キャバレーなどの飲み屋さんやホテルなどの代金は1年。
労働者の給与や小売の代金,弁護士さん費用などは2年。
工事代金や病院の代金,自動車修理代金は3年。
何なのか判りにくい年数が並んでいますが、『消滅時効』にかかる期間になります。
今回、民法の改正によって、これら短期の消滅時効の期間が廃止され、統一されることになりました。
消滅時効とは、一定期間、何もせずに権利を行使しない場合に、その権利を消滅させる制度のことです。
たとえば、飲み屋さんがお客さんのツケを、請求などをせずに1年間放置しておくと、お客さん側の一定の手続き(時効の援用)により、請求できる権利が消滅してしまうという制度のことになります。
そんな消滅時効は、消滅に掛かる期間が様々であり、1年,2年,3年などといった短い期間で時効を迎えるものを、一般的に短期消滅時効と呼んでいます。
この短期消滅時効、活用するには、極めて判りにくいものでした。
120年も前に作られた法律により、その当時に存在した職種で、バラバラに時効期間が指定されており、環境が大きく変化する中で、現実的に通用しなくなっていると表現したほうが適切なのかもしれません。
たとえば、居職人の債権の時効期間は2年などという表現が使われていますが、居職人という意味さえ判らない方がほとんどではないでしょうか。
居職人とは、自宅を労働の場にする職人さんのことらしいですが、現在では死語といってもいいほどの言葉であり、そんな言葉が堂々と法律で使われていたのですから驚きます。
また、職種ごとに、1年,2年,3年,といった短い時効期間が決められていますから、職種により適応する時効期間が何年なのか掴みにくいのです。
120年前から存在する仕事であれば、確認も容易かもしれませんが、最近になってできた仕事などは、どこに適応するのか首をひねるものは少なくありません。
同時に、何故、その時効期間なのかについて、その根拠は全く不明確です。
そもそも、こんなに細かく分ける必要性も理解できませんから、改正されて当然の法律だったのかもしれません。
民法改正により、消滅時効は根本的に見直され、短期消滅時効は全て廃止されます。
そして、債権(請求することの出来る権利)についての時効期間は、以下の様に統一されることになりました。
・債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
・債権者が権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
上記の2項目を新たな時効期間として設け、いずれか到来時期の早い方により時効期間が成立するようになったのです。
債権(請求することの出来る権利)が発生すれば、10年で時効は進行しますが、途中で権利を行使できることを知れば、そこから5年の時効が進行することになり、どちらか到来時期の早い方により、時効期間が完成するということになります。
権利を行使できることを知らなければ5年の時効は進行しませんが、債権の発生から10年の時効は進行して、遅くでも10年で時効期間は完成するということでもあります。
民法改正で、1年,2年,3年,といった短期消滅時効はなくなり、10年もしくは5年という時効期間に集約されることになりました。
この改正により、この債権の時効期間は何年なのかと、調べたりする必要はなくなり、判り易くなったといえます。
ただ、短期消滅時効は統一されましたが、全てが10年もしくは5年という時効期間に統一される訳ではありませんので注意が必要です。
そして、この消滅時効の改正によるメリットと共に、当然の如く問題も発生すると思われますので、次回のブログで考えていきたいと思います。
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