下請けの要求が通る・・・


 

中小企業の経営者であれば、目を疑う様な記事が続きました。

まずは、製造業や建設業では常態化している、下請けへの手形支払いを見直すという内容の記事がありました。

続いて、物価や人件費の上昇分を、下請け代金に上乗せすべきという記事になります。

この2つの施策を、政府が主導するというのですから驚きますが、これが本当ならば、下請けの中小零細事業者の経営環境は劇的に改善するかもしれません。

 

自動車産業を中心とした、大手メーカーの下請けへの発注は、精査しつくされて贅肉がそぎ落とされた、余裕の残っていない厳しいものになっています。

それは、金額面から精度面や納期条件など全般に亘り、全てにレベルの高い要求をされるのが常態化しているといえるでしょう。

発注者の要求を満たそうとすれば、一次下請けでようやく利益が確保できる程度で、二次下請け以下だと、受注段階で赤字になることさえ珍しくないほど厳しい内容なのです。

赤字を回避しようと、金額面などで発注者に交渉をすれば、他の業者への発注を匂わされる始末ですから、黙って受注するしかありません。

当然、物価の高騰や人件費の上昇などが、リアルタイムで発注単価に反映されることもなく、その差損は下請けが被るしかないでしょう。

支払い条件も、下請けの状況や希望など関係なく、発注者の一存で決まるのが当たり前でした。

こんな過酷な条件でも、仕事を確保するため、生き残るために、下請け業者は発注者の条件のままに請け負うしかなかったのでしょう。

大手メーカーが、高収益や最高益などを記録する華やかなアベノミクスは、下請け業者の、生きるか死ぬかの悲哀のうえで成り立っていたのです。

 

アベノミクス効果が劣化しだした環境において、発注者の強権を抑制し、発注システムを改善しようと動き出しました。

しかも、その改善を政府が主導し、元請けである大手メーカーと下請けである中小零細事業者との、長年の商取引習慣を改善させるというのですから驚きです。

これが本当ならば、大手から仕事を貰っている中小零細事業者の資金繰りを、根本的に改善させるかもしれません。

 

まずは、下請けへの代金支払いについて、手形での支払いを見直すという内容が記事になりました。

中小企業庁と公正取引委員会が、未だに手形が使われている下請けへの代金支払いを、『現金払い』を原則にするようにという通達を年内に出します。

政府が、下請けへの代金を現金払いとさせる目的は、中小企業の資金繰りを、まずは円滑化させること。

その結果として、中小企業でも賃上げしやすい環境を整え、安倍首相が強く推し進めてもなかなか実現できない賃上げを達成しようというものです。

この手形支払いに関する通達の全面改定は50年振りになりますが、即時発効をするそうですから、政府は本気ということになるのでしょうか。

ただ、手形を全て取りやめるわけではなく、手形を使う場合においても、手形期日を60日以内に短縮することや、手形を割り引く費用について協議をするなど、下請けの負担を軽減するようルールに盛り込みます。

そして、用意周到というのか、あのトヨタ自動車がこの通達に則って、下請け代金の支払いを原則として現金にする方針にしたというのです。

下請けへの現金払いが特に少なく、発注条件が一方的で厳しいのが自動車業界ですから、社会的な影響を踏まえ、他の自動車メーカーの追随は容易に予想され、一気に通達が現実化する可能性もあるのかもしれません。

 

さらに、下請け代金に、人件費などの上昇分を上乗せすべきという記事が続きました。

これも中小企業庁ですが、大企業が下請けである中小企業に支払う下請け代金について、人件費の上昇分などを上乗せすべきという取引基準をまとめました。

大企業に対して、下請けなどの中小企業からの値上げ要請に誠実に対応することをまとめたのです。

罰則はありませんが、不当に値上げに応じない場合は、下請法違反に当たる恐れもあるといいます。

この施策の目的も、人件費や材料費の上昇分を下請け代金に反映しやすくして、中小企業が賃上げし易い環境整備が目的になります。

 

この二つの施策は、政府の賃上げという目的のために制定されたのでしょうが、中小零細企業の収益性や資金繰りにとっても大きな影響があると考えられます。

今まで、発注者である大手企業に支配されてきた単価が、下請けである中小零細事業者との協議により決まるかもしれないのです。

そこまでいかなくても、下請けが単価について、前向きに交渉できる環境が整えられる可能性は高いのではないでしょうか。

散々に、発注者から無茶な条件を突きつけられてきた下請けにとっては、なかなか簡単に信じられない話かもしれません。

しかし、ようやく、正当な権利を主張できるようになるかもしれないのです。

 

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