『死』と直面した時、中小企業の経営者は、どうあるべきなのでしょうか。
そんなことを、日常において考えることなどありませんが、中小企業経営者の『死』は、大きな影響を従業員や取引先といった関係者に与えてしまいます。
突然に突きつけられた、自らの命の終焉を知った時、経営者は何なすべきなのでしょうか。
ある経営者は、死を突然に宣告された状況の中で、経営者として最後の責任を果たし、人として納得できる散り際を実現しようとされています。
その経営者からは、お会いするたびに、新鮮な驚きをいただきます。
ご相談をいただくお客様というより、経営者としてリスペクトして学ばせていただいているのが現実なのかもしれません。
首都圏で、製造業を自ら創業し、20年以上に亘り経営を続けてこられました。
その間、山あり谷ありというのは当然なのですが、リーマンショック時に大きな荷物を背負うことになってしまったのです。
本業ではなく、投資での失敗になります。
日常的に海外との取引をされておられる関係で、為替などの投資に手を染めるのは必然でもあったようです。
環境に配慮し十分なリスクヘッジをしていたそうですが、突然のリーマンショックの嵐は余りにも大き過ぎたようで、取り返しのつかないような損失が発生してしまいました。
それでも、本業が順調だったので、前向きに事業に取り組まれ、事業は継続をされてきました。
優秀な従業員に恵まれ、大手の得意先も健全な関係を維持してくれ、金融機関もリスケジュールなどで支援を続けてくれました。
投資による失敗を回復できるほどではありませんが、このまま事業を健全に展開し続けるのは十分に可能だと思われました。
そんな時に、経営者は体調に違和感を覚えられたのです。
病院で診察してもらうと、想像もしなかった診断結果が告げられます。
悪性の癌で、余命は幾ばくも無いというのです。
経営者は、思考が停止してしまいました。
普通であれば、そこから闘病生活が始まるのだと思います。
経営は誰かに任せて、経営者自身は、治療に専念されて当然なのでしょう。
ところが、この経営者にそんな考えはなく、前向きに事業継続の対策に取組み始められたのです。
健全な財務状況であれば、誰かを後継者に据えて経営を承継すればいいだけなのですが、大きな負債を抱え多額の債務超過状況ですから、そんなわけにはいきません。
普通であれば、自然消滅するしかない状況なのかもしれませんが、本業は健全で順調なのです。
経営者は、その順調な本業をどうすれば維持できるのかと考え、私共にご相談に来られました。
経営者のテーマは、以下の3点になります。
1. 事業の維持を最優先に考えて取り組む。
2. 従業員や取引先に負担を掛けない。
3. 後継者に保証債務を背負わさない。
一昔前ならば、中小企業ではとてもクリアーなどできない、無茶なテーマだといえます。
しかし、債権債務処理の環境が整備された現在では、この3点のテーマをクリアーすることは不可能ではありません。
事業形態の変更を伴う事業再生であれば、可能性は十分にあるといえるのです。
毎月、経営者と、上記のテーマで打ち合わせを続けています。
先日は、病院の診断結果が出たので、『医者は、余命半年だと言ってますが、もっと長生き出来ますよ・・・』と、笑顔でご説明してくださいました。
さらに、微笑みの目で、『私が半年で死ぬとして、死んだ後の事業維持や相続放棄について、次回は具体的に打ち合わせしましょう・・・。』といわれます。
この環境で、この病状で、この達観したような対応は、本当に凄いと思います。
どんなことがあっても、自分が作り上げた事業は守り抜くという強い意志で、この病状の中で前向きに取り組む姿勢は、中小企業の経営者の鏡ではないでしょうか。
果たして、自分がこの様に対応できるかは疑問ですが、お会いする度に勉強させていただき、見習えるように努力したいと思わされています。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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