専門家としての責任・・・


  

コンサルタントは、非常に無責任な商売なのかもしれません。

 

良い結果を得ることができれば、私のアドバイスの結果だと主張する専門家は少なくないでしょう。

 

もしも悪い結果になってしまえば、社長の対応が悪かったからと指摘し、責任回避を図るコンサルタントなど珍しくもありません。

 

それでも、専門家といわれるコンサルタントは、仕事を続けられるのですから不思議なものです。

 

経営危機や事業再生のコンサルタントは、専門家としてのアドバイスの結果がご相談者の生死を分けることになりますから、無責任な対応など出来るはずもありません。

 

それなのに、自分の利益ばかりを考え、無責任なアドバイスを繰り返し、ご相談者を窮地に追い込んでも平然としているコンサルタントが存在するのですから悲しくなります。

 

多くの事例のがありますが、ご相談者に対して特にひどい対応をした2件の実例を簡単にご紹介をしたいと思います。

 

1件目の事例は、製造販売業を経営されているAさんの話です。

 

Aさんの経営する会社は、営業利益こそ確実に確保していますが、借入金が多すぎて厳しい資金繰りが続き不安を覚え、有名な事業再生士に経営改善についてご相談をされました。

 

経営改善で有名なその専門家は、現在の会社の再生を依頼されたにも関わらず、再生を諦め、会社分割を使う方法を勧めました。

 

新設の会社を設立し、現在の事業をその会社に移して再生を図るという方法です。

 

最近では、活用されることの多くなった再生手法なのですが、他の事例と根本的に違う点がありました。

 

それは、専門家の勧めで、新設会社の株主が専門家の知人の投資家になったということです。

 

経営者は、息子を株主にしようとされたのですが、専門家が強引に自分の知人を株主にしたうえに、このことを不安に思った経営者が息子名義での増資を申し込むと、なんと決裁権に問題が出るといって拒否されたのです。

 

これでは、完全に事業の乗っ取りです。

 

信用して、事業の将来を相談したのに、言葉巧みに事業を乗っ取られることになったのですから、驚くしかありません。

 

このままでは、経営者もその息子も、専門家と投資家に莫大な顧問料と配当を支払うために、馬車馬の如く働かされ続けるということなのでしょう。

 

十分に再生を図れる状況にあったにも関わらず、自らの利益のために会社分割をさせ、しかも、株式を所有し実施的に会社を乗っ取るというのですから、専門家としてというよりも、人として断罪されるべきでしょう。

 

 

 

もう一件は、何店ものお店を経営する経営者です。

 

その経営者は、コンサルタントに勧められるままに取り組んだ融資が、重複融資という形態になり、しかも金融機関の知るところとなって信用を失墜して窮地に陥ってしまわれました。

                   

重複融資とは、同じ案件で、二行以上の金融機関から同じ目的の融資を受けることになります。

 

当然に、正常な金融機関との取引においては、詐欺的行為と捉えられる行為であり、バレたら終わりという禁じ手だといえます。

 

その経営者は、事業所を出店する資金を確保するときに、コンサルタントに勧められて、同じ事業計画により二行の銀行から借り入れをされたのです。

 

どちらかの銀行から借りることができればいいという考えではなく、できるだけ多くの資金を確保しようと、この事業所出店を根拠に重複して借り入れをしようとしていたのです。

 

しかも、コンサルタントに言われるがまま、複数回にわたって重複融資を実行しましたから、手元資金は潤沢になり勘違いまでされるようになりました。

 

銀行にすれば、返済資力を算定して融資をしているのに、重複で倍の返済をすることになりますから、返済ができる計算にはなりません。

 

この重複融資は、金融機関のプロの目で決算書や試算表をチェックすれば、正常な借り入れではないことが直ぐにわかってしまいます。

 

借りたときは、手元資金が増えて、資金繰りは楽になるでしょうが、遅くても一年後には金融機関に全てが知られることになり、積み上げてきた信用は一気に失墜し、新たな融資が難しくなるどころか、今までのような健全な関係さえも維持できなくなるでしょう。

 

この事例も、落し処どころか、この行為を実施することの副作用を正面から考えず、今だけのための行為をしてしまったのです。

 

さすがに経営者も不安を覚え、重複融資の先はどうするのかコンサルタントに尋ねられたそうです。

 

しかし、そのコンサルタントは、明確な答えなどできなかったそうです。

 

このコンサルタントは、金融機関が重複融資に気づき追及を始めたころに、自宅などの不動産を、身内に対して生前贈与などを使って所有権の移転までさせたというから驚きです。

 

債権者金融機関が、債権回収に不安を覚えたタイミングで、不動産の所有権など移せば追及されて当然です。

 

しかも、身内への生前贈与ですから、詐害行為ですと宣言しているようなものだと思います。

 

経営危機場面での対策は、必ず、その先に起こりうることを想定した上で実施すべきであり、落し処も考えていない対策など、状況を悪化させるだけのことなのです。

 

このコンサルタントは、経験も少なく最低限のスキルさえも持っていなかったのではないでしょうか。

 

 

 

最近は、様々な参考書があり、ネットでも情報を取得できますから、事業再生や経営危機打開の指導するのは簡単なのかもしれません。

 

しかし、それは表面上の指導であって、ご相談者が求めておられるのは、より深化した情報であり、派生する情報や知識なのだろうと思います。

 

経営危機に窮した経営者が、そんな対応を求めてご相談くださるということは、この仕事がご相談者の信用を前提に成り立っているということであり、我々、専門家は、この事実を常に頭に入れ誠意を持って対応しなければならないのです。

 

将来に不安を抱いている経営者を、騙すのは難しくないでしょう。

 

事業を乗っ取ろうと思えば、実現するのは簡単なことだと思います。

 

儲けようと思えば、簡単に儲けることのできる商売なのです。

 

だからこそ、身を律して、儲けては駄目な商売だといえるのでしょう。

 

ご相談者の望む答えを手に入れるのは、簡単なことではありません。

 

ご相談を、我がことのように受け止め、しっかりと落し処を見据え、答えまで導き出すのが専門家だと思います。

 

特に経営危機や事業再生のコンサルタントは、絶対に責任から逃げては駄目なのです。

 

 

 

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