生を捉えると、代位弁済をされた債権債務を、正常な状況に戻すというのが極めて困難であることがご理解いただけると思います。

代位弁済をされるということは、元本の返済どころか、金融機関の儲けである利息さえも支払えなくなった結果なのです。

利息さえも払える余力がないという状況から、新たな資金確保も不可能な環境で、収益を改善するのは至難の業ではないでしょうか。

それでも、経営者の前向きな努力で、再生を目指した経営改善に取り組んだとしても、ある日、突然、重大なことに気付くことになると思います。

遅延損害金の存在です。

信用保証協会は、代位弁済をされると、支払については元本に充当することを優先します。

利息ではなく、元本に充当されるというのは、借入の残額が減少して嬉しい様に思うかもしれませんが、これは大間違いです。

支払は利息には充当されなくても、遅延損害金がカウントされるのです。

しかも、最高14.6%ですから驚きます。

単純に計算をすれば、1000万円が代位弁済されたとすれば、1年で146万円の遅延損害金が発生するということになります。

月々1万円の支払いをしていても、1年で12万円であり、146万円 – 12万円 = 134万円となり、負債総額は1年で134万円も増えるということになります。

遅延損害金は、元本だけが対象になりますから、この条件で返済を続ければ、7年5カ月ほどで負債総額は倍になるということになってしまいます。

逆に表現すれば、約7年で元本を完済できる金額を返済しなければ、残債は増えるということになり、代位弁済前よりも厳しい支払条件になるはずです。

こんな返済が、可能なのでしょうか。

 

よく、元本は返済しなければならないが、遅延損害金は免除してくれるという方がおられますが、何の根拠もないと思います。

実例として、たしかに遅延損害金を免除してくれた事例もありますが、免除してくれなかった事例も少なくありません。

元本を完済するまでは、遅延損害金を免除する様な話をしながら、いざ元本を完済すると、担当者が代わって平然と遅延損害金を請求してくるような詐欺的な対応さえ存在するのです。

全体を見渡すと、代位弁済をされて、元本の完済が可能となる様な返済ができる方は多くはありません。

ほとんどの方は、月に1万円以下の返済なのです。

ましてや、元本の完済ができた方は、本当にこぐ僅かな方しかおられません。

結果的に、代位弁済をされても、遅延損害金までも含めた負債を完済し、健全な状況に戻せるというのは限りなくゼロに近いということになります。

 

確率の問題を議論する気はありませんが、代位弁済をされた場合は、現経営形態での継続について考えるべきだろうと思います。

代位弁済を、有効に活用しようとするのなら、事業を如何に維持するかについて考えるべきであり、既成の組織に固執する必要はないのです。

いつまでも、膨大な債務を背負い続ける経営から、新たな展開に切り替えるチャンスとして、代位弁済を考えてみてください。

それが、代位弁済のメリットを活用した対応ではないでしょうか。

 

 

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