具体的な動きに備える
期限の利益の喪失後からが本番
経営危機での様々な対応について、選択肢を検討する時に考慮していただきたいのは、経営者の責任と社会的弱者への配慮です。 経営者として、今後の人生を考えれば、最後まで経営者としての責任を全うすることが重要になります。そして、この段階での経営者の責任で留意すべき大きなテーマが社会的弱者への配慮なのです。 今までの事業で、共に苦労してくれた従業員や取引先という社会的弱者に、この経営危機を打開する局面で大きな負担を背負わすことになってはいけません。 最後まで、経営者としての責任を全うすれば、次の人生に必ずつながることになります。
具体的な展開を予測し準備する
期限の利益の喪失をすると、債権者は具体的な債権回収を始めますが、おおよその動きは把握することができるでしょう。 取組の方向性や時間的な動きについて、ある程度は具体的に事前に予測することが可能です。したがって、経営危機を打開するためには、予測される展開に合わせて、事前に対応を準備することが重要になってきます。
予測される動き
期限の利益の喪失後に、債権者である金融機関等の債務者に対する債権回収の手法は、ほぼシュミレーションできるものです。 そして、期限の利益の喪失後の大まかな動きは、下記の4つになります。
- 担保付債権の場合は、担保不動産が処分される
- 仮差押えや差押え
- 保証付き融資は、信用保証協会や保証会社が代位弁済する
- 現状のまま、しばらくは債権者が債権回収交渉を継続する
- 支払い督促等の裁判を起こされる
- サービサーへ債権譲渡される
- 時効
最後の手段に備える
債権回収のための様々な手続きが、期限の利益の喪失後に考えられますが、その手続きにより債権回収が出来るかどうかが問題になります。 債権回収手続きにより回収できればいいですが、手続きを実施しても債権回収が出来なければ、選択すべき手段は限られてくるようになり、最後は差押しか方法は残らなくなります。 債権が残っている限りは債権者も簡単に諦めませんので、差押を考慮した対応が有効であるということになります。