裁判による、2度目の時効中断・・・


債権者と債務者の戦いの結果が、時効の活用といえるのかもしれません。

時効を中断させようと、債権者は手段を講じます。

対する債務者は、時効期間を完成させようと画策します。

法律で認められた、時効という正当な権利を行使しようと、お互いが知恵を絞り合うのです。

決められた期間に向けての、時間との勝負が時効ということになるなのでしょう。

 

まさか、ここまで諦めずに厳しい追及をしてくるとは、債務者企業は思いもよらなかったことでしょう。

信用保証協会が、なんと、2回目になる時効の中断を仕掛けてきたのです。

前回は、銀行からの借入金が期限の利益の喪失をして、信用保証協会に代位弁済をされてから4年半後に、訴訟という請求行為によって時効の中断をされました。

それから9年半になりますが、またもや2回目の訴訟で時効の中断を図ってきたのです。

金融機関からの借入は、仕事上の商事債権として時効期間は5年ですが、訴訟による確定判決によって10年となります。

債権者が、時効を中断しようというのは、その間、支払いによる承認などの時効の中断行為がないということであり、債務者は何年も弁済ができていない状況にあったということになります。

実際、この債務者企業も、4年半と9年半の合計14年間、1円の弁済もできていない状況でした。

そんなに長期間に亘り、弁済出来ない債務者に対して、手間暇かけて時効を中断しても意味がないように思います。

ただ、期限の利益の喪失をして代位弁済後の最初の時効期間(5年間)の完成間近においては、信用保証協会は手続きとして時効の中断を図ってくるのが一般的です。

しかし、訴訟による時効の中断後、10年という長い年月において全く弁済できていない債務者に対して、高額の費用を掛けて時効の中断をしても『債権回収』という目的においては意味がないでしょう。

だから、債権者が2回目の時効の中断を仕掛けることは考えにくいのです。

ところが、信用保証協会は、前回の訴訟による時効の中断以降、1円の弁済もしていない債務者企業に対して、またもや訴訟により時効の中断を仕掛けてきたのですから驚きます。

長年、債権債務処理に関する業界に関わってきましたが、こんな事例は極めて珍しいと思います。

 

よく、債権回収専門の金融のプロが、時効など完成させるはずはないという方がおられますが、実際はそんなことはありません。

債権者が、債権回収を諦めて、自然な流れとして時効期間の完成する債権など、珍しくもありません。

債務者として、長年に亘り弁済が出来ておらず、現実的に弁済する資力も目途もなく、時効を中断しても意味がない債権に対して、新たに費用や労力をかけるのは意味がありません。

したがって、往々にして信用保証協会は、最終的に放置という形態で、時効期間の完成を容認することになるのです。

この債務者企業の場合も、本来であれば、最初の訴訟による時効の中断以降は、最終的に放置をされてしかるべき債権だったのかもしれません。

ところが、信用保証協会として、この債務者企業の案件に限っては放置しておけない理由がありました。

たとえ、高額な費用を掛けてでも、2度目の訴訟であろうとも、時効を中断しなければならないという特殊な事情があったのです。

よく見受けられるように、この債務者企業も、第2会社を作って事業を継続していました。

名称も資本関係も、役員についても債務者企業とは違いますから、第2会社の人格は完全に異なるということになります。

ところが、第2会社の業務内容や営業形態は、債務者企業と全く同じでした。

しかも、第2会社の事業所は、債務者企業と全く同じ場所であり、名称,資本,役員以外は、全て債務者企業と同じであり、事業をそのまま承継していたのです。

そして、その具体的な事実を、信用保証協会は完全に把握していました。

債務者企業は返済できないのではなく、作為的に返済しなかったという事実を知っていたのです。

弁済できないはずの債務者企業が、詐害行為として追及できないダミーの第2会社を作り、そこに得意先や仕入れ先,従業員などを引き継ぎ、事業を承継させて順調に経営を続けていることを、信用保証協会は具体的に把握をしていました。

この事実を、見逃すわけにはいかなかったのでしょう。

本来であれば、十分に弁済できる状況であるはずなのに、第2会社に事業を逃がして弁済しようとしない債務者企業を、信用保証協会は許せなかったのかもしれません。

その結果、普通であれば、時効期間が完成して不思議ではないのに、ありえない2回目の訴訟をしてまで、時効の中断を仕掛けてきたのです。

 

複数回に亘り、債権者が時効の中断を仕掛けてくるというのは、よくある事ではありません。

債務者企業が、第2会社を作って、ここに事業を承継させるのも珍しいことではありません。

ただ、その具体的な事実を、債権者である信用保証協会に知られてしまったというのは、第2会社としては大失敗だということになるのでしょう。

 

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