債務者と専門家・・・


知人に誘われ、事業再生?  経営危機打開? 資金繰り? に関連するセミナーに行ってきましたが、その内容には驚かされました。

ただ、返済を停止しろ、破産は必要ない・・・という主張を繰り返すだけで、その主張に根拠はなく、具体的な対応方法さえも示されていないのです。

けっこう人気のあるセミナーだということですが、こんな話を真に受けてしまえば、知識のない経営者は、身ぐるみ剥がされたうえで、事業と人生を喪失してしまうでしょう。

これなら、やみくもに破産だけを勧める弁護士さんにお願いした方が、ご相談者にとっては良い結果を得ることができるのかもしれません。

 

中小企業が経営破綻に陥っても、選択肢として、破産は必要ありません。

これは、私も主張していることであり、現実的に1200件を超えるご相談者と16年間に亘り対応してきた結果からも断言できます。

ただ、破産を回避するためには、事前の準備や細々とした処理など、結果を得るための様々な対応が必要なのです。

債権債務の処理にかかわる、複雑な因果関係を理解し、具体的に解決しておくことで、破産を回避することができるのだといえます。

これは、返済を停止する場面や、代位弁済を狙う場面においても、同じことがいえるでしょう。

ところが、私が聞きにいったセミナーは、借り手の責任や、民事の処理などを根拠に、ただ返済を停止すればいいというだけで、返済を停止したことにより発生する事象について、具体的に言及をしていないのです。

中身のないセミナーだと言ってしまえばそれまでですが、多くの中小企業経営者が受講されていましたから、心配になってしまいます。

 

専門家の悪口を言うのは簡単であり、言ってはならないことだと理解もしています。

しかし、黙っていれば、多くの善良な経営者が被害を受ける可能性がありますので、あえて状況をご紹介させていただきたいと思います。

ここ数年、他の専門家にご相談されている経営者からのお問い合わせが、随分と増えてきています。

私も、セカンドオピニオンを推奨しておりますので、色々な専門家のお話を聞かれて、ご自身に最もマッチした展開を選択されるべきだと思います。

生死を分けるかもしれない選択になるのですから、遠慮することなく多くの選択肢を知ったうえで、最終決断として最善を選択するべきなのです。

ところが、最近増えているお問い合わせは、そんな前向きな事情ではありません。

その多くは、現在、ご相談をされている専門家のご指導に対して、具体的な不信感を抱かれてのお問い合わせなのです。

あるお問い合わせは、専門家から、代位弁済したほうが資金繰りは楽になると勧められたので、期限の利益の喪失をさせて信用保証協会に代位弁済をされた結果についてのご相談です。

この時に、専門家からは、代位弁済に向けて、資産を守る準備などの具体的な説明はありませんでした。

代位弁済後、信用保証協会に呼ばれ、高額な弁済をするか、自宅を処分して一部を弁済するか迫られたのです。

その時は、自宅を守ることを優先して、高額な弁済に応じざるを得ませんでしたが、弁済額は以前のリスケジュール時よりもはるかに高額であり、さらに自宅には信用保証協会の担保までつけられてしまいました。

これなどは、不動産処分による債権回収を得意とする信用保証協会にすれば、当然に予測できた対応ですから、事前に対応しておけばこんなことにならなかったのです。

あるお問い合わせは、事業を維持するために、専門家から会社分割を勧められて実行をしたが、何かが違うというご相談です。

元の分割会社に、保証人である現在の経営者と不要不良な資産・負債を残し、新しく設立した承継会社に良い資産・負債を移すという、分社型分割という方法で事業を維持しました。

専門家を信じ、専門家の言われるままに資金も出して取り組んだのですが、気が付けば何かが違います。

元の分割会社は、経営者が残って対応していますが、事業は喪失したうえに、会社分割に怒った債権者金融機関の追及も厳しく、解決策もなく放置されています。

良い資産・負債を移した承継会社は、経営者の息子が社長にはなっていますが雇われであり、専門家の関係者が100%株主になっており、実施は他人の会社だといえるでしょう。

高額の着手金と膨大な顧問料を支払い、依頼者である会社と経営者はより過酷な環境で放置され、将来性のある事業は乗っ取られたということになるのです。

あるお問い合わせは、経営コンサルタントに経営改善を依頼したら、債権者金融機関から刑事告訴をすると脅されたというご相談になります。

その専門家は、しきりに融資の活用を主張し、金融機関向けに決算を粉飾し、多くの金融機関に同じ案件で融資を受けさせました。

これは重複融資であり、専門家曰く、違法ではない・・・・ということでしたが、債権者金融機関が違法だと主張し、刑事告訴を主張するというのは当然の流れだと言えるでしょう。

最終的に刑事告訴は免れましたが、債権者金融機関の対応は厳しいもので、最後まで経営者責任を追及していました。

この専門家は、融資のコンサルタントであり、経営危機対応を含む経営全般のスキルはなかったということなのです。

最後にご紹介するお問い合わせは、専門家から、返済を止めても、事業は守れ、何の問題もないという話を聞き、真に受けて返済を止めたら、大変な目にあっているという経営者からのご相談です。

これと同じ様なご相談は、最近、増えています。

専門家も、断片的な話をしたのかもしれませんが、話を聞く経営者にすれば、藁にもすがるような気持ちで聞き、信じたくなるものなのです。

その結果、お問い合わせをいただいた経営者は、突然の返済停止後、全べての預金口座が凍結され、資金が詰まったから、どうすればいいかというご相談だったのです。

この件で専門家に相談すると、何の解決策も提案してくれず、なんで事前に預金口座を空にしておかなかったのかと怒られたそうですが、そんな話は聞いておられません。

金融機関との話し合いで、簡単に解決することができた事例ですが、スキル不足の典型といってよい事例だと思います。

債権債務処理についてのスキルが低いのは当然のこと、具体的なシミュレーション予測ができず、ご相談者への対応スキルも低すぎるといわざるをえません。

 

経営危機打開においては、総論としてのスキルが不可欠です。

融資のスキルや資金繰りのスキル,経営改善,リスケジュール,返済済停止,法的面,ご相談者に寄り添うスキルなど、債権債務処理全般のスキルが求められ、全ての因果関係を理解したうえでの対応を前提としたアドバイスでなければ、結果など求められないと思います。

そして、債権債務処理の主人公は、あくまでも経営者であり、専門家は、経営者の参謀であり影武者であるということを認識しておく必要があるでしょう。

債権債務処理という環境を考慮すれば、専門家は前に出るものではなく、派手な専門家は、ことごとく潰されている現実が、その事実を物語っています。

 

 

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