銀行と保証人・・・


事業者が、銀行などから資金を借入する場合、保証人をとられるのは当たり前でした。

ところが、日本では当たり前という保証制度も、世界的には極めて異質の制度だったのです。

悲惨な犠牲となる事例が溢れ、保証人制度について世論が問題視をして見直しがなされ、経営者保証に関するガイドラインを運用させるまでになりました。

保証人なしで融資をするという夢の様な制度ですが、それ以降、本当に保証人がなくても、新規融資は可能になったのでしょうか。

 

いつ、突然に、悲惨な状況に追い込まれてしまうかもしれない保証人に、なりたい方など誰もおられないと思います。

保証人制度というのは、生活を失ったり,人生を自ら閉じたりという、凄惨な結末に直結をするかもしれない、非文明的で野蛮的な制度だといえます。

その事実については、十分に社会的認知もされているのですか、先進国では、日本のみにおいて、この現在でも存在していることが問題なのです。

しかし、日本の風土には、その制度を容認する土壌が存在し、今においても、そんな保証人が必要とされる場面が存在し、事業に関する融資においては当たり前の様に活用をされ続けています。

事業資金の借入をする場合、代表者として連帯保証人になるのは、ある意味において仕方がないのかもしれません。

しかし、直接には関係のない第3者を、当然の如く連帯保証人とする時代があり、その保証債務は、現在においても有効に作用しているのです。

その時、第3者は、大きな疑問もなく連帯保証人になられたのかもしれません。

多くの場合、連帯保証人についての満足な知識など持たないままに、保証債務を引き受けられたのでしょう。

その保証した債務が金融事故にでもなると、いきなり返済を迫られることになりますから、その理不尽さを嘆くしかない立場だということさえ、想像をされていなかったかもしれません。

この様な、非人道的な保証人制度が問題になり、その見直しが様々な場面で始まり、ついに平成26年2月から経営者保証に関するガイドラインが運用開始されました。

この経営者保証に関するガイドラインは、事業資金の金融機関からの借入について、経営者としての保証を取らないという画期的な方向性を持っており、人的保証を根本的に見直す制度になっています。

融資の契約時における保証についての概略は、以下の様になります。

     1. 経営者の保証に依存しない融資の一層の促進     ・新規の融資に伴う経営者としての保証については、一定の要件の下に求めない。     ・保証の機能を代替えする新たな融資手法のメニューを充実させる。

  2. やむをえず経営者保証を締結する場合の債権者の対応     ・保証契約について、具体的に債務者に説明をする。     ・保証する金額について、債権者は誠実・適切に対応をする。

  3. 既存の保証契約の適切な見直し     ・事業承継時において、後継者への保証債務承継を前提としない。     ・経営者保証の必要性について検証し、保証契約の解除についても適切に判断

  4. 債務者は、信頼性の高い情報を提供し、開示要請にも適切に対応する。

この様に、幾つかの条項があるのですが、もっとも大きなポイントは、借入に伴う保証については、新規の融資を行う場合、一定の要件の下に、経営者の保証を求めないということになります。

新規融資において、経営者でも保証人にならないというのが基本であり、特例として、要件を満たさない場合のみにおいて保証人を求めるということなのです。

我々からすれば、ちょっと信じられない内容だったのですが、この経営者保証に関するガイドラインが運用開始されて以降、日本政策金融公庫などは保証人をとらないという姿勢を明確にしています。

財務内容が劣化し、新規融資は難しい様に思われた事業者でも。経営者の保証を求めないまま融資が実行されるほどなのです。

では、民間の金融機関はどうなのでしょうか。

実は、この経営者保証に関するガイドラインは、銀行協会が主導し、中小企業金融円滑化法に代わる中小事業者の金融環境維持のために作り上げた制度なのです。

そんな前提があるわけですから、政府系金融である日本政策金融公庫以上に、活用をされている様に考えられます。

 

民間の金融機関は、経営者保証に関するガイドラインについては、あまり重要視していないというのが現実の様です。

この経営者保証に関するガイドラインは、残念ながら法律ではなく、あくまでもガイドラインであり指針でしなく、必ず守らなければならないという制度ではありません。

本音と建前の使い分けだと思うのですが、中小事業者金融について、金融機関として前向きな支援姿勢を見せるため、便宜的に設立された制度でしかない様にさえ思われます。

新規融資の現場においては、未だに、ほとんど考慮されていない様なのです。

たしかに、僅かな事例は存在しますが、よほどの健全経営事業者か、十分に担保保全のできた債権か、特殊な営業権をもっているなどといった、与信の高い事業者に限られています。

資金繰りを確保するために、新規融資が必要とする事業者については、経営者を保証人に取るという姿勢は変わっていないというのが現実のようです。

『新規融資において、経営者を保証人にするというのが基本であり、要件を満たした場合にのみ保証人を求めない。』、この姿勢は今まで変わっていません。

 

ある大手銀行の支店幹部は、『我々は営利企業ですから、現実として、そんなリスクのある融資を実行できるわけありませんよ・・・。』とのたまいました。

結論として、民間の金融機関は、本音において、保証人という担保を手放す気などさらさらないのでしょう。

中小零細事業者の経営環境が衰退局面に入り、これから資金繰り対策が重要になる状況になりましたが、民間金融機関の、経営者として人生と資産を全て差し出せというという姿勢は、今まで通りだと理解して取組む必要があるようです。

信用保証協会の保証姿勢も締めつけられ、中小零細事業者の資金繰りにおいて、今後は、日本政策金融公庫の比重が増加していくのかもしれません・・・。

 

 

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