本当の経営状況は・・・


経営が厳しい状況において、本当の経営状況を把握するというのは簡単ではありません。

健全な経営時であれば、貸借対照表や損益計算書によりおおよその状況を把握するのは難しくないでしょう。

経営分析により、損益分岐点などの細かな指標まで知ることもできますが、それは健全な経営だから大きな意味を持つのであって、経営危機に陥った場合は、この点においてはあまり意味がありません。

業績が低迷し、資金繰りも厳しい状況になると、経営分析などはあまり役には立たず、もっと資金の動きと連動をした分析が必要になりますので、経営状況を把握するのは極めて難しくなってしまうのです。

 

私どもにご相談に来られる方は、経営に何らかの不安を抱えた経営者がほとんどです。

極めて健全な経営を維持されている経営者から、明日にでも経営破綻して不思議ではない経営者まで、その経営状況は様々だといえます。

しかし、経営に対して何らかの不安を抱えているという共通点があり、この不安から逃れるために正しい経営状況や問題点・対策を知りたいというのも共通をしているでしょう。

現在では、中小企業といえども、その多くは試算表や経営分析などを作成し、経営者が経営状況を比較的簡単に把握できるようになっています。

売上高・売上総利益・販売管理費などの増減や割合などは、すぐに正確に判るようになっているのが大半ですし、各種利益率,労務費率,各種回転率,自己資本比率,損益分岐点などについても、月次ベースで経営分析がなされ、データーとして活用できるのも珍しくありません。

本当に、便利な世の中になったもので、これらのデーターを使えば、経営対策や財務改善も容易なったといえるでしょう。

しかし、これらのデーターは、健全経営の企業にとっては有効に活用できるでしょうが、業績が低下したり、資金繰りが悪化した経営者にとって、参考にはなっても、最優先で必要としているデーターではないといえます。

資金繰りが厳しいのですから、経営分析において様々な問題点があることは判っておられるでしょうし、それを理解したうえで、既に具体的な対策も実施をされてきたことだろうと思います。

それでも、業績は回復せず、資金繰りも改善しないという状況にあるのですから、この現在の正しい経営状況を、数字ではなく具体性を持って経営者は理解をしたいのです。

健全経営といえるのか、それとも経営危機に陥っているのか・・・

経営危機であればどの程度なのか・・・
軽症なのか重症なのか・・・

今後の取組の可能性は何があるのか・・・
    再生が可能なのかどうか・・・

経営者が知りたい経営状況というのは、これらについての状況であり判断なのだろうと思います。

 

当然、この時点における経営状況の把握は簡単ではありません。

専門家に依頼すれば、様々な手続きに着手し高額の費用を請求されて、何らかの答えを出してくれるでしょうが、専門家のポジションで、当然に自分に都合よい答えを導きだそうとしますから、この答えなど適当でいい加減なものだといえます。

経営改善の専門家であれば、経営改善への取組により再生が可能という答えを導き出すでしょうし、整理の専門家であれば、再生は難しいという答えを出そうとするでしょう。

経営者は、費用を払って専門家に依頼をしていますから、出された答えを受け入れるというのが一般的であり、根拠のない専門家の都合で翻弄されるということになるのです。

 

正しい経営状況の把握により、次の対策や展開が決まりますので、経営危機を打開する第1歩は、まずは、正しい経営状況を把握するということになります。

この時点、経営危機だろうと不安を抱いた状況においては、信頼できる専門家に相談をするのがベストですが、上記の様にそんな専門家はなかなか見つかりませんから、経営者ご自身で、取り組むことをお勧めいたします。

ここまで、難しい話をしてきて、今ごろ何を言ってるのかと怒られるかもしれませんが、正しい経営状況や今後の展開についての概要を知るというのは、実は、そんなに難しくないのです。

あくまで、概容の把握ということになりますが、経営状況を判断する簡単な指標をご紹介してみます。

まず、健全経営かどうかについては、以下の項目を確認してみてください。

1. 借入返済のための借入をしている。
2. リスケジュールをしている。
3. 資金繰りには余裕がない。

上記3点について、1つでも該当すれば、健全経営ではなく、経営危機に陥っているということになります。

次に、経営危機でも、軽症なのか重症なのかについては、以下の項目をご確認ください。

1. 返済のための借入や、リスケジュールはしているが、資金繰りは12か月以上確保できている。
2. 本業は純利益において黒字を維持している。

両方に該当すれば、この場合は経営危機でも軽症であるといえます。

3. 資金繰りを確保できているのは、3か月以下である。
4. リスケジュールの利息さえ支払うのは難しい。
5. 経営改善に取り組んでいるが、ここ数期、赤字が続いている。

どれかに該当すれば、この場合は重度の経営危機だということになります。

1.2と3.4の中間であれば、軽症と重症の間であると捉えてください。

今後の取組の可能性については、以下のようになります。

1. 軽症であれば、全力で経営改善に取り組み、再生を目指す。

2. 重傷であれば、形態を変えての事業確保ならびに、必要な資産の保全を図る。

3. 軽症と重症の間であれば、経営改善に取り組み再生を目指すことをメインにするが、重症時の対応も準備する。

この様に、難しそうに見えますが、実は極めて単純で簡単な指標となります。

 

経営危機という段階になると、貸借対照表や損益計算書などといった難しいものではなく、資金繰りをベースにした対応が中心となるということが判ると思います。

ただ、これらの判断は、経営者の人生の確保をコンセプトに、破産をせずに事業を維持するという経営危機コンサルタントとしての、ある意味偏った指標であることもご理解ください。

この資金繰りについての判断で、判り易く面白い事例がありましたので、次回のブログでご紹介をさせていただきます。

 

  詳しい内容は、ホームページをご覧ください,

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