毎年、年明けに、年に一度だけ、お顔を見せてくださる元ご相談者がおられます。
今年も、突然のドアのノックと共に、懐かしい笑顔を見せてくださいました。
当時は製造卸の家業を経営されておられ、破産を覚悟されてご相談に来られました。
しかし、従業員や取引先のことなどを考えて、任意整理での対応を選択し、7年ほど前に事業を整理されました。
自宅などの有用な資産は、最後まで有効に活用したり、一部は保全することもできて、今は、家業を継ぐ前に勤めていた、元の職場である大手企業で部長をされています。
会社を整理した経営者が、以前に勤めていた職場に戻り、部長になるというのも凄いことですが、その会社が一部上場会社ですからビックリです。
そんな方が、毎年、律義にもご挨拶にお見えいただくのですから、もっと驚いてしまいます。
年末年始というのは、多くの中小企業経営者にとって大忙しでしょう。
私も、以前に建設会社を経営していたころは、全てのお得意様に対して、年末のご挨拶と年始のご挨拶に伺いましたから大変でした。
走り回っても時間が足らないほどでしたから、年末の資金繰りの苦労も合わせると、経営者にとっての年末は、心身共に疲れる嫌な季節といえるのかもしれません。
ところが、今は暇です。
年始早々に、ご相談に来られる方も少ないですし、最近は年末間際のご相談も減りましたから、お正月休み前後は、一年で最もご相談の少ない時期なのかもしれません。
また、この仕事に、年末や年始のご挨拶回りなどもありません。
顧問先に、メールやお電話でご挨拶するくらいで、僅かな時間で終わってしまいます。
ところが、任意整理から7年ほどが経過しても、その方は、わざわざ、定期的にご挨拶に来てくださるのです。
今は、大手企業の部長をされていますが、あの時に、諦めずに破産を回避し、任意整理をすることが出来たから、今が在ると、お顔を見せていただけます。
年に一度ですが、最初から笑顔で入室していただけますから、陳腐な懐かしさなどはなく、当時に戻って本音の話ができるのです。
大手企業の部長ですから、当然に情報や話題も豊富で、毎年、私が勉強をさせていただく様な状況で、今年は『働き方』と『AI』について、色々とお話をさせていただきました。
この『働き方』と『AI』という2つのテーマは、私が今年のメインテーマに掲げており、凄く勉強になり大きなヒントもいただきました。
流石に、大手企業の部長は違いますねと言うと、自らが任意整理をしたことが、その後の人生にとって凄く大きいと話されます。
あの時、任意整理を決断した、『引き際の判断』が、人間として大きく成長をさせてくれたといわれるのです。
たしかに、当時は、事業継続を望まれていましたし、しばらくの事業継続は可能だったと思います。
しかし、近々、いずれは経営破綻をしてしまう状況であり、事業継続に価値を見出せない状況だったともいえます。
継続すればするほど、経営破綻の悪影響は大きなってしまいますから、いかにスムーズな撤退を決断するのかが求められる状況だったのです。
今は大手企業の部長をされており、当時も優秀な中小企業経営者だったと思いますが、そんな方でも、この判断が決断が、出来ませんでした。
判っていても、その答えを導き出すことができない状況に陥っておられたのですが、これはほとんどの経営者に共通することなのです。
ところが、ご相談すると、躊躇なく決断をされました。
駄目なものは駄目、そんなものに固執するのではなく、その先を見通した判断をする・・・と考え、任意整理を決断されたのです。
その後の取り組みに躊躇はなく、現在に至っておられます。
そして、この考え方が、今でも随分と役に立っていると言われます。
事業再生や経営危機打開というのは、ある意味、経営者にとっては、屈辱的な嫌な作業なのかもしれません。
嫌なことは忘れたいというのが、人間の本音でしょうから、そんな時のことは忘れてしまい、新しい人生を頑張ればいいのだと思います。
ところが、この方の様に、全ての取り組みが完了したのにも関わらず、その後も定期的に、何らかのご連絡をいただける方も少なくありません。
これは、私にとっては本当に有難く嬉しいことで、そのお人柄に癒されながらも、加齢とともに希薄となりつつある遣り甲斐をあらためて感じさせてくれるのです。
詳しい内容は、ホームページをご覧ください,
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